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・創作BL
・誤字が凄いです気づいたらすぐ治します
神様×嫌われ者の生贄半妖
生まれた頃から両親はいない、『捨てられていた所を拾った』そう言われてきた。
ご飯も死なない程度には貰ってたし雑用も最近は慣れてきた。
いつも通り頼まれた雑用をしていたとある日腰の下と頭が痛んだ。頭から動物の耳が生えて腰には尻尾が付いていた。
キツネぽさがある。その事が村人に知られ瞬く間に 広がった。
そこから態度は偉く変わった
雑用の量が増えた、ご飯が少なくなった、子供達に距離を取られるようになった、他の大人に気味悪がられた
忌々しい妖怪の血が入った子。気持ち悪い。近づかないで。不幸を招くこよ。人間のなりそこない。毎日毎日毎日そう言われてきただけどもう慣れた
家の中に荷物を届けようと入ろうとした時声が聞こえた。村長だ
『最近雨が降らなくなったな…』
『取っておいた作物もこれ以上は…』
『山神様のお怒りなのか…一体何がダメなのかっ』
『もしや山神様は生贄を欲しているのでは?』
『生贄?』
『山神様は自分のお身体が古いと思い新しい身体が欲しいと思っているはずです』
『ほほう、理由が違えど生贄は間違っていないかもしれぬ』
『生贄か、皆の子供は我々の家族、どの子を生贄に差し出すか』
嫌な予感がした。村長達が言う子供は家族、その中の子供におれは入っていない
だめだ、逃げなきゃ。妖怪のキツネの本能なのか、全身が震え頭の中で逃げろと警告する
『嗚呼。そうだ1人いるじゃないか』
『我々の子供でも家族でもない人間でもない子が』
逃げよう。そう思い後ろを向こうとした時、顔に布を押し当てられ体を押さえつけられた。
「だめだよー、逃げちゃダメ」
若い男の声と共に意識はブラックアウトした。
_________________
シャン
シャン
シャン
鈴の音が聞こえる
目が開かない力が入らない
硬い地面に寝かされているのは分かる、人の気配もない、じゃあこの鈴はなんだ
『_______?』
なに…?
『______』
わからない
『________』
『_________?』
『返す訳にも行かんだろ、連れて帰る。』
だれ?
『_______』
もう…いしきが
________________
硬い地面じゃない、ふかふかで暖かい。草と香?のいい匂いがする
暖かい何かがおれの頭を撫でた、村人に叩かれ引っ張られたキツネの耳をふわりと撫でられた。
『…!コン、薬もってこい。耳の裏がちぎれかけてる』
『______!』
ふわりと撫でる手が止まり離れていく。名残惜しくて、まだ撫でて欲しくて重い腕を動かして引き止める
『なんだ、起きていたのか』
「ぁっ…っ」
『声が出ないのか…水は飲めるか?』
上半身を支えられながら起こされ口元に吸い飲みを当てられる。流れてくるひんやりとした水をゆっくり飲む
「けほっ、けほ、」
『_______!』
『コンか、髪を分けるから薬を塗ってくれ』
『____!』
ふわりと髪をキツネの耳の根元が見えやすいようにかき分けられる。
ヒヤリとしてベタベタとする薬を塗られ染みていたんだ
「いぅっっ」
『すぐ馴染む、もう少し我慢しろ』
『_______?』
「…??な、に」
『コン、人の子にその言語は伝わらん』
『___!コホンッ失礼いたしました!』
霞む目を擦り目の前にいる”コン”らしき人を見る…人?
『私はクロセ様にお使いしている狐のコンにございます』
「きつ、ね」
二足歩行出歩く狐!?!?
