あれ、テヒョンイヒョンは?
1日の練習を終え、気付けばまた僕はテヒョンイヒョンを探していた。
トイレにでも行ったのかな?
探してもいないや…。
そんなことを頭の片隅においてリュックに物を詰め込んでいるとき、両肩に軽く手が置かれた。
「ぁっ!…じみにひょん」
「じょんぐがぁ〜♡もう帰るの?」
「あっ、はい……あの、テヒョンイヒョン知りません?」
「ん〜?テヒョンイ?わかんない、トイレとかじゃないの?」
なーんだ、じみにひょんか。
全然、別に嫌とかじゃないけど、なんか、期待してほんのちょっとだけ損した。
っていうか、テヒョンイヒョンと仲良くていいよね、羨ましい。
「じみなどうしたの?」
もはや親の声より聞いた、落ち着く声。
わぁっ、!テヒョンイヒョン!!
そう思って振り向くと、じみにひょんと談笑しながら楽しそうに微笑んでいるヒョンの姿があった。
…そんなかっこいい顔するんだ、僕には見せないのに。
「ん!じょんぐが?いたんだ」
「ずっといたんですけど」
「ごめんㅋㅋ気づかなくて」
内心嫉妬で狂うものの、歯を見せながら頭をくしゃっと撫でられて思わず口角が緩む。
それと同時に、子供扱いされているであろうことに嫌気がさした。
いや僕が年下だし全然いいはずなんだけど、でも、やっぱりほかのヒョンに見せる顔とか全然ちがくて、…なんか寂しい。
2人の姿を唖然として見ていたら、時はあっという間に過ぎていたようで「じょんぐがばいばい!またあとで〜」というじみにひょんの声で我に返った。
「ぁっ、あはは、」
こちらを向きながら後退りする影に小さく手を振ったあと、テヒョンイヒョンの顔色を伺う。
「ばいば〜い……ん、どうしたの?俺達も帰ろ!」
「はい」
ヒョンは走って自分の荷物を持ってくると、僕の頭をぽんと叩いて肩に腕を回してきた。
みんなに見せてる顔と僕に見せてる顔、どっちがほんとなんだろう?
どっちも偽ってるわけじゃないってわかってても、なんか複雑な気持ち。
「あ…じょんぐが、」
左から聞こえる呟く声に体を向けると、今までにないくらい顔が近づいてきた。
え、なに、もしかして
頭が真っ白になって立ち尽くしていると、予想外の言葉が発せられた。
「そんなところにほくろあったんだね」
「ぅっ……、え?」
「口元のほくろ、今気づいた」
18年間生きてきていちばんドキドキしたのに。思わせぶりじゃん。
いや、思わせぶりとかじゃなくてほんとに気づかなかっただけなんだろうけど?
