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敵国の城は、祈りを拒むようにそびえ立っていた 。
石と鉄で組まれた城壁は武骨で、装飾らしい装飾はない 。
そこにあるのは、勝つための合理と踏み潰された歴史の重みだった 。
琥珀の王子は馬から降り、城門を見上げた 。
胸の奥で、微かなざわめきが生まれる 。
____ 引き返すなら、今だ 。
しかし、琥珀の王子の足は止まらなかった 。
堂々とした態度で、敵国の地を踏みしめていく 。
自分がここに立つ意味を、誰よりも理解しているからだ 。
城内を案内され、長い廊下を進んでいく 。
護衛の数は、いつの間にか減っていた 。
気づいてはいたが、琥珀の王子は何も言わなかった 。
謁見の間は広く、天井が高い 。
だが光は少なく、冷たい空気で満ちている 。
玉座の前に立つ人物を見た瞬間、琥珀の王子は息を呑んだ 。
____ あの人が 。
軍事大国の第1王子 。
戦場の英雄 。
数え切れないほどの死の上に立つ、敵国の象徴 。
噂通り、感情を読めない顔をしていた 。
鎧ではなく、簡素な正装 。
それがかえって、剣より鋭く見える 。
「… よく来たな」
低く、ブレの無い声 。
歓迎とも威圧ともつかない 。
琥珀の王子は1歩前に出て、深く礼をした 。
「魔法・信仰国家の王子として参りました 。」
「… 停戦の可能性を話し合うために 。」
一瞬、視線が絡む 。
その目は、まるで人を敵か道具かでしか見ていないようだった 。
それに反抗するように、琥珀の王子は視線を逸らさなかった 。
数十秒間の沈黙が続く 。
その沈黙を割いたのは翡翠の王子だった 。
「… まぁ、座れ」
「立って話をするような場ではあらへんからな 。」
「… 失礼致します 。」
琥珀の王子は、言われた通りに翡翠の王子の目の前の椅子に腰を掛ける 。
「要件は?」
翡翠の王子の低い声に少し怯えつつ、琥珀の王子は口を開く 。
「これ以上、命が失われる必要はありません」
「どうか、戦を終わらせる選択を 。」
静寂 。
そして、翡翠の王子はわずかに目を細めた 。
「… 美辞麗句だな 。」
「だが、御前が来たという事実は評価する」
その言葉に、琥珀の王子は胸の奥で安堵する 。
____ 話は、通じる
そう思ってしまった 。
交渉の話は淡々と進んだ 。
条件、譲歩、互いの損失 。
琥珀の王子は誠実に言葉を重ね、魔法による支援まで含めた提案をした 。
だが、空気はどこか歪んでいた 。
____ 視線が多すぎる 。
兵の配置が不自然だ 。
琥珀の王子がそれに気付いたところでは、もう遅かった 。
「… 王子陛下 。」
背後から声を掛けられる 。
振り返った瞬間、魔法陣が足元に展開される 。
封印魔法だ 。
それも、信仰国家の術式を研究し尽くしたもの 。
「ッ … “!!」
体から力が抜け、膝をつく 。
護衛たちの叫び声が聞こえるが、次々に取り押さえられていく 。
「な … んで ッ 、」
琥珀の王子の視線が、翡翠の王子を捉える 。
翡翠の王子は動かなかった 。
驚きも、戸惑いも見せず、ただ静かに告げる 。
「… 停戦交渉は、成立しない」
「御前が此処に来た時点でな 。」
その言葉で、全てを悟った 。
____ 最初から、捉えるつもりだった 。
兵士たちに腕を取られ、立たされる 。
鎖を巻かれ、冷たい感触が肌に食い込んでくる 。
それでも、琥珀の王子は声を荒らげることはなかった 。
「… 俺のことを捕らえたとしても、」
「戦争は終わりません 。」
翡翠の王子は、ほんの一瞬だけ視線を逸らす 。
そして、感情抑えたような低い声で言う 。
「… それでもええ 。」
「御前が居れば、勝てる 。」
その言葉は、王子のしても判断だった 。
人としての感情を、切り捨てたような低音 。
琥珀の王子は微かに笑って見せた 。
「… そうですか 、」
それが、
王子のしても最後の自由の言葉だった 。
連行される途中、琥珀の王子はふと振り返る 。
翡翠の王子は、まだその場に立っていた 。
その瞳が、一瞬だけ揺らいだように見えたのは ____
きっと、気の所為だ 。
この日から 、
琥珀の王子の生活は、「捕虜」としてのものに変わる 。
そして 、
彼を監視する役目を与えられるのが、
他ならぬ ____ あの、翡翠の王子なのだ 。
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頑張りました…!
言葉の意味とか調べながら書いてます!
ハート指定させていただきます。
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝ 150♡