テラーノベル
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「潤と実里の家は親が九條に大分飲まれてる家だから大変だし、和葉の家が一番九條の柵から遠い」
九條の家の柵。
潤や和葉から家の話は聞いたけれど、彼らを幼い頃から追い込んできたのがこれなのだろう。
……きっと泉くんも。
「お勧めできないのは、あとの二人かな」
「え……」
「一人は自由を捨ててしまったから。あとは、歩はやめておいたほうがいいよ」
泉くんがそんなことを言う理由が一番わからなかった。
歩くんはしっかり者だし、彼自身に問題なんて全くない。
それに家のことも特に聞かないし……あれ?そうだ。
歩くんの家のことをあまり知らない。五人の中で武蔵先輩と歩くんのことが一番良くわかっていないのかもしれない。
「やめておいた方がいいってどうして……?」
「気になるなら、本人に聞けばいいよ」
漆黒の髪が水槽のライトアップにより、青のネオンに照らされている。水槽を眺めていた泉くんがいつの間にか私のことを見ていて、視線が交わった。
真っ黒な瞳に飲み込まれそうな感覚に陥る。
水槽から光の柱の揺らめきが私たちのもとに伸びてきた。
そして、泉くんは唇で楽しげに弧を描くと、そっと耳元で囁いた。
「五人の全てを知って、君は誰を選ぶかな」
それはゲームを終わりへと導く合図のように私の心の奥に響いていった。
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