ロレッタはドレスの後ろの紐を解かれると大きく息を吐いた。
そして気持ちよさそうに寝越えりをうつ。
「意外とよく動くなぁ…」
何をしても可愛く見える姿に笑みがこぼれる。
「あっ…」
寝返りを打った際に緩めたドレスがめくれて昼間見た綺麗な乳房があらわになった。
あの時は初めてだからと我慢してやったのに無防備な姿に悪戯心が湧いてくる。
「これは、ロレッタが悪いな」
フレッドは抑えていた自制心をほっぽり出してロレッタの胸元に吸い込まれるように顔を埋めた。
◆
その時ロレッタは夢を見ていた。
なんでも妹に取られてきたロレッタの中で唯一自分に懐いていた大きな犬のジョンの事を思い出していた。
サラサラの茶色い長い毛に大きな体、ジョンが子犬の頃から世話をして一番自分に懐いていた。
だがある時、妹のレミリアがいつものようにジョンを欲しいと言い出した。
しかしジョンはレミリアの言うことは全く聞かずにレミリアの部屋に小屋を構えても気がつけば私のところにへと戻ってきた。
唯一レミリアに取られなかった存在。しかし私が留守にしてる間にレミリアは言うことを聞かないジョンを躾の為と鞭で打ちつけ死なせてしまった。
あの日から私は大切なものを作るのが怖くなった。
いつか全て取られて、本当に大切なものを壊されてしまうのではないかと怯えていた。
そんなジョンが会いに来てくれた、尻尾をブンブンと振ってぺろぺろと顔を舐めると胸元に顔を擦り寄せてくる。
「ふふ…ジョンたら」
その甘える姿に微笑むとフワフワの体を抱きしめて、久しぶりに会えたその顔や頭を何度も何度も愛撫した。
「会いたかった」
ロレッタはジョンをギュッと抱きしめるとその鼻先にチュッといつもしていたようにキスをした。
◆
「え…」
フレッドはロレッタの胸元に顔を埋めてその胸にキスをするとギュッとロレッタの方から自分の事を抱き締めだした。
一瞬目を覚ましたのかと思って顔をあげるがその顔は目を瞑りながらも幸せそうに笑っている。
そんな可愛い顔にたまらずフレッドは頬や目元と口以外のところにキスを落とす。
その度にロレッタは嬉しそうに笑った、それが愛おしくて胸が締め付けられる。
この喜んだ顔を起きた時に見せて欲しいと、そんな欲が出てきた。
するとロレッタは俺の頭を優しく掴むとそっと自分の方に引き寄せる。
俺はロレッタの好きにさせていると後ろの髪を梳くように優しく撫でられた。
髪や頭を撫でられるなど、何年ぶりだろう。
くすぐったい気持ちに悪くないとされるがままにして笑っていた。
「ジョン…」
ロレッタは他の男の名前を呼んで俺にキスをしてきた。
ジョン? まさか隣国のジョージ王子の愛称か!
しかしロレッタのキスに抗えずにフレッドは貪るようにロレッタにキスを返した。
「ん…んっ…」
すると息が苦しくなったのかロレッタが目を覚ました。
その顔は自分がどこにいるのかわかってないらしくぼーっとしている。
そして俺を数秒見た後に目を見開いて状況を理解したようだ。
「フ、フレッド王子!」
慌てて飛び起きるとその身を離した。
「初日から夜這いとはなかなかやるな、まぁ何時でも歓迎するが」
俺は笑いながらシーツを開いて招き入れる仕草をする。
「夜這い…え? あっきゃあ! フレッド様…は、裸ですよ!」
ロレッタは慌てて顔を覆った、その仕草まで愛しくみえてしまう。
「それは君も同じだが?」
「え!?」
ロレッタは自分を見下ろすと、その半分まで完全にずり落ちているドレスを見て思考が停止している。
「き、きゃあ~!」
ロレッタは慌ててドレスをたくしあげると恥ずかしさにうずくまってしまう。
「王子!!」
するとロレッタの叫び声に警備の兵士が部屋に駆けつけてきてしまった。
俺はあられもない姿のロレッタにシーツをすっぽりと上から被せると兵士達からその姿を隠した。
「なんでもない…下がれ」
「しかし…」
「いいから!」
少し強めに言うと、兵士は心配そうにフレッドを見てから、後ろのベッドの膨らみに気がついた。
「察しろ…」
苦笑すると兵士は顔を赤くする。
「失礼致しました。しかし明日も早いですので程々に…」
兵士達は頭を下げてサッと部屋を出ていった。
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