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自室では無い見慣れない天井、そしてふわりと漂う、どこか懐かしいような、それでいて挨っぽい匂い。
昨夜、雨が酷いからと臥煙さんが家に泊めてくれたことを思い出す。
「ふぅ……あったかい。」
私はそっと身じろぎをした。
使い古されているが高級感のあるシーツの感触が、驚くほど柔らかくて心地よい。
「……ん、お前も起きたか。」
不意に低く掠れた声が耳に届いた。
驚いて目を開ねると、そこには、私のすぐ隣に転がっている五十木臥煙の顔があった。
私は思わず息を呑む。
こんなに近くにいたなんて。
彼のエメラルドのように綺麗な緑色の瞳が、間近で私を見つめている。
「はぁ……そんなにビビるなよ。俺の寝起きの顔、そんなに酷いか?」
彼は、そう言って居心地が悪そうに顔を背ける。
「そ、そんなことじゃないです!!その、距離が近 くて驚いたというか〜。」
慌てて口を開くが言葉がうまく出てこない。
顔が熱くなって行くのか自分でもわかる。
「はは、冗談だよ。真に受けんな。」
彼はそう言うとゆっくりと寝返りを打った。
いつもは私が働いている時は、朝から晩まで作業に没頭していて寝食もままならない彼が、私のためにわざわざ布団で一緒に寝てくれという事を思い出す。
「あの、私のせいで作業の時間が減ってしまったんじゃないかと心配で……締切とか大丈夫なんでしょうか……?」
「は?別に仕事に支障は無いけど。お前が風邪ひいてハウスキーパーの仕事が出来なくなる方が大変だろ。お前は俺の心配しすぎ、もっと自分の身体大切にしろよ。」
それはお互い様では……と思っていると、窓から差し込む朝の光が部屋を優しく照らす。彼のボサボサの髪の毛が顔にかかり、少しだけ幼く見えた。
猫塚ルイ

#じれじれ
#ロマンス