『はい!貴方様と同じ狐でございます!もう1匹ギンと言うものもございますよ』
『おもゆは食べられそうですか?貴方様は数日食べていらっしゃらないと見込み普通より煮込んでおります』
「…おれが食べても、なぐらない?」
『????なぜ殴る必要が?お気になさらず食べてください』
「たべたい、たべたいです…っ」
『承知致しました、ギンに伝えて参ります!』
「あの、えっと、クロセさん?」
『なんだ』
「おれ、何でここに…?」
『生贄に出された事を覚えていないのか』
「いけにえ、そうだ、あの時後ろから眠らせられて…」
『そうだ、あの後村の奴らがオレの家の近くに供えとして転がされてた。』
そもそも天気にオレは関係ない。そうぽつりと呟いたクロセ様はおれの尻の下に手を入れ抱き上げた。
『落ちたくなければ掴まってろ』
「わっ、はい」
__________________
目の前に出されたおもゆは味付けがちゃんとしてあり鮭の切り身や色々なおかずまであった。若干涙目になりながら頬張る。
『コン、ギンオレの昔の着物からこいつのサイズにあうのを選んでくれ』
ギン『了解しました』
コン『承知しました』
『それで、お前の名前はなんだ』
「…なまえ」
「ないです、なまえ…」
『村にいた時はなんて呼ばれてたんだ?』
「…おまえ、とかおい、とか…化け物とか…」
村にいた頃は半妖とわかる前から名前なんて付けてもらっていなかった、どこで拾われたのかも分からず。
『…これから住むのに名前はないと困るな…少し考えておくから待ってろ』
「住む…?」
『住まないのか?』
「おれ、何も出来ないよ…」
『気にするな』
『ここにはオレとコンギン以外居ないから迷惑にはならない、それに家族が1人増えるくらい構わない』
“家族”
この家に住んだらおれはこの人の家族になれるのかな
『泣くな、どうする。』
「なり、たいっ、なりたいですっ」
「家族に、なりたいっ…!」
零れた涙を手で擦りながら撫でてくれる手の温かさを感じた。
__________________
1話END
???
キツネと人間の半妖。耳と尻尾のしまい方は分からず常に出しっぱ。11歳の時に覚醒して2年がたってる。
明るめの茶髪と青い目、尻尾も茶色で毛先が白い。
村人に拾われたがどこに捨てられてたのか、親は見たか、名前はあったのか等全ての返答を適当に返されてきた。
クロセ
何百年も生きてる神様。今は村近くの山に住んでいて山神と言われている。
別に助けた覚えはないし天候は関係ないのに崇められてる生贄出された。
私服は着物
黒髪、金の目。目は切れ長で綺麗系の顔
コン・ギン
クロセに仕えてる2匹のキツネ。
二足歩行してる
________________
2話
『ソラ』
「そら、」
コン『瞳の色から取られたのですね!確かに美しい空色をしていらっしゃいます!』
『ソラ、どうだ?』
「そら、ソラ、ソラっ」
『気にったようでよかった』
「はい!」
じわりと心が温まるのを感じた。ソラ。名前を付けられて、初めて呼ばれた。
『ソラ、散歩に行くぞ』
「はい!あ、でも草履は無くて…」
『抱えるから気にするな』
「えっ」
クロセの右側の腕に抱えられて首に腕を回す。クロセは左手で傘をさしている。
そよそよと吹く風がおれの頬をくすぐる。
『嬉しいそうだな』
「あっ…えへへ」
いつの間にかにんまりとした顔をしていたみたいだ。
クロセはおれが楽しめるようにゆっくり歩いて進んでくれた。
そんな時草をかき分ける音が鳴る。その音と共に聞こえる声
「___あいつは____」
「全く____ふらな____」
「このままで________」
聞こえてきた声は、村長だ___まるで身体は血の気を失ったかのようにゾッとして冷えていく、手が震え始めて 、思わずクロセの首に回している手に力を込め抱きついた。
『…何があっても顔を上げるなよ』
え?と声に出しながら顔を上げようとしたら頭の後ろにクロセの手がおかれそのまま首筋に埋めるように頭を押し付けられた。
「__あのガキ、一体何して___」
『何者だ。』
先程とは代わり低く怖い声だ。
「っ…」
『悪い。ソラに言ってる訳じゃないから気にするな』
ビクリとしたおれの頭を撫で小声で優しく言ってくれた。そのままコクリと頷き首筋に頭を埋めた。
『何者だと聞いている』
「あっ、え、も、もしかしてやま、山神さま!?」
『そうだな、お前らが山神と呼んでいるのはオレの事で間違いない』
その言葉を聞くと村人はクロセに土下座し乞た。
「山神様!どうか雨を振らせてください!」
「我々はそのために生贄を出したのですが、その生贄が逃げたようでして、山神様の元に届かなかったのです!」
『…生贄を欲した覚えは無いんだが』
『そもそもオレは天候を操れたりはしない』
「え…?」
「そ、そんな、そこをなんとか、山神様!!」
「ま、待ってください!」
「我々をお救い下さい!」
村人に背を向けクロセは歩き出した。後ろで叫ぶ村人は足をもつれさせながらクロセの着物を掴もうとした。
やだ、触らないで、クロセに触らないで
おれにした時みたいにクロセにしないでやだ、やだやだやだやだ
村人に後ろから服を掴まれて転ばされた事がある。ボロボロの数枚しかない着物を破かれた事がある。クロセの綺麗な着物に触らないで!
