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キルアと雪山の山小屋でドキドキの一晩💓
白い雪が一面に広がるスキー場。
吐く息が白くて、空気はきんと冷たい。
「すご……真っ白」
×××が目を輝かせる横で、キルアは板を履きながら様子を見ていた。
「初めてなんだろ?」
「うん……ちょっと不安」
「大丈夫。オレが教える」
その言い方がやけに落ち着いていて、×××は少し安心する。
ゴンは二人を交互に見て、にっと笑った。
「じゃ、俺あっち行ってくるね!」
「え?」
「キルア、先生役よろしく!」
そう言うが早いか、ゴンは勢いよく滑って行ってしまった。
「……あいつ、絶対わざとだろ」
キルアは呆れつつも、×××を見る。
「行くぞ。まずは立ち方から」
「う、うん」
ゆっくり手本を見せて、×××の前に立つ。
「膝は軽く曲げて。力入れすぎんな」
「こ、こう?」
「そう。上手いじゃん」
褒められて、×××は少し照れる。
慎重に進み始めるが――
「あっ」
バランスを崩して、前のめりに転んでしまった。
「……っ」
一瞬の静寂。
次の瞬間、キルアがくすっと笑う。
「はは、初めてなら普通」
すぐに近づいて、しゃがみこむ。
「痛くないか?」
「だいじょ……ぶ、かな」
「ほら」
キルアは手を差し出す。
「掴め」
×××がその手を取ると、キルアはしっかり支えながらゆっくり立たせた。
「ありがとう……」
「どういたしまして」
近い距離で目が合って、二人とも一瞬だけ黙る。
「……怖かった?」
「ちょっと」
正直に言うと、キルアは少しだけ表情を柔らかくした。
「じゃあ、次はオレの後ろついて来い」
「うん」
再び滑り出すと、さっきよりも少しだけ安心できる。
転んでも、
失敗しても、
キルアがすぐそばにいる。
(……心強い)
少し離れた場所から、ゴンが振り返ってにやにやしていた。
(うん、いい感じ)
雪の中で、
笑って、転んで、助けられて。
寒いはずなのに、
二人の間の空気は、どこかあったかかった。
「……次はな」
キルアは板を止めて、×××の後ろに立った。
「一人で行くの、まだ怖いだろ」
「う、うん……」
「じゃ、オレが後ろから支える」
そう言って、キルアはそっと距離を詰める。
ほぼ、ゼロ距離。
「え、近……」
「動くな。転ぶ方が危ねーから」
落ち着いた声とは裏腹に、
キルアの神経はフル回転だった。
(近すぎ……)
×××の背中越しに伝わる体温。
小さく緊張した呼吸。
(……集中しろ)
キルアは自分に言い聞かせる。
「オレが方向取るから、力抜け」
「う、うん……」
ゆっくり滑り出す。
最初は安定していた。
「ほら、いけてる」
「ほんとだ……!」
×××の声が少し明るくなる。
その瞬間。
スピードが、思ったより出た。
(……っ)
キルアの眉がわずかに寄る。
(結構ギリギリ……!)
