今回も番外編になっております。本編を見ていない方は是非そちらも見ていってください。
《冴side》
「うっ…ふっ、グスッ…」
凛が泣いている。時計の針は深夜の2時をまわっていた
さっきまで俺はぐっすり眠っていたが凛の泣き声で起きてしまったようだ
最近よくあるのだ、本人は気づいていないかもしれないがいつも寝ながら泣いている
俺達は今は世一に引取ってもらい養子としてこの家の子になった訳だが元は親に暴力や暴言を浴びせられていた
凛はその時まだ小さかったし母さんがどうしてこんなことするのかわからないという顔だった
そんな中俺は、凛だけは守らねばといつも庇っていたけど俺の体の隙間から見えた母さんがまるでゴミを見るような目で俺達を見ていたことを知り、心が壊れる寸前で世一に助けてもらったので本当に感謝してる。凛が今も笑っていられるのは世一がいたから、、感謝してもしきれないくらいだ
世一は俺達に沢山のことを教えてくれる。
忘れてしまった家族の暖かさや、“普通”の日常などだ
こんなにも尽してくれているのに凛は甘えん坊だからな…もっともっとと愛情をねだる。それに世一もできる限り応えてくれているのにこんなことは言えないとはな……
両親が離婚する前はいつも4人で並んで寝ていた。父さん、俺、凛、母さん
他愛もない話をし、眠りにつく。
小さく「かぁ…さ………ん…」という声が聞こえてくる
すごく苦しそうだ
額には汗を垂らし、頬に涙がつたっている
俺は自分よりも少し小さな体を抱きしめた
今は冬だ
暖房もきいてるし暖かいパジャマに暖かい布団
寒さ対策はバッチしな筈なのに少し寒い、…寂しいと感じてしまうのは凛の甘えん坊が移ってしまったからなのか…
世一に抱きしめられたときは暖たかかった
子供体温なのだろう。子供の俺からしてもあたたかくて心地よかった
心音に耳を澄ませてあたたかいぬくもりにつつまれる。そんな自分を撫でて寝かしつけてくれる世一
「………………」
そうか、世一に抱きしめてもらって一緒に寝ればいいんだ!
名案を思いついた達成感?的なもので目を閉じるとすぐ寝てしまった
でもよくよく考えると冴が起きたのは夜中の2時だったので今はもう2時半は回っているだろう
子供に夜ふかしはまだ早かったのだった
《凛side》
「わ〜!兄ちゃんみて!みて!」
「なんだ?…何で風呂に泡が入ってるんだよ」
「世一が泡がもこもこの泡風呂してみなって泡風呂の素くれたの!」
「滑らないように気をつけろよ」
そう言って兄ちゃんは体洗うのにもどってしまった
俺がお風呂めんどくさいって言ったら泡風呂どう?って聞いて世一が用意してくれたからすごく嬉しい!
兄ちゃんがお風呂に使ってくるまで猫をつくったり鳥をつくったりした。なかなか上手くできなくて試行錯誤して完成したものは納得のいくすごいものだった
あとで世一にも見せてあげよ〜っと
そんなこんなしてたら兄ちゃんも泡風呂に浸かってきた
「凛、俺は今日世一と一緒に寝ようと思う」
「⁉兄ちゃんだけずるい!俺も世一と寝るもん!」
「…しょうがない、お前は俺の弟だからな特別だぞ」
「うん!」
「じゃあ一緒に寝るための作戦を今から言うからちゃんと聞いとけよ」
「作戦?わかった!」
兄ちゃんが話してくれた作戦は全部で3つだった
1つめは世一がベッドに入るまで起きていること
2つめはなるべく足音をたてずに世一の部屋まで行くこと
3つめは断られてもめげないこと
この3つさえ守れれば世一と一緒に寝れるらしいから俺は頑張ろうと思う!
お風呂あがり、世一に髪を乾かしてもらってその後いつも通りにおでこにキスをしてもらい(おでこにキスは冴と凛がねだってからルーティーン化した)兄ちゃんと自分の部屋に戻った
《冴side》
夜の1時
やっと世一が自分の部屋に入った
どうやらいつもお風呂に入った後、12時から1時まで誰かとビデオ通話をしているようだ
俺の知らない相手と電話してんのは素直にムカつくが今日は“世一と一緒にねる”という大事な目的があるのだ
こんなところで躓いて計画を台無しにしてはいけない。凛も俺と同じで世一と寝るため、眠いところを我慢してこの時間まで起きていたのだ
かわいい弟に迷惑をかけるなど兄ちゃん失格だろう
廊下の電気が消され今はもう真っ暗だ
暗いと怖がってる凛と手を繋いで隣の部屋まで歩く
いつもはガチャリとなるドアをいつもより優しくゆっくり開けたからか音をあてないで開けることができた
静かに静かに部屋の中に入っていく
世一の布団の前までこれた、ここからが本番だ
小さい声で言う
「いくぞ凛」
「うん」
凛も小さい声で返事をする
俺が反対側に回って凛と両方の布団の端をつかむ
「せーの」
バッ!