「クロセに触らないでっっ!!」
ぶわりと尻尾と耳の毛が逆立ち村人の伸ばした手の先に炎が灯る。
『!…ソラ』
「あ”っっっっ」
「村長!まてよ…お前…まさか!」
『ソラ、走るぞ、捕まってろ』
しっかりとだき抱えられクロセが走る。
_________________
コン「クロセ様!?どうなされたのですか!?」
草履を脱ぎ捨てながら寝間に走り出すクロセは途中に歩いていたギンに要件言う『今すぐ布団を用意しろ、ソラの体温が上がり続けてる!』
ギン『!!畏まりました!』
ギン『コン!』
コンが急いで引いた布団に寝かせ着物の紐を緩め上着を脱がせ寝かせる。
コン『ソラ様は一体どうなさられたのですか?』
『ソラが妖術を使った』
コン「妖術!?」
『半妖だから使えなくは無いが今まで使ったことのないソラがいきなり使うと負担が酷い』
苦しそうに息をするソラの首に手を当て心配そうにするクロセにコンは(ここまで感情を出すのは珍しい)とも思った。
『荒治療だが、今からオレの妖力を流して慣れさす』
ギン『大丈夫なのですか?』
『一瞬熱は上がるがどうせこのままでも熱は上がる、長引くよりは辛くないだろう』
『ソラ、ソラ。聞こえるか?』
「…っなぁ…に」
『今からお前に妖力を流す、一瞬辛くなるが大丈夫か?』
「ぅん、だいじょうぶ」
『偉いな、起きたらギンに飯でも作ってもらえ』
「ぅん、あいす、たべたい」
ギン『お易い御用ですソラ様』
ふわりと笑ったソラの身体を起こし後ろから抱き抱える。右手を取りゆっくりと妖力を流す。クロセの黒髪から除く金の目が少し光を纏う。
ソラの体温が上がりだし苦しそうな息が上がる
『辛いな、大丈夫、もう少しで終わる』
「ふぅっ、ふぅ…っ」
『頑張ったな、熱はすぐに収まる。今アイスを作ってもらっているから出来たら持ってきてやる』
「うん…くろせ」
『?』
「妖術って、なぁ、に」
『そうか、知らないか。治ったら教えてやる』
「うんっ」
いつの間にか眠っていたようで外はオレンジ色に染まっていた。
ちょうどおれの頭の上のタオルを変えていたコンが気づいた
コン『目覚めましたかソラ様』
「おはよう、コン」
「あれ、クロセは?」
コン『おはようございます。クロセ様は今は別室にいますよ』
「そっか」
コン『アイスお持ち致しましょうか?』
「!!あいす!!」
コン『はい、お持ちしますね特殊なトッピング付きで』
「??うん!」
コン『お待たせしましたソラ様』
『ソラ、体調はもういいのか?』
「!!!クロセっ!」
『こら、飛びつくな。アイスが落ちる』
「くろせ、クロセ」
コン『アイスお持ち致します』
『嗚呼。どうしたソラ、いつにも増してベッタリだな』
「えへ…」
『コン、アイスはオレが食べさせるからもういいぞ』
コン『畏まりました。では失礼します 』
『ソラは耳を触られるのは怖くないか?』
「うん、もう大丈夫」
『ちぎれかけていた傷ももう繋がっているな。』
「おれ、クロセとコンとギンに耳触られるの好きだよ」
にへとふんわり笑うソラの頭を撫でてやれば擦り寄ってきた。
『そうか、それは嬉しいな』
「えへへ、最近コンとギンに耳はふわふわが命?って言われてほしつ?されてるんだ」
『そうだな、確かに滑らかになってる』
尻尾がゆっくり揺れて耳がピルルと動く
「えへへ」
__________________
2話END
ちなみに溶けかけたアイスは急いでソラが食べました。
ギン『私が作りました✌️』
家事能力
0 クロセ
50 ソラ
100 コン
100 ギン
__________________
3話
ザッ
ザッ
ガララララッ
「…?クロセじゃない…」
耳をピクリと動かし入ってきた人物がクロセじゃないことに気づく。寝転がっていた身体を起こして音がする方に警戒する。
「あっれー、クロセ居ねぇじゃん…お?」
「っっ!」
「?狐妖怪か…いや、半妖…?」
耳に向かって手を伸ばす男にソラは身体を震わせた、尻の下から前にまわして持ってきた尻尾の握る力を強めた。
『化け物!動物の耳が着いてるなんて変!』
『耳が無くなったら人間になれるかもね!』
そういいおれの耳を掴んで引っ張った子供
『せめて耳くらい見えなくしろ!!気色悪いだよ!』
そう言って耳を鷲掴みにした大人。
やだやだやだやだ触らないで触らないで触らないで!!!
