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都市部、ネオンの瞬きは色素の薄い髪を通す。

電車の上を通る橋の手すりは、立ち心地が悪いものらしい。

黒いパーカーは風に揺られ、闇に溶け込んでしまう。

これまで感じてきた苦労の積み重なり。

重ねてきた罪と血飛沫。

空虚へ足を投げる。

終わる。

――――と予想していた身は、温もりに包み込まれた。

温もり?

人。

どうやら、保護されたようだ。

警察だろうかと思ったが、顔を見る限りそのような趣はない。しかし、一般人にしても体つきが違う。

と、考えているうちに実に自然な動作で車に詰め込まれてしまった。

そのまま彼は運転席に乗り込み、アクセルを踏んだ。

誘拐か?いいや、まさか。

…まさか?

流石に無視できない事態、説明を求めようとした矢先、こちら側へ缶が投げ込まれた。

爆弾か?

見るとそれは、…少なくとも爆弾ではないようだ。

『じんわり粒入りあたたかコーンポタージュ(疲れたあなたにほっと一息)』

飲んでいいということだろうか?

…そういえば食物に飢えていた。飲んではいけないものだとしても、冷え切った体に恩恵を見せしめという罪深き行為は許されるものではないと思う。

熱を持ったプルタブに爪をかける。

カシュッと情けない敗北の音を立てて、あっけなく開封されてしまった。

「熱ッ」

不意打ちとは卑怯な…。

「…ッハハ!」

笑うな!

…改めて缶を握り直し、流れ込む溶岩に注意して少しずつ飲む。

あたたかい。

ふと、飢えに耐えられず海へ魚を捕りに行った日を思い出した。

何をどう頑張っても海水を握りしめるだけに終わり、諦めて砂を食べたのだ。

海水を含んだ砂利をおにぎりの様に握って頬張った。

食べ終わった後の感触が気持ち悪く、海水で口をすすいだのをよく覚えている。

とても塩っぱかった。

溶岩の甘さと温かさに、意識は絆されていった。

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