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『二人だけの世界』
nkkr
※ ブラテ 捏造
※色々 捏造
※嘔吐、首絞め、グロい(怖い)表現アリ
俺には野望がある。
それは、全世界に蔓延している『ワイテル病』を全て治療する特効薬を作ることだ。
この病の治療法は未だ見つかっておらず、感染者は増える一方。このままだと…。
今日も患者から得たデータを元に、いくつかの治療法をなかむと推測する。
nk「うーん、これは厳しいんじゃない?」
nk「この病気がそもそも病原菌によるものかどうかもまだ分かってないし、下手に…」
kr「下手に薬を投与して、病原菌が反応を起こし患者の身体に異常が出たら困る。」
俺たちは完全に行き詰まっていた。
kr「はぁ…やっぱり人体実験でもしないと、俺たちが求めている情報は得られそうにないな…」
我ながら不謹慎。
机に手を伸ばし顎を机に置く。
nk「はは笑 そんぐらいしか思いつかないよねぇ〜…」
nk「きりやんはさ…」
kr「うん?」
nk「人体実験できるってなったら、喜んでする?」
kr「人体実験?」
nk「そう。」
nk「例え、数人の患者さんが犠牲になっても世の数千万人の患者さんを救えるなら、人体実験する?」
kr「それはもちろん。数人の患者さんには悪いけど、今感染している方と今後感染する方のためだと思って、俺は頑張るよ。」
kr「まぁ…病院長や患者さんが許可してくれるはずがないから、あまり現実的ではないんだけど…。」
nk「そっかぁ。」
kr「なかむは?」
nk「うーん…。俺は…。」
nk「きりやんがやりたいならやりたいかも。」
kr「なんだそれ?笑」
なかむはいつも、俺の野望や夢を楽しそうに聞いてくれて、俺の背中を押してくれる、
良い同僚だ。この時までは。
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十数日後。
大量のカルテを抱え、なかむがいるであろう仮眠室の扉を勢いよく開ける。
ガラララッ!!
kr「なかむ…!このカルテは何…?」
kr「聞いたこともない薬を投与して、勝手に検査もして、あとなんで患者に病院長の名前が…」
なかむは、目をこすりながら、ゆっくりと身体を起こし、俺の手にあるカルテを1つ取る。
nk「…あぁ、それ?…えっとねぇ。」
ページをペラペラめくり、目をこするのをやめたかと思えば。
nk「人体実験だね。」
kr「は…?」
nk「本当は準備が整ってから、教えるつもりだったんだけど…」
kr「え?いやいや許可もらってないでしょ?」
nk「病院長から許可もらったよ〜?」
nk「『俺で人体実験してください』って言ってた」
嘘だ。
昭和のお父さんのお手本みたいな病院長が、許可をくれるはずない。
しかも、自分のからだに。
kr「…なかむ、病院長に何したの?」
nk「えぇ?何もしてないよ?」
kr「嘘…。」
nk「あ〜でも、ちょっと手が滑って判断力が鈍るお薬を、病院長に頼まれていれた珈琲に落としちゃったかも?」
絶対わざとだろ…!
kr「薬使って許可を得るって…洗脳まがいなことを医者がしていいわけ…!」
思わずなかむの胸ぐらを掴む。
nk「やだなぁ。そんな怖い顔しないでよ?」
なかむは平気そうな顔をして、俺の首に手を回す。
nk「全部、きりやんのためにやったんだよ?」
nk「きりやんが、数人の犠牲があったとしても、人体実験で他の人を救いたいって言うから〜」
kr「違うッ、!俺は患者の意志を第一に考えて…ッ!!」
nk「俺もきりやんと同じだよ?」
nk「薬を落としちゃったのは俺が悪いけど、そのあと落としちゃったことと人体実験のことを話したら、ぜーんぶ承諾してくれたんだ!」
nk「俺も患者さんが大切だから、全員にちゃんと謝るし許可もちゃんと取ってるんだよ?」
俺の何気ない一言で、狂人の手によって院内のほぼ全ての患者が命の危険に脅かされている。
その事実に涙が勝手に溢れてきた。
kr「…ッお前。」
狂ってる…
nk「狂ってるって?」
なんで分かって…ッ、
nk「違うよ。きりやん。」
nk「狂ってるんじゃなくて、きりやんに狂わされてるの。」
nk「俺がそうだったように、きりやんも俺に狂わせてあげるから、大丈夫。」
受け止めたくない現実と、理解できるけど、理解できないなかむの言葉に、俺はその場に座り込んで大泣きしてしまった。
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1ヶ月後。
kr「なかむー?今日の分の薬、パンに混ぜ終わった?」
nk「うん、もうやったよ。」
kr「おっけー。ありがとう。」
あれから俺は自分の身を守るために、なかむの人体実験に協力する”フリ”をしている。
nk「ねぇ、今日はきりやんが執刀してよ。」
kr「ん〜…俺はまだいいや。」
nk「なんで…?」
今日は理由まで聞いてくるの…?