クロセとコンとギンが撫でてくれる耳に触らないで!!いやだ!!!
「や、ぁ…」
「お?」
「さわら、さわらないでっっっ!!」
ボンッ
「!!狐火か…」
スパーンッッ!
勢いよく襖の扉が空くと入ってきたクロセがソラに寄る
『ソラ。ソラ、どうした?大丈夫か?』
コクコクと怯えた顔で俯きながら頷くソラを抱きしめながら男へと顔を向け睨む。
『何したんだ』
「睨むなよこえーな!」
「ただ俺は『半妖かー、珍しいな』って思っただけだよ」
『何かしたから怯えてるんだろ』
「元から警戒はしてたみたいだが。耳触ろうとしただけだよ」
『っっなぜ突然耳を触る』
「いやぁ、ふわふわでな」
『ソラは勝手に耳を触られるのが苦手なんだ!』
「そうなのか!?悪いな、半妖君。」
「…それにしても、お前がそこまで感情を高ぶらせるなんて珍しいな」
クロセが抱きしめているソラの目の前にしゃがむ。
「本当悪かった、半妖君。お詫びとした何が今度持ってくるよ、何が好きな食いもんとかあるか?」
『…ソラ遠慮しなくていい。家が埋まるくらいの量でもいい』
『お前は遠慮が無さすぎる』
「す…」
「ん?」
「あ…いす」
「アイスか!いいぜ、色んな味待ってきてやる」
あいすの魅力には勝てない。にへ、とぎこちないが笑った。
居間で3席並び反対側にも3席ある計6席。
真ん中に座るクロセは膝にソラを乗せていた。ソラはアイスを食べている
その両脇に座るコンとギン
真ん中の、クロセと真正面の席に座る男
カラン。ソラの食べていたアイスが空になったようだ。
「あの、クロセ、この人って」
『この馬鹿は距離感がバグってる阿呆、ナイツだ』
「言い過ぎ…ソラ君を怖がらせたこと根に持ってる…」
「一応クロセと同じ神様だな。」
「かみさま…」
妖怪や神様なんて本当にいないと思っていたソラはまさか自分が妖怪の血を引いていて家族になった人が神様なんだ。まるで夢のようだと思う。
「ぶっっ!お茶あっっっま」
コン『すみません塩と砂糖入れ間違えました』
「塩もいれねぇだろ!!」
「お前も根に持ってやがるな!」
コン『イエイエそんなことありませんよ。』
「ソラ君過保護組怖い!」
ナイツ帰宅後。夕方の寝間でゴロゴロと転がっていたソラの横に腰を下ろしたクロセがソラの耳の付け根を撫でる。
『大丈夫か…?』
「うん、大丈夫」
『ナイツが悪かった、撫でられるが怖くなってないか?』
「ううん、クロセに撫でられるのすき」
『そうか、良かった』
ふわりとなでなでしてくれるクロセの手が心地よくて目を細める。
「クロセもコンもギンもだいすき」
えへへ、と尻尾をゆらゆらしながらクロセの手に擦り寄りながら言うと部屋の外からガタンッゴンッと音がした。
「えっ!?」
コン『も、申し訳ありません。こ、転けてしまいましぐふっ…トウトイ』
「とう、とうとい??」
「ギン!?頭から血出てるよ!?」
ギン『大丈夫ですよ!鍛え直していただけです!』
「!?!?!?」
今日も平和な一日です。
__________________
3話END
プロフィール②
ソラ 妖怪と人間のハーフ、狐の尻尾は1本でふさふさ最近はキツネっぽさが滲み出ている
クロセ 村近くの山に暮らしている妖怪の長的存在の神様 神様だが妖力もある。人じゃないみたいだけど真の姿、種族は不明
コン・ギン 上位狐妖怪。尻尾は三本
コンが黄褐色 ギンが白色
ナイツは天候系の神様。見た目はチャラい
蛇の神様
だからクロセは「ナイツに頼めよ…」みたいに思ってた神様は神様でも部類が違う
天候を変えようと思えば出来なくはないが力の消耗が激しいからしたくない
__________________
4話
「ふんふふん♪♪」
森の浅い所にある花畑に座りながら花冠を作って鼻歌を歌う。
コン『お上手になられましたねソラ様』
「えへへ、でしょ!」
