テラーノベル
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本番まで、残り二週間。
そこからの陽花里は、以前よりもさらに熱心に練習するようになった。
発声、ダンス、演技、どれも妥協しない。
「もう一回やろう」
「ここ、もっと間を取った方がいい」
「照明入ったら、ここ絶対見え方変わるよ」
「音響さん、ここの入り、もう少しだけ遅くできますか?」
部員たちは最初こそ戸惑った。
けれど、少しずつ陽花里の熱に引っ張られていった。
「清藤、今日も残る?」
「「はい!」」
気づけば、体育館に誰もいなくなったあと、二人は毎日最後まで残っていた
。
二人だけで舞台に立って、照明のない暗い舞台。
観客席には誰もいない。
それでも、陽花里は、本番と同じ顔をする。
「彼を……野獣を倒すんだ!」
「好きにしろ……迎え撃つ!」
声が体育館の壁にぶつかり、何度も返ってくる。
「……今の、いい」
「本番、絶対成功させようね」
「……うん」
その言葉を聞くたびに。
あやかは胸の奥が痛くなった。
成功させたと、本当にそう思う。
でも、本番が終わったら。
陽花里は、この場所を去ってしまう。
そう思うと、どうしても怖かった。
あやかも陽花里も泣き虫だ。
前回の公演「Wicked」。
その時、あやかはMadame Morrible役、陽花里はWizard of Oz役だった。
その時は男役女役は違ったけれど、二人でその世界の悪役として舞台で輝いていた。
二人はいつも、舞台に一番向き合い、全力だった。プロ意識もあった。
だからこそ、舞台上では絶対に涙を見せなかった。
_終わって幕が閉まった瞬間に、号泣してしまうほどに。
あやかがここまでプロ意識を持つようになったのは、陽花里の影響だった。
元々あやかはそこそこの演技力と歌唱力で、そこそこの立ち位置で演じていた。
だがある日、陽花里はそんなあやかを見て、
「もっとやる気出してよ。舞台の質が下がる」
と言ったのだ。
とらえ方によっては厳しい言葉かもしれないけれど、本当にそうだったのだ。
(今回の公演が終わって、幕が閉まったらすべてが終わってしまう。
でも、永遠に、良いほうに私が変われたのは陽花里がいたからってわかってる。)
だから、
(この公演ですべてを終わらせよう)
karua_0121
210
#大学
きの子ちゃん
761
#あおはる。
輪廻˖ ࣪⊹
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るりあげは
45
コメント
1件
うわっ、第6話……めっちゃ刺さったわ。 陽花里の妥協しない姿勢が部員を引っ張っていく描写、熱量が伝わってきた。特に「照明入ったら、ここ絶対見え方変わるよ」って具体的な台詞でプロ意識滲んでるのが好き。 あやかの「本番終わったら陽花里が去ってしまう」怖さと、それでも「永遠に、良いほうに変われた」って肯定する心情、切なくて泣ける。 「この公演で終わらせよう」の決意、最高だわ。本番が待ち遠しい🔥