kr「いやあ〜変にミスって実験台減らすの嫌なんだよね笑」
nk「なら、俺が今日 見本みせるよ!」
kr「えぇ…別にそこまでしなくても…」
nk「いいよね?」
目を見開いて食い気味に言うなかむ。
kr「…わかった。」
ここでかわそうとすると、きっと疑われる。
nk「じゃあ!手術室 先行ってるからね!」
nk「患者さんの用意もしておくから!」
なかむはスキップで手術室の方へ行ってしまった。
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はぁ…。
罪のない患者さんを俺が執刀したり、なかむが手術しているのをみるのは気が引ける…。
罪悪感で押しつぶされそうになる自分が容易に想像できるのだ。
そして、ワイテル病を調べるために、手術は本当に必要なのかどうかが、すごく引っかかる。
頭の中で様々な思考が混線していると、もう手術室は目の前にあった。
ガラララッ…
nk「来たね。俺の前に立って補佐して?」
kr「……わかった。」
怖い…怖い……。
いーや大丈夫…。いつもと同じただの手術だから…。だから大丈夫。
ツーッ
なかむはメスで綺麗に1本の線を引いた。
その瞬間。
「あ”ーーーーーッ!!!!」
え…?
なんで手術中の患者が叫んで…?
まさか、、!
kr「なかむ!?麻酔は、!?」
nk「してない。」
kr「なんで、、!?」
なかむは必死に訴えかける俺に見向きもせず、手術を続けている。
「い”た”ぃ!!いたい、ー!!!!」
kr「なに、ッこれ……なんで……」
俺は…俺は……。
kr「ぅ”ッ……ぐ、ひぅっ、…」
こんな医者になりたかったんじゃ……。
nk「必死に口抑えて、しかもしゃがみこんじゃってどうしたの?」
nk「もしかして吐く?」
グサッ
「い”あ”ぁぁぁ!!!…………。」
nk「あーあ。死んじゃった。」
kr「ッふ、う”ぐッ、う”━━━━」
人を救いたくて……。
kr「━━━、けほッ…けほッ、」
でも、俺は無力で見ていることしかできなくて……。
nk「……。」
死にたい。死んでしまいたい。
起き上がることができなくて、地べたで這いつくばっていると、目の前になかむが立っていることに気づく。
なかむの足に必死にしがみつき、
kr「ッ!なかむ、!ッ殺して、お願い、、!」
kr「俺のこと、ッ殺して、!!」
と懇願する。
nk「いいよ、殺してあげる…♡」
俺の目線に合わせてくれたかと思うと、すぐさま俺を押し倒し馬乗りになる。
そして、なかむは自身の白衣の裾で俺の口の周りに付着している吐瀉物を拭き取り、俺の首に手をかける。
kr「…ッく、……ッ……」
やっと死ねる…!!
俺はなかむの狂気的な笑顔を最後に、意識を手放した。
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nk「きりやん!起きて!きりやん?」
なかむに体を揺すられて起きる。
あれ…ここは……?
俺はさっき手術室にいて…それで……。
nk「サーカステントの奥を詮索してるやつらがいるんだけど……」
kr「え?」
あぁそうか。
俺はドリームサーカスの団長だから、サーカスの全てが暴かれるのを阻止しなければ。
kr「すぐに行く。」
服を着替え、シルクハットを被り、最後に杖を持ったら、急いでサーカステントの地下へ向かう。
気がついたら最後、俺は青い杖の力によって魂を抜き取られていた。
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nk「きりやんさん飲みすぎですよ……」
kr「うあぁ…せっかく俺が悪霊を浄化してやったのによぉ…」
nk「そうですね…良いことをしたはずなのに苦情を言われてしまうのは辛いですね……」
kr「うぅん…だから俺はこのままここでお酒に溺れて死ぬんだ…」
nk「どうやってお酒で死ぬんですか?」
kr「んぁ?お酒では死なんよ?」
kr「聖職者だから死ねるの。」
nk「そうなんですね……?」
kr「うん…シアターいきゃあわかる…。」
nk「なんだか曖昧ですね……笑」
kr「死に際くらいかっこつけてぇだろ…。」
nk「僕はちゃんと知りたいですけどね?」
nk「きりやんさんのこと。」
kr「馬鹿言え…お世辞はいいよ……」
nk「本気ですって…笑」
nk「まぁ、死にたいなら止めませんよ…。」
nk「今から生きてって言うのも酷でしょうし。」
kr「…なんだそれ?」
kr「そんなこたぁいいから、わかもんは夜遅いし寝なさい……」