なんだかものすごく傷ついて、遊ばれたような気がして。
そこからもずっと2人で帰ってるのに、自分でも引くくらい口数が少なくなった。
〜〜〜
お風呂も入ったし、あとは寝るだけ。
べっとにどさっともたれかかって深いため息をつくと、部屋の扉がコンコンとなった。
「!、どうぞ」
ドアが開いて見えた姿、それはバツが悪そうに佇むパジャマ姿のテヒョンイヒョン。
「…ぐが、俺、なんかした?」
僕のベットにちょこんと座ったあと、目を真っ直ぐに見つめながらそう言う。
「…べつに」
「どうしたの?ほんと、謝るよ」
ひょんにわかりっこないよ。
ヒョンは鈍感だから、ただの弟しか思ってないんだろうけど。僕はそれ以上に、好きなのに。
その気持ちが弄ばれたみたいで嫌だったの。
「…さっき、顔めっちゃ近くて」
恥ずかしいからなのかわかんないけど、顔めっちゃ熱いし、涙出てくる。
ひょんのせいなんだから、ちゃんと話そう。
「…ごめん、気持ち悪かったよね」
「いや!!…そうじゃないです」
それでもヒョンを傷つけたくなくて思わず大きな声を出してしまった。
「…なんか、めっちゃ近かったから…ぽっぽされるとか?意味わかんないですけど、思ったから」
「変に期待して、勝手に傷ついただけ、なんです、ごめんなさい」
「、ぐが」
「ぁと!!、あと…年下だからって子供扱いされてるって思って…ぐすっ、じみにひょんと話してる時、僕が見た事ない顔してたから」
話を遮ってしまった罪悪感と、きもちわるいとおもわれたかとしれないと思ったら辛くなってまともにヒョンの顔を見れない。
「ぐが、こっち向いて」
涙のせいで視界が歪んでよく見えない。
瞬きをしてくっきりと見えるようになったと思えば、また塞がれた。
顔にふわりと暖かい風が吹いた。
瞼に睫毛がかすれる感覚と、途端に唇に柔らかくふれたそのものから、ようやく状況を理解する。
「ぐが、ごめん」
「俺の知らないとこでこんなに傷ついてたとか、わかんなかった」
「これは慈悲とか同情とかじゃなくて、俺がしたいと思ったからしただけ」
「それに、子供扱いされてるって言ってたけど、ぜんぜん、ちがくて」
「…ただ、おまえが、かわいいから…自然にそうなっちゃってる」
このあともぺらぺらとまくし立てるひょんの言葉が、全ては頭に入ってこなかった。
でも、ひたすらにフォローしてくれて、慰めてくれてることはわかる。
ふふ、なんで僕、ヒョンにキスされて、かわいいとか言われて、謝られてんの?
「、ひょん」
「僕、ひょんのこと好きになっちゃったのかも」
「うん、」
「大丈夫だよ」
頬につたう涙を指で拭われ、微笑みかけながら必死に想いを伝える。
「ひょんとしてとかじゃないんです」
「もっと、女の子に向ける感情みたいな、」
「ぐが、きいて」
「、あのさ、俺たちまだ大人じゃないし、お前は成人してもないからよくわかんないんだけど」
「じょんぐがが思ってるより辛いものじゃないよ」
あぁ、多分、多分ね!とひょんは笑って付け足す。
その笑顔に、多大なる包容力が含まれていて僕を安心させてくれる。
「ほんと?」
「うん、」
「俺の事好きだからって嫌いにならないし、俺だってじょんぐがのこと同じようにすきだし」
「ありがとう、ひょん、ほんとに大好き」
失礼かもしれないけど、ひょんにこんな大人な一面があると思ってなかった。
年下のメンバーから急に告白されて、すぐにこうやって答えられるとか、すごすぎるよ。
「いひひ、なんか、俺頭良い人みたいじゃない?」
「ね、びっくりした」
「…ひょぉん、はぐしていい?」
「はぐでいいの??ㅋㅋいいよ!」
そう言うと、僕の腰に腕を回して強く抱き寄せた。
他人とは思えないくらいにフィットして、こんな些細なことでも、運命だったのかもとか思ってみたりする。
「ひょんいい匂い」
「んふふ、同じの使ってるでしょ」
「ひょんの身体からいいにおいするから」
「そっかㅋㅋ」
あぁ、寝ちゃいそう。
ちょうどいいことにお互い寝るだけだから、ずっとこうしてたいな。
「ね、一緒に寝たい」
「いひひ、いいよ〜」
頬をむにっと伸ばされる。
なに、この溺愛感。
「ん、枕ひとつしかないけどもってこようか?」
「大丈夫です、…はなれないで」
「ㅋㅋおれも離れたくな〜い!!」
「ふふ、だいすき」
甘々すぎて蕩けそうになるこの空間に感謝しかない。
僕が抱きしめる力を強めると、ひょんも少し笑って髪を撫でてきた。
「ぐが、おやすみ」
「んふ、おやすみなさい」
𝑒𝑛𝑑_
コメント
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