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何日ぶりだろう。
ふとスマホの電源を入れてみた。
誰からも通知はないと思ってた。
けど、1件だけ、未読のメッセージがあった。
「まだ生きてる?」
短い文章。
でも、まっすぐだった。
彼は、たまに思い出したように
俺に問いかけてくる。
優しさでも、同情でもない。
ただ、確認するように。
その一言が、
ほんの少しだけ呼吸をしやすくした。
…生きてる。
それだけが、今の俺の答え。
たとえば誰かに愛されるとか、
人生を立て直すとか、
そんなことはもう、信じられない。
けど――
この世界のどこかに、
俺の生存を確認してくれる人がいるという事実は、
少しだけ重さを軽くしてくれる。
窓の外を見てみる。
空は灰色だったけど、
雲の隙間から、わずかに光が漏れてた。
「まだ、終わってないかもしれない」
ほんの少しだけ、そんな気がした。
でも、すぐに希望にすがれるほど、
俺はもう無邪気じゃない。
だから、今日も薬は飲む。
でも、昨日よりほんの少しだけ量を減らしてみる。
それだけで充分。
今はまだ、
生きる理由がわからなくてもいい。
ただ、終わらせる理由もまだないから。
苦しみも孤独も、まだここにあるけど、
それと一緒に、あの光も確かにここにあった。
きっと、これが「まだ大丈夫」のサインなんだろう。