でも声には出さない。
「大丈夫。オレがいる」
後ろからしっかり支えながら、
細かく重心を調整する。
内心は必死なのに、
表情は余裕そう。
×××はそれに気づかず、少し安心した声で言う。
「キルア、すごいね……」
「……当たり前だろ」
強がり気味に返しつつ、
無事にスピードを落として止まる。
「……止まれた!」
「ほらな」
二人が止まった少し上の斜面。
そこから一部始終を見ていたゴンが、
板を止めてニヤッとする。
「やるじゃん、キルア」
誰にも聞こえないくらいの小声で、ひとりごと。
「余裕そうな顔してるけど……
絶対内心バクバクでしょ」
楽しそうに笑って、また滑り出す。
下では、×××が振り返った。
「ありがとう。全然怖くなかった」
その一言で、キルアの緊張は一気に抜ける。
「……なら、よかった」
(……危なかったけどな)
言葉にはしないまま、
キルアは少しだけ照れた顔で視線を逸らした。
雪の上。
距離が近いまま、
二人の間には、冷たい風とは逆の
あったかい空気が流れていた。
空が急に暗くなったと思った次の瞬間、
雪が一気に強くなった。
「え、さっきまで晴れてたのに……」
視界が白く霞んで、前がよく見えない。
キルアはすぐに状況を判断する。
「このまま宿まで行くのは危ないな……」
辺りを見回して、小さな山小屋を見つけた。
「ここで待とう。雪、止むまで」
「う、うん……」
中に入ると、外よりはましだけど、
ひんやりした空気が残っている。
「さむ……」
×××が小さく肩をすくめたのを見て、
キルアの胸がきゅっとなる。
(……放っとけるわけないだろ)
棚の上に置いてあったブランケットを見つけて、
キルアはそれを取った。
「ほら」
「え、キルア……?」
「寒いんだろ」
ぶっきらぼうだけど、距離は近い。
ブランケットを広げて、
キルアは迷いなく×××を自分の方へ引き寄せた。
ぎゅっ。
一瞬、×××の体が強張る。
「……っ」
「嫌なら言え」
「……嫌じゃ、ない」
その一言で、
キルアの理性が危うく軋む。
(近い……近すぎ……)
心臓の音がうるさい。
でも離す気はない。
ブランケットの中で、二人はぴったり密着する。
「……あったかい」
×××がぽつりと言うと、
キルアは少しだけ力を強めた。
「……なら、よかった」
表情は見えないけど、
声がほんのり優しい。
雪の音だけが外で響いて、
山小屋の中は静かだった。
(落ち着け……落ち着け……)
そう思うほど、
×××の体温が、呼吸が、近くて。
理性は、崩壊寸前。
でもキルアは何もしない。
ただ、守るみたいに抱いたまま。
一方その頃――
宿に戻ったゴンは、
暖炉の前でのんびりしていた。
「雪すごいねー」
少しだけ二人のことを思い出す。
「ま、キルアがついてるし大丈夫でしょ」
そう言って、
温かい飲み物を飲みながら笑う。
「……なんか起きてそうだけど」
楽しそうに、にやっと。
山の小屋では、
まだ雪は止まない。
でもブランケットの中、
二人の距離は、もう十分すぎるほど近かった。
雪の音が、一定のリズムで小屋を包む。
ブランケットの中、
×××の動きが少しずつゆっくりになった。
「……」
小さく体重が預けられて、
×××の額が、キルアの胸に触れる。
「……あったか……」
掠れた声。
次の瞬間、
キルアの心臓が跳ねた。
(ち、近……!)
照れと、
言葉にできないほどの幸せが一気に押し寄せる。
(……ずっとこのままでもいい)
一瞬、そんな考えがよぎって――
すぐに振り払う。
(ダメだ。寝たら危ない)
山の寒さを、キルアは知っている。
×××の呼吸が、
規則的になりかけているのを感じて、
キルアは焦った。
(起こさないと……)
でも乱暴にはできない。
キルアは少し考えてから、
わざと軽い声を出す。
「なあ、×××」
「……ん……?」
「さっきの転び方、結構派手だったよな」
「え……そ、そう?」
少しだけ顔が上がる。
「オレ、笑いそうになるの必死だった」
「ちょ、ひどい……!」
文句を言いながらも、
×××の目はちゃんと開いた。
(よし)
キルアは内心ほっとする。
「じゃあ次、宿戻ったらもう一回滑るか?」
「えぇ……また?」
「オレがちゃんと支える」
その言葉に、×××は小さく笑った。
「……キルア、優しいね」
その一言で、
また胸がぎゅっと締めつけられる。
(……危険)
×××が再び寄りかかってくる。
キルアはブランケットの中で、
そっと頭の位置を調整して、
自分の肩に預けさせた。
「……起きてろよ」
「うん……がんばる……」
完全に起きているわけじゃない、
でも眠りには落ちていない。
キルアはその状態を保つために、
ぽつぽつと話し続ける。
雪の話。
スキーの話。
ゴンの失敗談。
抱きしめる腕は、
離さないけど、守るためだけ。
外では雪が舞い続けている。
小屋の中では、
キルアの必死さと、
×××のぬくもりが、静かに重なっていた。
「……キルアの声」
×××が、ぽそっと言った。
「落ち着く……」
胸元に寄りかかったまま、
少しだけ指先がキルアの服を掴む。
その仕草が、
普段の×××からは考えられないくらい素直で。
(……は?)
