お久しぶりの投稿です。
全然上げられてなくてすみません(、._. )、
久しぶりなのでやっぱり私と言えば長編しんみり系(だと勝手に思ってる)なので、書いてみました。
ハピエンです。(人によってはバドエンかも…)
※桃青
※🔞なし
※nmmn注意
※パクリ🙅🏻参考🙅🏻
以上のことが守られる方のみお願いします
もう、いいかな。
俺、頑張ったんだ。
波風が前髪を揺らす
前髪が崩れることも気にせず、ふっと笑った。
いじめ。
ある日突然、クラスに行けば無視されるようになった。
昨日まで一緒にゲーセン行ってたやつらまで。
“さとみさ、隣のクラスの山田さんの事犯したらしいぜ”
“やっば…え、ヤったってこと?”
“そうそう、まじヤバイよなww”
やってない。
やってないのに。
いじめはどんどんエスカレートし、しまいには強姦されるようにもなった。
やめて、おれやってないよ。
何度そう言ったか。
学校にも行けなくなって、でも強姦されたなんて家族に言えるわけないから、ずっと部屋に閉じこもった。
引きこもれば安全だと思っていたのに、アイツらは俺の家まで来て気の済むまで殴った。
俺の心はもうボロボロで。
ある日プツンと音がして、俺の中にあったなけなしの糸が切れた。
もう、いいかな。
俺、頑張ったんだ。
笑死岩(しょうしいわ)と呼ばれる、とても綺麗に海が見えると有名な崖に来た。
最期に見る景色は海か。
こんな綺麗な海に飛び込んだら、俺の心も少しは綺麗になるかな。
やっと、救われる。
神様、あの世へ行ったら、俺を幸せにしてくれますか。
靴を脱ぎ捨て、海に投げる。
飛び込むのが怖くないように、目を瞑る。
…っと!!!……てんの…っっ!!
…ちょっ…!!おまえっっ!!!!
腕を掴まれた。
はっと振り返る。
そこには、俺より少し背の低い、くりっとした大きな目を更に大きく開いて俺を見ている青年が立っていた。
息を切らして、走ってきたようだった。
さ「なん…すか、あんた…誰」
?「こっちこそ!!何してんのお前!」
はーっはーっと肩で息をしているそいつは、何やら管が繋がっていた。
さ「別に。それよりお前、病気なん」
こ「お前じゃなくてころんね!!」
さ「あぁ…、俺は…さとみ」
こ「さとみくんね。…やっぱ病人に見えちゃう?」
さ「まぁ…、服も患者のそれだし。管も見えてる」
こ「うっわぁ…ほんとだ。これじゃすぐ看護師さんに見つかっちゃう」
さ「え、抜け出してきたの」
こ「…くふふ、凄いでしょ?」
いやダメだろ。
そう思ったけど、あまりに楽しそうに話すから注意するのは水を差している気がして辞めておいた。
と、後ろから救急車のサイレンの音がした
こ「…もうバレちゃった。あ、救急車乗る時付き添う人必要だから暇なんだったら着いてきてくんない?」
さ「え?あぁ…まぁ…いいけど」
しばらくしてサイレンが止んだと思うと、数人の看護師がバタバタとこちらへ走ってきた
看「もうっ!!ころんさん!!!」
こ「…、ごめんなさーい」
わっせわっせと担架に乗せられて、俺もそれに続いた。
病院に着くと、ころんは医者と看護師からお説教を受けていた。
それをつまんなそうに聞くころん。
医者と看護師は真剣に話してるのに、ころんは髪の毛をいじったり不機嫌オーラを隠そうともしないその光景が可笑しくて、看護師たちが出ていったあと思わずふはっと声を出して笑った。
こ「ぇ、あ、!やっと笑ったー!」
さ「…え」
こ「いやぁ、さっきまで目にハイライト入ってなかったし、すんごいひっどい顔してんなーって思ってたら靴脱ぎ出すしびっくりしたんよ」
さ「だから、止めに来た?」
こ「当たり前じゃん、目の前で死なれても困るし」
黙っている俺に、ねぇ、と続けた。
こ「ねぇ、なんで死のうとしたの」
さ「…、…つかれた、から、っ」
最初の一言はつっかえたが、ひとつ言えばこれまで我慢してきたものが溢れ出ていくようだった。
さ「…もう、いいかなって。だって俺頑張ったじゃん、なのに誰も助けてくれない、俺強姦なんてやってない。でも誰も聞いてくれなかった」
クラスメイトに抗議したのは何回かなんて数え切れない。
まるで俺の声が聞こえていないように、全て無視された。
こんなクソみたいな世界。
こんな、味方なんて1人もいない世界。
こんな世界なんて、
さ「こんな世界、いらない…っ」
俺の拙い言葉を真っ直ぐな眼差しで聞いたあと、ころんはふっと微笑んだ。
こ「僕は、うらやましいよ」
理解ができなかった。
俺の話を聞いて、うらやましい?
