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「……朝倉さん?」華麗で、透き通るような声に、裕翔は聞き覚えがあった。その声の主は──
静香だった。前も見た、惹き付けられる紫色の目、いつ見ても綺麗な長い黒髪。裕翔はまたその姿に見蕩れていた。しかし、不思議にも制服姿だったのだ。
しかし裕翔はそれ以上の違和感を覚える。静香に名前を教えていないのだ。
「さ、鷺ちゃん!?なんでここに……っていうかなんで名前知って……?」
その言葉を聞いた静香は裕翔に微笑み優しく言った。
「お姉さん、いますよね。」
裕翔は静香に何から何まで知られている気がして、少し不気味だった。
「ま、まぁいるけど……」
「そのお姉さん、朝倉さんのこと探してたんですよ。名前はお姉さんに聞きました。」
裕翔は、制服で同じ学校だと姉はわかったのだと理解した。
静香は裕翔が座っているベンチの隣に座り、裕翔の方を向いた。
裕翔は近くに静香がいることに意識をしてしまい、心臓の鼓動が早くなる。
「何かあったんですか?」
その言葉に、裕翔はドキドキとしていた心がズキンと痛くなる。
「い、いや俺が一方的に……」
「…そうですか。それでは、私は帰ります。」
あまりにもいきなり帰ると言い出すので、裕翔は少し動揺してしまう。
「え、あ…まだ話してかない?」
裕翔はまだ一緒にいたいと言う気持ちが抑えきれないでいた。
「明日、話せますよ。…ではまた、図書室で。」
静香は優しく語りかける。裕
「え、あ、じゃ……またね鷺ちゃん。」
それを言い終わる前に、静香の姿は見えなくなってしまっていた。
その瞬間、公園の外から足音がする。
「あ、裕翔!」