キルアの思考が一瞬止まる。
いつもは、
どっちかっていうと×××の方が世話焼きで、
キルアを甘やかす側なのに。
今は逆。
完全に、甘えてる。
「……眠くなる」
小さく笑って、
またキルアの胸にすりっと寄る。
(やばい)
心臓が、うるさい。
(かわいすぎだろ……)
キルアは、ぎゅっと奥歯を噛みしめる。
(落ち着け。守るだけ。守るだけだ)
でも腕は、無意識に少しだけ強く回っていた。
「……オレの声、そんなにいいかよ」
照れ隠しみたいに言うと、
×××は小さくうなずく。
「うん……安心する」
その一言で、
キルアの理性にヒビが入る。
(ダメだって……)
なのに。
「……じゃあ、もっと話す」
声は、いつもより低くて優しい。
「ゴンがな、前にスキーで木に突っ込みそうになって――」
「……ふふ」
×××がくすっと笑う。
「キルアの話、好き」
(完全にダメ)
キルアは天井を見上げて、
必死に平常心を保つ。
(……オレ、今すげー危ない)
それでも、
×××が安心してくれるなら。
腕の中で甘えてくれるなら。
「……起きてろよ」
そう言いながら、
声だけは、絶対に止めなかった。
雪はまだ止まない。
山小屋の中で、
キルアはひとり、
幸せと理性の狭間で必死に耐えていた。
キルアの腕の中で、×××は完全に気を許していた。
「……寒いけど、ここは平気」
そう言って、
さらにぎゅっと寄ってくる。
ブランケットの中、
ほとんど体が離れていない。
「キルア……」
名前を呼ぶ声も、
いつもより柔らかくて、甘い。
(……なんなんだよ)
キルアの中で、
何かが限界に近づく。
普段はしっかりしてて、
人を甘やかす側の×××。
それが今は――
全部、キルアに預けてる。
「……なあ」
「なに……?」
キルアは自分でも驚くくらい、
自然に、ぽろっと言ってしまった。
「なんでそんなかわいーの?」
一瞬、空気が止まる。
「……っ」
×××の体が、ぴくっと震えた。
ゆっくり顔を上げると、
頬が見る見る赤くなっていく。
「……き、急に何言って……」
「……あ」
言ってから気づく。
(オレ、今……)
キルアの方が照れて、視線を逸らす。
「……別に、深い意味じゃ……」
「あるでしょ……」
×××はそう言って、
小さくキルアの服を掴む。
「そんなこと言われたら……」
声が小さくなる。
「……恥ずかしい」
その反応が、
またキルアを追い詰める。
(やめろ……それ以上は……)
でも、
キルアは逃げない。
「……事実だろ」
ぼそっと言って、
腕の力を少しだけ強める。
×××は何も言えなくなって、
結局またキルアの胸に顔を埋めた。
「……キルアも、ずるい」
「は?」
「そんなこと言う声が……落ち着くし」
(もう無理)
キルアは心の中で白旗を上げる。
理性は、
ギリギリで踏みとどまってるけど。
幸せは、
完全に溢れてた。
山小屋の中、
雪はまだ降り続いている。
でも二人の距離は、
これ以上近づけないくらい――
もう、近かった。
暖炉の前。
ぱちぱちと薪が弾く音が、一定のリズムで響いていた。
最初は――
ちゃんと並んで座っていたはずだった。
ブランケットを肩にかけて、
少し距離を空けて。
……それなのに。
気づいたら、
×××はキルアの腕の中にいて、
キルアも自然に正面から抱きしめていた。
「……」
キルアは、ふと我に返る。
(あれ……?)