と音を立てて布団がめくれた、驚いて飛び起きた世一をよそにそのまま布団に飛び込む
「世一、夜這いに来たぞ」
「一緒に寝に来たよ!」
「えっ…は……冴と、凛、………?」
「見てわからねぇのか?」
「りんだよ?世一!」
「わっ!?」
凛が世一に抱きつきやがった
このままでは弟にまける!そう思った俺は反射で世一に飛び込んだ
「わっ、冴も凛もどうしたの?ねれない?」
世一が心配そうに訪ねてくる
「んーん、世一と一緒に寝たいと思って」
「……」
凛に言われてしまった
「……ッ、ん〜!♡二人ともかわいーな〜♡」
「そっかぁ一緒に寝たかったんだな、いいぞいいぞねよねよ!」
「べ、べつにそんなんじゃないし…」
「ぎゅってして!世一!」
「二人ともぎゅ〜♡」
「わっ、」
「んヘヘ」
世一に抱きしめられ布団の中に入った俺達は結構というかすごく上手くいったなと満足していた
世一は俺達に弱い
小さい子供が好きなのだろう(性的な意味ではありません、世一は純粋です)
でも“““特別”””俺達に弱い
これは大切にされている証拠だろう。こんなに甘くて心配になるがまあ俺がこれからも守っていけばいい
世一をこの先誰かにあげたりなんてするつもりはないのだ
どうしてもと言うなら最終手段凛と協力して監禁でもしてやろうと思っているくらいには好きなのだからしかたがない
最初は地獄みたいな生活から救ってくれたからなのかもとか思ってたりしたが、一緒に暮らしていって一つ一つの動作が、言葉が俺の心にぐさっと刺さってきた
普段は温厚なのにサッカーがかかわればとたんにエゴイストになるとこも、子供相手に容赦ないことも、俺達の事を大事にしてくれているとこも、全部全部全部全部““大好きだ””
今も太陽みたいな笑顔で笑いかけてくれてるし、優しい手つきで撫でてくれる…
凛はもう眠そうだな、目がウトウトしてる
俺も眠くなってきたな
「冴、凛生まれてきて………ありが……。二人にあえて……………うれし……俺今、めちゃくゃ……しあわ…………」
なんか、言ってる、でもあんまりきこえな、…い……
「ん…」
「冴?おはよう」
「あっ、凛も起きた!おはよう」
「おはよう」
「おはよぉ…」
「皆で寝たらあったかかったな」
「うん!心も体もポカポカ!」
「そういうのはお風呂上がりにいうもんじゃないの?」
「…おい、世一」
「ん?」
「今日も…一緒に寝るぞ…」
「ふ、ふぁ、、、そうだな寝ような!」
「ん、」
「やった〜!兄ちゃんとも世一とも一緒にいられる!」
「フハハ、さ、もう朝ご飯食べようぜ
今日はこの前できたメロンソーダが美味しいカフェに行きたくてさ・・」
今回も見てくださりありがとうございました
やっとクソデカ感情持たせられました
良かったです☺
ちなみに三人はこれからも一緒に寝るようになりました。これは言っとくべきですよね、すごい大事です!
凛視点が初めてで難しかったです…
凛くらいの年齢ってまだまだ子供っぽさがあると思ったので元気で幼い感じにしたかったんですけどそうしたら『!』これめっちゃつけちゃいました
あとなんか潔が親ばか的な感じになっちゃって、私が書く潔は一回は♡をつけなければいけないのか謎になってきましたね
それと次回は本編に戻ろうと思います
皆さんお待ちかね、『カイザー』と『ネス』さんの登場ですね
この二人視点と過去とかも後々書いていこうと思います
学校が始まったので投稿頻度が下がりそうですが頑張って2日、3日に一回は投稿しますのでどうぞ気長にお待ちください
でも私もこれ書くの好きなのでどうにかこうにかして書きます
次回もお楽しみに
コメント
8件
Welcome くそでか感情!
んんんんん♡尊いよォ
最高クソデカ感情が幼少期の頃にあるとか最高この後ネス達と言い合いしそう