公園でのひとときを終えた二人は、再び歩き始める。かなは、最初は少し心配そうな表情を浮かべていたが、はるが優しく微笑みながら手を握ってくれていることで、少しずつ安心を取り戻していった。
「かな、今日はもう帰らなくていいよ。私の家に来なよ。」
はるのその言葉に、かなは驚きの表情を浮かべるが、すぐにそれを隠して、わずかに頷いた。
「本当に…いいの?」
「もちろん。家でゆっくり休んで。あなたが家に帰るの、心配だし。」
かなは言葉を受け入れると、無理に笑顔を作ることなく、はるに頼ることに決めた。そのまま、二人ははるの家へと向かった。
家に着くと、はるはすぐに家族に電話をかける。母親に事情を話し、かなを自分の家に連れてくることを伝えた。
「お母さん、今日はかなを私の家に泊めてもいい?」
「いいわよ、はる。あなたが大丈夫って思うなら。」
電話を切ると、はるは安心した表情を浮かべ、かなを案内して家の中に入れた。
「さあ、リラックスしてね。お風呂とか、温かい飲み物でも用意するから。」
かなはその言葉に、少しだけ表情を緩めた。けれど、心の中ではまだ警戒心を捨てきれない部分もあった。どうしても自分が他人に迷惑をかけているような気がして、心が重く感じる。
「ありがとう…でも、迷惑じゃない?」
はるは笑顔で肩を軽く叩き、やさしく答える。
「迷惑じゃないよ。むしろ、あなたが元気を取り戻すのが私の一番の望みだし。」
その言葉に、かなは胸がじんと温かくなるのを感じた。これまでずっと、自分がどうしても他人に迷惑をかけていると感じていたが、はるの言葉に、少しずつその気持ちが解けていくような気がした。
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