バカにされてるのだと思った。
だから思わず、掴みかかった
さ「…っ!!何言って__」
こ「死ぬんだって、ぼく」
さ「は、……」
俺の掴みかかった手をゆっくり外しながら静かに、そう告げた。
こ「1年くらいかなぁ…余命1年だって」
さ「な、…に言って…」
こ「さとみくんからしたらさ、こんな世界要らないって思うかもだけど、僕はこんな世界で生きられる人達が羨ましいよ?」
予想以上に俺がショックを受けている反応を見て驚いたのか、パッと顔を明るくして「でもね!」と続ける
こ「でもね!余命って死ぬ可能性があるだけで、余命宣告よりずーっと長く生きてる人もいるんだよ!すごくない?!」
俺がどんな間抜けな顔をしていたかは知らないが、その顔を見て微笑んだ。
ひとつ息をついて続ける。
こ「…。だからね、僕は生きるよ」
こ「ずーっとずーっと長く生きて、余命じゃなくて、寿命で死ぬの。」
にこっと屈託のない笑顔で俺の手を取る。
その笑顔が眩しすぎて。
そんな笑顔が羨ましくて、俺は俯いた。
こ「暇なんだったらさ、明日もおいでよ」
「1人でここにいんのつまんないんだよね」
さ「…、うん」
思ってもみなかった余命宣告。
そんな彼の前で自殺するのはそれこそ天罰が下る気がして、特に断る理由も無かったし俺も学校も家もあまり居たくないため控えめに了承した。
ころんの病室に通い始めて数週間。
他人とは言え、ここまで一緒にいるとだんだんと痩せていく体、動かない足を見て何も思わないわけがなかった。
沈んでいく俺の気持ちとは裏腹に、ころんはいつ見ても元気な声と笑顔で迎えてくれた。
ころんは高校をほとんど通えていないため、勉強は俺が教えることになった。
「退院した時勉強してなかったら困るもんね!!」
なんて、退院できることを1番信じていたのはころんだった。
ー3ヶ月後ー
リハビリの成果なのか、少しだけ体力も着いてきたころん。
そんなころんを見ていると俺まで嬉しくなって、一緒にゲームをしたりもした。
ころんといる時が1番楽しい。
何も気にせず、自分を表現できた。
ある時、ころんが言った。
「僕ね、普通の…健常者の人が死んじゃうのって、すごく勿体ないと思うんよね。」
「僕みたいな病気を持ってる人はさ、生きたくても生きられない人がいるのに、その命を自分から殺しちゃうのって、この世で1番悲しいことだと思うんだよ」
この時にはもう、自殺なんてする考えは頭から消えていて。
俺がいた世界は狭すぎた。
クラスとか学校とか、そんなちっぽけな世界しか知らなかった。
だけどころんと出会って。
この世界に絶望するのはまだ早いことを知った
さ「だな。俺も何やってたんだろって思うわ」
そう言うと、ころんは嬉しそうに笑顔を向けた。
ー1年後ー
いつものように病院へ行く準備をしていた俺に、電話が入った。
“ころんさんが急変しました”
焦る気持ちを抑えて、タクシーを捕まえる。
病院へ着くと、大勢の医者と看護師に囲まれて1人、ベットの上で足を抱えて、泣きながら丸くなるころんが居た。
いつだって俺に笑顔を向けてくれたころんの、初めて見た涙だった。
思わず近寄って、抱きしめた。
俺に気づいたのか、足を抱えていた腕を解き、力なく抱き締め返してくれた。
もう声を出すことも辛いのか、小さな掠れた声で俺の名前を呼んだ。
「さ…みく…、さと…」
「…っなに、」