ゆらゆらと尻尾を揺らし嬉しそうに笑っているソラ。花冠の作り方はコンに教えてもらいココ最近毎日作りに来ている。
「クロセ喜んでくれるといいな」
コン『絶対喜びますよ』
「やった!」
ガサッ
うむむ?と顔をしかめていたソラが耳をピンッと立て警戒する体制に入った。それはコンも同様で微笑みながらソラを見ていたコンも立ち上がり戦闘体制に入った。
「あのクソガキが山神様を怒らせたに決まってるっ!」
村長と村人だ。クソガキ、は多分おれの事だ。
斧を持ちながらゾロゾロと歩いて来る村人は開けた花畑に気づいたのかこちらに向かってきた。
「花畑か?こんなのあったか?」
一歩踏み出す、グシャリ。と踏まれた花が潰れる
「……!!!」
「あ…?」
「村長、あそこに居るガキって…」
「彼奴だ…捕まえろ!!」
村長が此方を見て大声で叫んだ。村人は走り此方に近づいてきた。ぐしゃぐしゃと潰される花。
「お前のせいでっっっ!!!」
おれの頭を掴もうと手を伸ばしながら歩んだ一歩が作りかけの花冠を踏んだ。
「あ…っ 」
「コンが…せっかく……」
コンが忙しいのに何日も手伝ってくれてやっと完成しそうだったのに
なんで?
おれを捨てたのにまだおれに関わるの?
なんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで?
ポッ、ポッ、ポッ。ゆっくり空に浮かぶ炎が灯る。ソラは俯いているが耳は下がり尻尾の毛はぶわりと逆だっている。
「ひっ!なんなんだこれ!」
「なんで火が空に浮いて!」
「やっぱり化け物だ!」
「さっさと殺せ!」
村長のその一言で怯えた目をした村人は勢いで斧を振り上げた。
ふわりと炎が村人に当たる寸前コンによって村人は吹き飛ばされた。チラリと見上げたソラの服の衣紋をコンが掴み後ろに投げた。
『良くやった。コン』
後ろにいたらしいクロセに抱きとめられた。コンはコクリと頷き目の前の村人に向き合った。
「く、ろせ」
『お前の妖術は人を傷つけるものじゃない。』
「だ、だって、クロセに作った花冠、あと少しで、コンにも手伝ってもらってっ」
『そうか、ならオレもソラに作る。だから作り直そう』
「うんっ」
ぼろぼろと泣き出すソラを正面から抱き抱えるとソラの手が着物の裾を掴んだ。優しく頭を撫でてやると嗚咽が段々と漏れ始めた。声を上げて泣く事も我慢してきたのか。そう思いながら耳を塞いでやる。村人の叫び声が聞こえないよう。
『コン、やりすぎるな』
コン『…はい。存じております。』
コン『ギン。』
コンに呼ばれたギンはクロセの横からゆっくりと歩いた
ギン『なんだ?』
コン『暴行は許可されなかったので。幻覚を見せるから手伝ってください』
ギン『了解。どんなのだ?』
コン『ソラ様に行ってきた事をやられる側として見せます』
ギン『了解。』
『あまり声を出させるなよ。耳を塞いでも少しは聞こえ…』
腕の中にいるソラを見る。目は涙の跡がついてはいるがすやすやとクロセの着物の裾をしっかりと掴んで寝ている。
『いや、大丈夫そうだ。』
『オレらは先に帰っておく。コンは事が終わったらタオルを水に濡らして持ってきてくれ。』
『ギンは幻覚を見た事以外の記憶を消し村に返せ 』
『トラウマは植え付けろ』
コン『承知致しました』
ギン『了解しました。』
数時間後。時刻は黄昏時布団の中でパチリと目を覚ましたソラはゆっくり起き上がり辺りを見渡す。
「あれ…村長達は…クロセ?コン?ギン?」
???となっているとカタカタと襖が空いた。
コン『お目覚めになられましたかソラ様』
「おはよう、コン」
コン『はい、おはようございます。』
コン『妖力を使いましたが体調はいかがですか?』
「なんともないよ、大丈夫」
コン『そうですか。大分妖力にも慣れてきたようですね。』
「うん!」
コン『体調を様子見して大丈夫そうであれば妖術のお勉強をしましょうか』