視線を下げると、
×××の顔は胸元に埋まっていて、
完全に安心しきった表情。
ブランケットは、
二人を包むみたいに一枚で共有されている。
(……いつからこうなった)
心臓がうるさくなる。
でも、×××は少しも嫌がる様子がなくて、
むしろ、キルアの服を掴んでいる。
(……ダメだ、考えたら負け)
キルアは小さく息を吐いて、
思い出したようにスマホを取り出した。
(ゴンに連絡……しとかないと)
片手で操作して、
短くメッセージを送る。
【近くの山小屋で待機中。雪が強い】
送信。
その間も、
×××は離れない。
暖炉の火が、
二人の影をゆらゆら揺らす。
――少しして。
宿にいるゴンのスマホが震えた。
画面を見ると、
キルアからのLINE。
「……ふーん?」
ゴンは口元を緩める。
(待機中、ね)
文面は冷静なのに、
なぜか様子が目に浮かぶ。
「ま、キルアが一緒なら安心だよね」
そう言いながら、
完全にニヤニヤ。
「……絶対なんか起きてるけど」
楽しそうに呟いて、
暖かい部屋でくつろぎ直す。
一方、山小屋では――
キルアがスマホをしまうと、
×××が小さく動いた。
「……ゴン?」
「ん。居場所だけな」
「そっか……」
それだけ言って、
またキルアに寄り添う。
(……信頼されすぎだろ)
キルアは苦笑して、
そっと抱きしめ直した。
暖炉の前。
ブランケットの中。
無意識に、
一番近い距離を選んでしまう二人だった。
外は、いつの間にか静かになっていた。
吹き荒れていた雪は止み、
窓の外には、月明かりに照らされた白い世界。
「……雪、止んだな」
キルアがそう呟くと、
×××も顔を上げた。
「じゃあ、宿に……?」
キルアは一度、外の暗さを確認してから首を振る。
「夜に動くのは危ない。
雪が止んだ直後は、足元も見えにくいし」
その言葉は、ハンターとしての判断だった。
「……そっか」
×××は少し考えて、
すぐに納得したようにうなずく。
「じゃあ……ここで、朝まで?」
「そうするのが一番安全」
そう言いながら、
キルアはブランケットを整える。
少しの間、沈黙。
そして、自然すぎる流れで――
二人はまた、正面から向き合う形になる。
ブランケット一枚。
逃げ場はない。
「……この体勢で?」
「寒いだろ」
それだけ言って、
キルアは×××を包むように抱き寄せた。
(……理性、仕事しろ)
でも、腕は離れない。
×××も、少し迷ったあと、
そっとキルアの背中に腕を回す。
「……キルア、あったかい」
「……お互い様」
声は低くて、静か。
暖炉の火は小さくなっているけど、
二人の体温は、ちゃんとそこにあった。
「……寝ちゃダメだよね」
「無理に起きてなくていい。
寒さに耐えられれば、それでいい」
そう言って、
キルアは×××の頭を胸元に軽く預けさせる。
守るみたいに。
離さないみたいに。
そのまま、
二人は静かに夜をやり過ごす。
一方、宿――
窓の外を見て、
ゴンは雪が止んでいることに気づいた。
「……あれ?」
普通なら、もう戻ってきてもいい時間。
でも、キルアから追加の連絡はない。
ゴンは少し考えてから、
にやっと笑った。
「そっか」
(夜だし、危ないもんね)
(……それに)
「絶対そのまま帰ってこないでしょ」
確信めいた笑顔で、
ベッドにごろんと転がる。
「ま、朝になれば分かるよね」
雪は止み、
夜は静か。
山小屋では、
ブランケットの中で、
二人の心音だけが、そっと重なっていた。
朝の山は、静かだった。
宿を早めに出たゴンは、
慣れた足取りで山小屋へ向かう。
「……あ、あった」
そっと近づいて、
窓から中を覗く。
暖炉の前。
火はほとんど消えかけているけど――
ブランケットに包まれて、
正面から抱き合ったまま眠っている
キルアと×××の姿があった。
「……」
ゴンは一瞬だけ目を丸くして、
次の瞬間、にやっと笑う。
「幸せそうだなあ」
スマホを取り出して、
音を立てないように一枚だけ、パシャ。
「記念、記念」
そう呟いてから、
今度は普通にドアを開ける。
――ギィ。
その音で、
ほぼ同時に二人の目が開いた。
「……っ!?」
「……え?」
キルアは一瞬、状況を理解して――
×××と抱き合っていることに気づく。
「……は?」
「……っ!?」
二人同時に、
ぱっと体を離そうとして、
でもブランケットが絡まって失敗。
その様子を見て、
ゴンはにこにこしながら言う。
「おはよう。ラブラブだね」
そして、
さっき撮った写真を見せる。