「…、…ななぃ…でね…?」
“死なないでね”
分かってるよ。もう、そんなことしない。
俺を変えてくれたころんの望みなら。
こんな世界でも、こんなに真っ直ぐで素敵な人がいることを知ったから。
そう意味を込めて、俺は最初で最後の、
甘くて苦い、キスをした。
ころんはふっと笑って、その濡れた瞳を
ゆっくりと閉じていった。
ー1年後ー
この1年、俺はバイトをするようになって、それなりに生活ができた。
落ち込む日があっても、その時はころんと出会った笑死岩(しょうしいわ)に立ち寄り、思い出に浸りながらぼーっと朝日が昇るのを待った。
今日はころんの命日だから、青色の花を持って笑死岩に立ち寄った。
花を供えて、しばらくして帰ろうとし始めた俺とすれ違うように、黄色い頭をした青年が笑死岩に立った。
まさか、と思い少し見ていると、靴を脱ぎ始めた。
あぁ、俺もこんな感じだった。
きっと今、彼は死ぬことしか考えてないだろう。俺なんて、見えてないだろう。
そんな彼に、声をかける
さ「なぁ、」
すると振り返って、「なんですか」と一言。
さ「ちょっと、聞いてくれないか」
彼は俺を不審な目で見つめる。
“早くどっか行ってくれ”。そんな目で。
俺がころんに向けたのと同じ。
そいつに微笑み、思い返す。
名前も知らない俺を笑顔で迎え入れてくれた
自分は病気なのに、それを感じさせないくらいの明るい笑顔で。
俺を変えた、あいつ。
最期まで、生きることにこだわった。
あいつが俺にくれたものなんて数え切れない
目の前の彼は酷く淀んだ目をしていた。
“いやぁ、さっきまで目にハイライト入ってなかったし、すんごいひっどい顔してんなーって思ってたら靴脱ぎ出すしびっくりしたんよ”
脳裏であいつの声がこだまする。
あぁ、この目は。
一昔前の、俺の目と同じだ。
それを変えたのは、間違いなくあいつだった
俺がすべきこと。
ころんが望んだこと。
“僕ね、普通の…健常者の人が死んじゃうのって、すごく勿体ないことだと思うんだよね。”
生きていれば、それなりに楽しい時間に出会えるということ。
生きていれば、必ず自分を大切にしてくれる人と出会えるということ。
それを自分から断ち切ってしまうのを、”勿体ない”って言ったんだよな。
俺は__。
ころんみたいに強くはないけれど。
真似事しかできないけれど。
ころんの望みを、人に伝えることはできるから。
ころんの存在は偉大だった。
俺という自殺志願者を変えるくらい。
俺には分かる。
目の前の彼は、昔の俺と同じ目だから。
死にたいくらいこの世界に絶望して、どうしようも無くなって死を選ぼうとした。
だけど。
だけど俺は、知って欲しい。
ころんという素敵な人が居たことを。
この世界に絶望するのはまだ早いということを。
だから。
今度は俺が、目の前の彼を、一昔前の俺を。
救ってあげる番だ。
目の前の彼を見て、すぅっと息を吸う。
「この世界に、強くて眩しい、素敵な人がいたことを、君に知って欲しいんだ。」
Title 俺を変えたキミの話。
4810文字、お疲れ様でした。
コメント
18件
最高すぎます! フォロー&ブクマ失礼します
ええ、すごい好きです なんか、好きです、好みです すみません、好きです(
いや待って好きです。軽く目からの涙は5000粒ぐらい出てきましたよ。なんなんですか。もう好きですよ。