「!!するっ!」
コン『畏まりました。今日はとりあえず夕食にしましょう。おやつにアイスもありますよ』
「やったー!」
_________________
4話END
後日クロセとみんなで花冠作ったらクロセがすごい下手だったりする。
細かい作業が苦手なクロセと覚えが早いソラとなんでも完璧なコンギン。
クロセ、コン、ギンはソラの名前を沢山呼びます。名前呼ぶと嬉しいそうに笑うから
_________________
5話
『ソラが今出した炎が妖術の一つだ』
クロセふわふわと浮かぶ炎を突くが痛く無いのかいつもどうりの顔で突いた炎はゆっくりと消えていった。
『どうした?』
心配やら驚きやらでごちゃごちゃなって変な顔になっているソラにクロセは疑問がる。
コン『ソラ様、妖怪、半妖の攻撃はクロセ様には効かないから大丈夫ですよ。』
「そ、そうなんだ」
『次に妖狐は幻術も得意とする、だからその幻術を覚え耳と尻尾を隠す事を覚えてもらう』
「…?しまうとかじゃないの?」
『しまったら窮屈だろう。それに幻術を覚えれば敵に遭遇したとしても逃げやすくなるからな』
「分かった!がんばる!」
ぽす、と頭に手を置き撫でる尻尾がフリフリと揺れる。
『嗚呼。頑張れ…____はぁ…コン、ギンソラを任せた』
「?クロセ?」
『ソラ、オレは仕事が出来た。すぐに戻る』
「分かった!気を付けてね!」
『嗚呼。』
コン『そうです!耳は隠せています!』
ギン『あとは尻尾だけですよ』
「む、むむむむっ」
『ソラ』
「わぁっ!?」
『悪い、驚かせた。』
「お仕事おわったの?」
『いや、コン、ギン。ソラには説明する。ソラの正装を見繕ってくれ』
コン『畏まりました。』
ギン『了解しました。』
「正装?」
『ソラ、今からオレの仕事場に来てもらうことになった。』
「えっ!?」
クロセの説明によると
神が集まる集会?みたいなものに呼ばれたクロセは「半妖の妖狐を拾ったみたいだな。」「貴殿の元に居るのに相応しいか見定める。連れてこい」と言われたらしい。
ちなみにクロセによるとこんな偉そうな口調しているがクロセより階位は下なんだそうな!
『腹立つことを言われたら言い返していい。いざとなったら低位の座から引きずり下ろす。』
正装に着替える為部屋を移動する為にだき抱えられる。
いつもと変わらない表情と言い方だが口調に少し棘がある言い方をしてスタスタと歩くクロセ。頬を少し見ると青筋がピキりと浮き上がっていた。
表情には出ていないがかなり怒っているみたいだ。
クロセ いつもの黒の無地の着物と白茶の羽織(ソラの物)
ソラ 紺の無地の羽織と黒の羽織(クロセの物)
「クロセ、羽織も黒なんだね」
『黒は無難で良い。明るい色の羽織は久しぶりに着た』
「交換楽しいね!」
『ソラが楽しいなら良い。そろそろ行くぞ』
「うん!」
ソラは歩くと言ったが何があるか分からないためクロセに抱き上げられたまま運ばれている。
一歩後ろに左右を歩いているコンとギン。
『ソラ、入るぞ』
大きな扉に左手を添え軽く押すと開いた。
ギ、ギィィイ。
ジロリと此方に向く視線。好奇心、悪意、無感情。
スタスタと歩くクロセは囲うように並ぶ机の間に達上に座る数名の男を見上げて言う。
『望みどうりの連れてきた』
[ほう、ソナタが半妖の妖狐か]
[本当に半分人間なのだな。]
[そんな半端物が貴殿を誑かしたのか。]
増える視線。悪意、悪意悪意悪意悪意
ぎゅう。と震える手でクロセの着物を掴んみ小声で伝える。
「あく、い。ぜんぶ、あくい、悪意の視線っ」
過去の経験からソラは悪意の視線には特に敏感であった。それ故にクロセには『悪意の視線を向けられたらすぐに言え』そう言われていた。
『…誑かした?聞き捨てならないな。』
[誑かされたからその物に肩入れしているのだろう?]