「ほら」
「……っ!?!?!?!?!?」
キルアの顔が、一気に真っ赤になる。
「な、なに撮ってんだよ!!」
「え、だって可愛かったから」
×××も、
写真と現実を交互に見て、
完全に目が覚める。
「……ま、待って……これ……」
頬まで赤くなって、
言葉が出てこない。
「昨日、何かあった?」
ゴンは悪気ゼロの声で追撃。
「雪止んでたのに戻ってこなかったし」
「……っ」
キルアは視線を逸らして、
ぼそっと言う。
「……安全判断だ」
「へぇ〜?」
ゴンは明らかに楽しそう。
「でもさ、寝相まで安全判断なの?」
「ちがっ……!」
×××も完全に意識してしまって、
顔を手で覆う。
「……ゴン、忘れて……」
「無理無理。最高の朝だったもん」
そう言って、
ゴンは写真を大事そうにしまう。
「ま、とりあえず帰ろっか」
「……もう二度と油断しねー」
キルアは小さくそう呟きながら、
横を見る。
×××と目が合って――
また、二人同時に目を逸らす。
顔は、まだ真っ赤。
朝の山小屋に、
からかいと、照れと、
幸せが残っていた。
宿に戻ると、
ちょうど朝ごはんの時間だった。
暖かいスープの湯気と、
焼きたてのパンの匂い。
三人並んでテーブルにつく。
「いただきまーす!」
ゴンはいつも通り元気いっぱい。
一方――
キルアと×××は、やけに静かだった。
「……」
「……」
フォークを持つ手も、
どこかぎこちない。
そんな二人をちらっと見てから、
ゴンは何でもないみたいに聞く。
「ねえ、昨日どうだった?」
完全に興味本位。
でも、タイミングが最悪。
「雪、すごかったでしょ?」
その瞬間。
キルアの手が止まる。
×××も、スープを口に運ぶ途中で固まる。
「……」
「……」
二人とも、何も言えない。
昨夜の山小屋。
ブランケット。
抱き合って過ごした夜。
思い出して、
一気に顔が熱くなる。
(言えるわけねーだろ……!)
キルアは視線を皿に落とす。
×××も、
小さく咳払いして目を逸らす。
「……」
沈黙。
数秒後。
「……あれ?」
ゴンはきょとんと首を傾げる。
「そんな大変だった?」
返事、ゼロ。
二人の顔は、
さっきより赤い。
それを見て、
ゴンはすべてを察した。
「……ふーん?」
にやっと笑う。
「ま、いっか」
それ以上は聞かず、
もぐもぐとパンを食べる。
でも、最後に一言だけ。
「二人ともさ」
にっこり。
「顔に書いてあるよ」
「……っ!!」
キルアが思わず顔を上げる。
×××も、
完全に耳まで赤い。
「……ゴン」
「なに?」
「……後で覚えてろ」
「えー?」
楽しそうに笑うゴンと、
何も言えずに黙り込む二人。
宿の朝ごはんは、
やけに甘くて、
ちょっと気まずくて――
でも、
確実に幸せな空気に包まれていた。
朝ごはんのあと、
それぞれ部屋に戻って少し休憩。
キルアのスマホが震えた。
【ゴン:昨日の記念📸✨】
【ゴン:仲良すぎでしょ笑】
添付されたのは――
山小屋の暖炉の前、
ブランケットに包まれて正面から抱き合って眠る
キルアと×××の写真。
「……は?」
同時に、×××のスマホにも通知。
「……っ!?」
ほぼ同時に、二人とも指が動く。
【キルア:消せ!!】
【×××:ちょっとゴン!?なんで送るの!?】
数秒後。
【ゴン:えー?いい写真じゃん】
【ゴン:二人とも幸せそうだし😊】
「……こいつ……」
キルアは額を押さえる。
(完全に遊んでやがる)
×××も、
画面を伏せながら小さくため息。
「……ほんと、ひどい」
そう言いながら――
二人とも、なぜか写真から目を離せない。
少しして。
キルアの指が、
無意識に「保存」をタップする。
「……別に」
誰に言うでもなく、ぼそっと。
一方、×××も。
(……思い出、だし)
同じように、
しれっと保存。
そして、
少ししてから、また開く。
「……」
「……」
それぞれの部屋で、
同じ写真を見返して、
同じように顔が熱くなる。
(……あの時、あったかかったな)
(……安心してた)
スマホを伏せて、
でも削除はしない。
数分後。
【ゴン:あ、ちなみに】
【ゴン:もう一枚あるよ?】
「「あるの!?」」
即座に反応する二人。
【キルア:送るな!!】
【×××:お願いだからやめて!!】
画面の向こうで、
ゴンはきっと笑っている。
でも――
文句を言いながら、
保存してしまうくらいには。
あの一晩は、
二人にとって
特別な思い出になっていた。
to be continued….