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うあ
10
こころ
159
03 向日葵
いつも思うがこんな所にずっと居ると気が滅入りそうだ。
窓を見つめてため息をつく。
ずっとクーラーが聞いた部屋で、寒くも暑くも無い、虚無のような感覚に陥って、四季の変化にも疎くなる。
まぁ俺は比較的最近ここに来たから、そんなにってほどじゃないが。
「…もうこんな時間か。」
ゆっくりとベットから起き上がった。
この後は検診が在るから早めに部屋を出た。
…というより、早く出過ぎた。
スマホでも見て時間を潰すか。
そう思い、ポケットに手を入れて気づく。
スマホを部屋に忘れてきた。
時計を見ると、まだ時間は取りに帰っても問題なさそうな時間だった。
「取りに帰るか…」
そう呟いた俺は踵を返した。
スマホをポケットに改めて詰め込み、検査の部屋へ向かう。
時間に余裕は在るのに、少し心配になって、少し歩くスピードを速める。
ちょっと急ぐか…
そう思った時、型にそっと手が触れた。
「…ねぇ。」
パッと、振り返るとピンク色の髪が視界を染める。
軽やかになびく髪とは裏腹に、空のように涼しげな水色の瞳。
どこかで、見たような。
「この前はごめんね。」
そのセリフでハッとする。
「あ、前の…」
そう言うと少女は「うん、ボーッとしてて。」と返す。
目を奪われるような華奢な見た目は「綺麗」という言葉で丸め込んでいいのか考えるほどだった。
美しい、とでも言うべきか。
「ねぇ、名前教えてよ。」
「え、俺?」
急に聞かれて少し耳を疑う。
「左門、怜。」
「へぇ~、左門君かぁ。」
そう言うと時計をみた少女は少し焦ったような表情を見せる。
少女はパッと、まるで季節外れの向日葵のように微笑んだ。
「やばっ!もう行かなきゃ!」
そう言って少女は背を向けて歩き出した少女を慌てて引き留める。
「…待って、名前は?」
そう言うと、少女は一瞬だけで振り返った。
「七志!」
そうとだけ言った少女は慌てたように歩き出した。
七志、そう聞いた名前をオウム返しする。
時計を視て、俺も歩き出した。
コメント
3件
寺島あおいです🌷 第3話、読ませていただきました。 病室の「寒くも暑くもない虚無」という表現が、主人公の置かれた環境を静かに伝えていて印象的でした。そんな日常にふと現れた“季節外れの向日葵”のような七志さん——ピンクの髪と水色の瞳の対比が映像のように浮かびます。慌てて振り返って名前だけ告げるシーン、その軽やかさにこちらまで心がふわりとしました。 怜くんがスマホを忘れて戻ったからこその出会い。偶然の運命感がじんわり効いていて、続きがとても気になります☺️