テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
血がついてしまったシャツを見て、はるは一瞬、驚きの表情を浮かべる。しかし、その後すぐに気を取り直し、かなを一人にするわけにはいかないという思いが強くなった。
「かな、行こう。私、君を一人にはさせたくない。」
そう言って、はるはかなの手を引き、急いで校門を出る。外に出て、少し歩いたところにある公園で、公衆トイレに向かう。
公園に到着した二人。はるはトイレの中にかなを案内し、ドアをそっと閉めた。中は狭くてあまりきれいではないが、今はそんなことを気にしている余裕はなかった。
「かな、傷を見せて。」
はるはそっとかなの手を取る。かなは恥ずかしそうに視線を落としながらも、手首を見せる。そこには、深く切られた跡が痛々しく残っていた。
「これじゃ、また感染するかもしれないよ。ちゃんと手当しないと。」
はるはバッグから絆創膏や消毒液を取り出し、かなの傷口を優しく清潔にする。かなは静かに目を閉じて、その手当てを受け入れる。
「…ごめんなさい。」
かなが小さな声で謝ると、はるはすぐに首を振った。
「謝ることなんてないよ、かな。私が君を守るから。」
傷口が治ったところで、はるは自分のシャツに血がついてしまったことに気づく。新しい服に着替えようと思っていたが、今はかなが一人でいるのが怖いだろうと思い、服を着替える決心がつかない。
「ちょっと待っててね、かな。」
はるはそのまま、公衆トイレの中で自分の服を取り替えようと決めた。かながどんなに辛い思いをしてきたのかを考えると、自分のことなんて気にしていられないと思った。
「もう少しだけ、一緒にいてくれる?」
トイレの中で服を着替えながら、はるはかなに声をかける。かなは小さく頷くと、じっとその姿を見つめていた。
服を着替え終わると、はるは少し顔を赤らめながらもかなの方に向き直った。
「大丈夫。もう一緒に帰ろう。」
「うん…ありがとう。」
かなは涙を浮かべた目で、はるに微笑む。その顔を見て、はるは心の中で「この子を絶対に守りたい」と強く決意した。
二人はそのまま手を繋ぎ、ゆっくりと歩き出す。公園の静かな空気の中、はるはかなを安心させるために、ずっと側にいることを誓っていた。