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「ハイ、振り向いて良いよ。ラ~ラちゃん、ブチュ!」
気っ持ち悪い。それも公衆の面前でいきなりキスされた。
でも叫んだりしたら殺されるかもしれない。
そして高梨は腕を絡ませ、麗三を引っぱるようにして歩く。また耳元で囁かれた。
「なるべく自然にしろ」
それは小声であっても、脅しの効いた悪魔の号令だった。言われた通りにするしかない麗三。
駅とは違う方向へ連れて行かれる。
「ハイ! あの車だよ」
わざとらしい明るい声で高梨が、数メートル先の黒い高級車を指さした。
「ララちゃん、乗ろ♪」
黙ったまま車に乗せられる麗三。
車に乗り込むと鬼畜の本性を現した高梨。
「スマホを貸せ!」
「……」
「死にたいのか!? 早くしろっ!」
震える手でバッグからスマホを高梨に渡す麗三。
(なおちゃん! 助けて! なおちゃんっ、なおちゃんっ!)
車はどんどん街中から遠ざかって行く。麗三の来た事のないまったく知らない土地だ。さびれた工場が立ち並ぶ細い道を抜け、橋を渡った。大きな川だ。1時間以上車に乗っていた。
麗三が抵抗しないと踏んだせいか、またも人が豹変する高梨。
「ン~……! ララちーん、僕ちんのこと、嫌いになっちゃだめだよぉ……僕達は結ばれる運命じゃないか。そうだろう? 怯えることはないよ。僕ちゃん、とーっても優しくしてあげる! そうして大事な大事なララのお姫様だから、僕ちゃんのお城に閉じ込めちゃう! うふふふふ♡あん、愛してるよ~、ララちん!」
怖過ぎて微動だにしない麗三。
「かっわいいー! 僕だけのララちゃま、硬くなって緊張しているのかい。お上品な花嫁だね。ンー、スキさ!」
(走っている車のドアを開けたら転げ下りて逃げられるかな……)
麗三はそんな事を考えた。しかしこのスピードじゃ危険過ぎるし、辺りに人が居ない道ばかり続いている。
「ララちゃ~ん、すきさ。ララちゃァン! 僕の熱い胸の鼓動がわかるかい? 僕は、僕は、ララちゃんを探し求めていたし、ララちゃんは僕ちゃんをず~っと探していたのでしょう? お店を前に辞めたのは僕ちゃんを本気で好きになってしまい悩んだんだろ……。いいのさ、何も言わなくても僕はわかっているよ。かわいいお顔が返事をしている。とっても曇った表情だ。それは、嬢という身分でありながら僕ちんに本気になってしまった罪悪感だろう? 僕がね、ぜーんぶ溶かしてあげるよ! ほぐしてあ・げ・る!」
(コイツの思い込みの激しさ、陶酔ぶり……尋常じゃないわ! あたし、あたし逃げなきゃ! 命が危ない!)
気持ちは焦るばかりで、にじりよる恐怖の中で手だてが浮かばない麗三。
畑の中にポツンとある2階建ての一軒家の前に車が停まった。街からは随分離れた未知の場所だ。
「さぁ~、ラーラちゃん! 降りましょうね! お姫様。僕ちんがと~っても怖いものを手にしている事を忘れないでね。ララちゃん、君が死にたいなら殺してあげる。その時は僕もすぐにララ姫を追いかけるさ。なんにも心配いらないよぉ~、ウフフ♡」
高梨に指示されるがまま、助手席を下りる麗三。大きな石っころがありつまずきバランスを崩してしまった。
「おぉっと。ハイ! 僕ちんが守ってあげるよぉララちゃん。僕だけのララちゃん!」
あろう事かこの気色の悪い高梨に体を受け止められてしまった。
麗三は泣いている。
(なおちゃん! なおちゃん、なおちゃん! お願いよ、助けに来てっ!)
「うぅ~ん。かっわいいいー!」
高梨はヒュウ~ッと口笛を吹いた。
「泣いているのかい? こんなにかわいい泣き顔を僕ちゃん生まれて一度も見た事がないよ。もっと泣かせてあげてもいいんだよ? ン? ン? ン? いい娘だね~、ララちゃんったら!」
あまりにも酷い! この時点で女性として、人間として、充分すぎるほど麗三は尊厳をズタズタにされている。
しかし、ベッタリと絡みつくようにする高梨に一軒家へと連れ込まれ、麗三は乱暴を受け、更に心身ともにズタズタにされ傷ついたのだ。
(悲しい! 怖い! 怖い! 怖い! 気持ち悪いっ! 悔しいッ! 怖くてしょうがないっ! 嫌だ! なおちゃんっ、なおちゃん……)
結局5時間に渡り麗三は高梨から残虐な目に遭わされた。
そのあと……ご丁寧にも、麗三を麗三のマンション近くまで送り届ける高梨。
(コイツ正気?! どうかしてる! 捕まる事とか頭にないんだ。狂ってる! マンションの場所を知っているなんて……あたしをつけ回していたのは、やっぱりコイツだったんだ!)
麗三のマンションへと車が向かう際、高梨は一言も口をきかなかった。そして……マンション近くに着いた時、初めて口を開いた。
「誰かに言ったら、命はないと思え。わかったか?!」
悔しさと恐ろしさから泣くばかりの麗三。
「返事しろよッ?!」
「……ハイ」
すると高梨は麗三に向かって、麗三のスマホを投げつけた。麗三の足に当たり助手席の下に落ちた自分のスマホを必死で拾う麗三。
車を慌てて降りようとすると、ガシッと物凄い強さで右手首を掴まれた。痛い。
「ヒッ!」と思わず高梨の目を見た。
「ン~、僕ちんの言う事をきく賢くてかわゆい僕ちんだけのお姫様ぁー、ララーちゃんっ! かわいしゅぎまちゅよ~。また『夢と黒猫』で遊んであげるからね~! ぶちゅちちゅちゅッ!」
「……」
唖然とする麗三。
すると、高梨がまたも一変した。
「いいなッ! さっき言った事、忘れんじゃねーぞ。お前みたいなアマ、簡単に始末できんだよ! わかったか! とっとと降りろっ!」
麗三が車を降りると、猛スピードで高梨の車は去った。