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斬愛

1 - 一 . 琥珀の王子

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2025年12月18日

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祈りの鐘が鳴る度 、琥珀の王子は胸の中で同じ言葉を繰り返していた 。


____ どうか、今日が最後の戦争になりますように 。




白い聖堂は朝の光に満ち、壁画の神々は静かに微笑んでいる 。

その中央に立つ琥珀色の瞳を持った青年は、魔法・信仰国家の王子として、祈祷衣に身を包んでいた 。


「王子陛下」


老司祭の声に、琥珀の王子はゆっくりと顔を上げる 。

その表情は穏やかで、民の前で見せる 光の王子 そのものだった 。


「本当に…、行かれるのですね 。敵国の城へ」


琥珀の王子は一瞬だけ視線を伏せ、それから少し辛そうな笑顔をして見せた 。


「…はい 。俺が行くべきなんです 。」

「俺じゃなきゃ、停戦交渉は成立しない 。」


それは事実だった 。

癒しと守護の魔法を司るこの国において、王子はたんなる血筋ではない 。

神に最も近い存在として、民の信仰そのものだった 。


だからこそ 、

彼が前線へいくことは、国が平和を望んでいる証明になるのだ 。


「怖くは …、ありませんか 。」


司祭の問いに、琥珀の王子は答えなかった 。

代わりに、胸元に手を重ねる 。

そこには小さな護符が下がっていた 。幼い頃から持ち続けていたものだった 。


怖くないはずがない 。

敵国は軍事大国だ 。

冷酷無比な第1王子が戦場を支配し、数多くの命を奪ってきたと聞いていた 。


____ 討つべき存在 。

そう、教えられてきた相手 。


けれど琥珀の王子は、剣ではなく言葉を選んだ 。

魔法ではなく、自分の命を賭ける道を 。


「もし … 、」


ふと、独り言のように呟く 。


「もし俺の身一つで、この醜い戦争が終わるのなら 。」

「それは、間違った選択ではありません 。」


そう、迷いの無い瞳で言い切った 。

司祭は何も言えなくなり、ただ深く頭を下げた 。





その日の正午 ____

琥珀の王子は少数の護衛と共に、国境を越えた 。


遠くに見えるのは、鉄と煙に覆われた敵国の城 。

祈りとは無縁の、戦いの為だけに築かれた要塞だった 。


____ あの城に、彼が居る 。

まだ顔も知らない、敵国の王子 。


____ この出会いが、

自分の命を奪う相手になることを 。

この1歩が、もう戻れない場所へ踏み込む合図だったということを 。


琥珀の王子はまだ、知らない 。





────── ❁ ❁ ❁ ──────




ak ( 琥珀の王子 )

魔法・信仰国家の王子

自分が死ねば戦争が終わると思っている



pr( 翡翠の王子 )

軍事大国の王子

冷酷で数多くの命を奪ってきた人物として知られている






────── ❁ ❁ ❁ ──────


新連載です 。

書き方変えました!

よろしくお願いします!

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