「ん…。」
(あれ…ここって…)
いつも間にか眠っていたらしい。降りるところを逃してしまった。
「はぁ…」
思わずため息をつく。天気は朝から曇り。嫌な過去を思い出す…。
良いことがない。
(仕方ない。次のバス停で降りるか…)
「次は○○〜○○です。お降りの際は…〜」
この音声。聞き慣れてしまえばアラームと同じで感覚が無くなってしまうんだな… なんて馬鹿げたことを思いながら降りる準備をする。
(イヤホンしよ…)
バスを降りれば街の音が聞こえる。
ー うるさい。聞きたくない。 ー
この音楽も何度聞いたか分からない。
尚央はまた歩き出した。