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〖アイビー〗
# 5
〔 成亜視点 〕
買い物袋が指に食い込んで、ちょっと痛い。
けど、
青空くんのためやし、我慢やなって思った。
いつものように鍵を開けて
リビングへ向かう。
「んぁ…起きてたん、おはよ」
「二日酔い大丈夫そう?」
青空くんが起きてて、ちょっとびっくり。
買ってきたものを直しながら軽く話しかける。
少し待っても、返事が返ってこない。
不思議に思って、手を止めて青空くんをみる。
『…ぇぁッ…なるあッ…!?』
「ははッ」
成亜もうあかんわ…笑
声が震えて、
目がうるうるして、
口が小刻みに動いてる。
『…なるあ…?』
肩を震わせて、怯えた目でみる青空くん。
どうしよかなぁ…笑
「あ〜、すまんすまん」
「でも、鍵とか許可は」
「そらくんがくれたやんか?笑」
『……、ぇ?』
まるでほんまの話みたいに
さらっと嘘をはく。
青空くんは、疑わへん。
疑う理由がないもんな。
青空くんは時が止まったように思考だけを巡らして
自分を疑い始めとる。
こーんな簡単に信じてまうなんて。
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〔 青空視点 〕
心臓が、
どくっと大きく鳴った。
人の気配。
でも、 誰か来るなんて聞いてない。
玄関のほうで、
カチャ、って音がした。
インターホンは鳴ってない。
なのに、よく知ってる鍵の音がなった。
恐怖で、動けなかった。
体が言うことをきかない。
買い物袋がかさかさと揺れる音。
よく知ってる音だから、なおさら怖かった。
リビングのドアが開く音は、
「ただいま」と言われる前の音だった。
「んぁ…起きてたん、おはよ」
「二日酔い大丈夫そう?」
ドアからでてきたのは、よく知ってる人。
軽い口調で、ゆっくりと聞き取りやすく。
予想もしなかった展開に
困惑の声すら、うまく出なかった。
疑問だけが、浮かんでは沈む。
どれひとつ、声にはならなかった。
『…ぇぁッ…なるあッ…!?』
やってでた声は
震えて、うまく言葉にならなくて
自分でもわかるくらい、か細かった。
「ははッ」
急に笑い出して
一瞬、目にハートが見えた。
その瞬間、ゾクッと悪い予感がした。
成亜は僕が合鍵をくれたって言うけど
渡した覚えがないんだよね…
でも、持ってるなら、渡した……んだよね。
忘れてただけ…か。
いや、でも……
僕、そんなこと忘れる?
優しさが、必要以上に用意されている気がして
ぞわッ、と鳥肌が立つ。
……考えすぎ、だよね。
#ミステリー