[誰も家族にしない貴殿が突然家族を増やしたのだ。誑かされたのだろう?その半端者に]
『……お前らはいつからオレの家族を侮辱出来るほどの権力を手に入れた』
ピキりと頬に青筋が浮き上がり目が鋭くなる。
鋭い目に睨まれた男はビクリと肩を震わせたがすぐに威圧的な態度に戻る。
[は、、はっ!権力だと!?確かに貴殿は我々よりも階位は高いがその権力を放棄しているではないか!]
『………そうか。』
クロセの左手でぴくりと動いた。
どうしよう、と焦っていたソラはコンに言われたことを思い出した。『神々の集まりの場でクロセ様が暴走するのは行けません。なのでソラ様、もしクロセ様が暴走しましたらソラ様がコレをあーん、なるものすれば大人しくなりますよ』
急いで着物の中から紙を取り出しその中に包まれているきゃんでぃ?をクロセの唇に当てる
「あ、あーん…?」
ふにふに。目を見開いたクロセはため息をついてきゃんでぃーを口に入れた。食べてくれたことに安堵しソラはへにゃりと笑った。
『突然どうした』
「コンが、これを食べさせてって」
『変な手を回したな…』
『ソラは食べないのか』
「食べていいの?クロセのじゃないの?」
『オレを落ち着かせる為に適当に渡したやつだろう。好きに食え』
「?わーい!」
右腕に抱えられたままのソラの頭を撫でる。
[な、なんなんだ、そいつっ]
男達は自分達を攻撃しようとしていた上位の神の力に怯え何も出来なかったのに対しキャンディを口に当て何語も無かったかのように会話しているのだ。
その瞬間からクロセの殺意は消えた。
そこに座っていた最もプライドの高い男がテーブルを叩き叫んだ。
『わ、我々に攻撃をしようとしたな!!何のつもりだ!!』
ドンッッ!と鋭い音がなり耳が良いソラの肩がビクリと揺れ、毛がぶらりと広がった。その際に使っていた幻術が解け顕になってしまった。
「ゔゔぅぅぅ…」
『…ソラ?』
耳をペタリと尻尾は下に下がり顔を顰めて唸る。ソラが初めて唸り声を出した威嚇だ。
[なんだ、私に威嚇をするか、この半端者の獣が!!]
バンッ!とテーブルに手を付き立ち上がり叫んだ男にクロセが手を出す前にその男を囲うように炎の球が浮かびがった。
「ゔゔぅぅっ…」
睨むように目を細める、覗く青色の目が光を帯びていた。
むぎゅ
「!」
左手手でソラの尻尾を軽く掴んだクロセにびっくりし目を丸くして驚く。
「???」
『帰るぞソラ』
「???うん?」
耳の付け根やら尻尾の付け根やら頭やら顎やら様々な所を撫で回される。
「??きゅ…」
『気持ちいか』
「うん…きゅぅ」
垂れ下がっていた耳と尻尾はふりふりと揺れクロセの手に擦り寄っている
男達に背を向け入ってきた扉に向かう。歩きながらクロセは言う
『これ以上ソラにちょっかいをかけてみろ。二度とその席に座れないようにしてやる。』
言い方は変わらないがこもっている殺意が違う。
ひっ、と情けない声を上げた男を無視しそのまま外に出る。
『コン、ストレスが溜まっていると思うから当分の授業はなしだ』
コン『承知致しました』
『それとギン。人が当分森の奥に入れないように幻術をかけろ。そうすれば入り口をさ迷うことになる。』
ギン『了解しました』
布団から起き上がったソラは髪の毛と尻尾、耳はふわふわしていて寝癖が着いているし目は半開きでぽやぽやしている
頭も揺れている。
「ふぁ…あいすたべたい」
________________
5話END
ナイツはクロセが入ってきた時から「うわ〜キレてるw」って笑いこらえてたし
ソラを半端物っていっときには「今のクロセにそれは禁句だろw」って吹き出しかけた
だけどソラを獣と言ったりソラが威嚇しだしたあたりから本気で攻撃の準備してた。
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ネタが出たら続きます!
この創作書くスピード凄いです ネタが湧き上がって来ます
1万2000文字超えて最高です