テラーノベル
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そして、本番前日、最後の通し稽古が終わった。
部員たちは疲れ切って、床に座り込んでいる。
「明日、本番かぁ……」
誰かが呟いた。
「早かったね」
「うん」
陽花里も笑っていた。
けれど、その笑顔を見ながら、あやかは気づいてしまった。
――陽花里は、もう決めている。
本当に辞めるつもりなのだ。
「……陽花里」
「ん?」
「明日が終わったらさ」
「うん」
「……やっぱり、辞めるの?」
一瞬。
陽花里の笑顔が消えた。
「……うん」
「そっか」
それ以上、何も言えなかった。
ありがとう、とも大好きだよ、とも。
その夜、帰りの電車で、いつものように二人で並んで座った。
陽花里は疲れているらしく、すぐに目を閉じた。
「……寝る?」
「うん……ちょっとだけ」
「また起こすよ」
「ありがと」
いつもの会話、いつもの距離、なのに。
明日からは「いつもの」ではなくなる。
(こんな風に一緒に帰ることももうなくなるのかな)
あやかは窓の外を見る。
流れていく街の明かり一つ一つが、まるで時間のようだった。
あと一日。
もうすぐ終わる。
「……陽花里」
眠っている彼女に、小さく呼びかける。
いつも通り返事はない。
あやかは少しだけ笑った。
「私ね」
言っても聞こえないと分かっているから、今だけは。
「こんなこと今更言っても、って話だけど」
「……ベル役、ちょっと羨ましかったんだ」
陽花里は眠ったまま。
「私も、かわいい衣装着てみたかったし」
「あなたに好きって言われる役、やってみたかった」
ほんの少しだけ、陽花里を見て。
「……でも」
声が震える。
「陽花里と一緒に舞台に立てたから、野獣でよかった」
それだけは、本当だった。
「だから……」
言葉が詰まる。
「明日、ちゃんと笑ってね」
あやかは、そっと窓に視線を戻した。
「私も、ちゃんと笑うから」
karua_0121
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#大学
きの子ちゃん
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#あおはる。
輪廻˖ ࣪⊹
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るりあげは
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コメント
1件
あやかが眠っている陽花里にぽつりと本音をこぼすシーン、すごく刺さりました。「野獣でよかった」って言える強さと切なさが一気に押し寄せてきて、電車の窓の向こうの夜景みたいに、静かに染みました。かわいい衣装への憧れや好きって言われる役への未練を認めつつ、それでも一緒に立てたことを選べる――その距離感が、読んでるこっちの胸をぎゅっと掴みます。明日の本番、ちゃんと笑えるといいな。