nk「…わかりました。」
nk「では、おやすみなさい。」
kr「おやすみぃ……」
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nk「なんで、ッ!?なんで上手くいかないの、!?」
nk「、全部!!俺が止めていれば…!!」
大きなモニターの前に置かれたキーボードをひたすら打ち込んでいるなかむ。
kr「もういいよ、なかむ…。」
上手く動かせない体で、頭に接続されている機械をそっと取り外す。
資料がたくさん収納されている棚にもたれかかるのがやっとだ。
nk「でも、ッ!!」
こちらを振り向くなかむ。
kr「ううん、もう充分試した。」
kr「運命には抗えないんだよ、なかむ。」
nk「そんなの俺ッ…嫌だよ、ッ……」
涙を流し悔しそうな顔をしている。
kr「結局、良い結末を迎えるパラレルワールドは見つからなかったけど…。」
kr「狂ってるなかむとか、堅苦しいなかむとか、色んななかむが見られて俺はすごく楽しかったなぁ〜。」
nk「ねぇ!まだ終わりじゃないよッ!?」
kr「なかむも薄々気づいてたんじゃない?」
kr「パラレルワールドの規則性に。」
kr「俺たちを軸にして編み出したパラレルワールドは、今の俺たちと全く違う世界で全く別の状況でも軸に沿ってことが進んでる。」
kr「つまり俺は死ぬ運命だったってこと。」
nk「違う、ッ!違う!!そんなの……ッ!!」
なかむは俺に抱きついて泣きじゃくる。
ゆっくり…少しずつ、なかむの頭に触れ、腕を左右に動かす。
上手くは動かせないが、なかむなら俺が撫でようとしていることをきっと分かってくれる。
しばらく泣いたあと。
nk「ありがと…ッ、整理ついた。」
なかむは顔を上げると、俺の頬を両手で触れる。
ちゅ
kr「んむっ、、…んっ、ふッ、」
拒絶しようとするも上手く体を動かせない。
なんでそんなことして…ッ!?
kr「ッは、はぁッ、…なかむ、!!」
nk「うつしちゃうって?」
kr「うん…。」
nk「確かに。飛沫感染はしないっぽいけど、さすがに粘膜はうつっちゃうかもね。」
kr「……死ぬ気?」
nk「うん、きりやんと死ぬ。」
嫌だ、生きて
kr「ッなんで、なかむはまだ……!」
nk「ううん。」
なかむは、続けて説得しようとする俺の口をキスで塞ぐ。
kr「ッはぅ……ん、ふッ……」
まだ生きられるはずの恋人が、俺のせいで命を絶とうとしている事実に涙が止まらない。
kr「…はぁッ、は…ッ」
nk「きりやんがいない世界は…」
nk「嫌だから、ッ」
俺がいなくても幸せに暮らしてほしい、なかむがこのまま生きて他の人と結ばれたらどうしよう、このまま一緒に死んでしまえば天国で一緒に楽しく暮らせるのかな、一緒に病死するのでなかむは本当にいいの……。
脳内に様々な思考が飛び交う。
nk「一緒に心中しよ?」
kr「ッうぅ、ふっ、…」
なかむが他の人と幸せになるなんて嫌だ……
kr「心中…ッする…」
nk「ありがとう」
そう微笑むとなかむは、白衣のポケットから錠剤が入った瓶を取り出す。
kr「なにそれッ…?」
nk「ん?安楽死薬。」
それを常備しているってことは……
kr「やっぱ…ッ、わかってたんじゃんッ」
nk「恋人は必ず死ぬなんて推論、誰も信じたくないでしょ?」
確かにその通りだ。
nk「きりやんの病気、終わりが近づけば近づくほど苦しいらしいから、」
nk「苦しくない今、ここで終わらせよう。」
kr「うん…ッ、」
なかむは瓶の蓋を開け、錠剤を取り出す。
取り出した錠剤を1つ口に含むと、俺にキスをする。
kr「ん、っ、…んふッ、」
錠剤を俺に渡し終えると、今度はデスクに置いてある水をとり、口に含む。
そしてすぐ、俺に水を口移しで飲ませる。
なかむは自分で錠剤を摂取したあと、俺に何度もキスをした。
お互い、涙を流しながら愛を再確認する。
nk「俺と出会ってくれてありがとう、きりやん…」
kr「俺こそ、ありがとう。」
あ……そろそろかも……
kr「眠くなってきた…」
nk「俺の肩使っていいよ。」
俺の隣に座り、俺の頭をなかむの肩に寄せられる。
kr「ありがとう…」
nk「ん、おやすみ、きりやん。」
kr「おやすみ…なかむ……」
kr「愛してる…」
nk「俺も愛してる。」
後日、とある学者の研究室にて、微笑みながら横に並んで座っている2人の遺体が発見された。
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『二人だけの世界。』