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だけど、夜になると、
あの光は嘘だったんじゃないかって思えてくる。
「まだ大丈夫」なんて、
たまたまうまく言葉にしただけで、
本当はもう、ずっと前から限界だったんじゃないかって。
薬を減らした分、
頭の中のざわめきが戻ってくる。
耳鳴りみたいな思考の連続。
何もしてないのに、罪悪感がのしかかる。
“生きててごめん”
“何もできなくてごめん”
“誰かにとっての荷物でごめん”
誰もそんなこと言ってないのに、
俺の心の中の“誰か”が、ずっと責め続けてくる。
スマホの画面をもう一度見てみた。
あの「まだ、生きてる?」の文字は、
未読に戻せたらいいのにって思った。
あの瞬間の安心感を、
もう一度だけ味わいたかった。
返信はやめておいた。
文字を打とうとしたけど、
「ありがとう」も「つらい」も、全部うそくさく見えた。
それに、返信をしたら、
彼の時間を奪う気がして怖かった。
こんな俺に、
これ以上関わってほしくない。
迷惑も、心配も、
もう誰にもかけたくない。
そう思って、
薬をまた手に取った。
今度は、昨日より少し多めに。
昨日よりも、確実に深く眠れるように。
これで、また朝を飛ばせるかもしれない。
太陽を見ずに済むかもしれない。
それだけで、少し救われる気がした。
眠る前、天井をぼんやりと見上げた。
何の模様もない白い天井。
でもその白さが、妙に冷たく見えた。
「どうせ俺は、何にもなれない」
そんな言葉が、吐き出すように漏れた。
誰もいない部屋に響く、自分の声。
久しぶりに聞いたけど、
やっぱり、ひどく空っぽな声だった。
目を閉じた。
また、あの深い暗闇に落ちていく。
もし、このまま目が覚めなかったとしても、
それでもいいって、
どこかで本気で思っていた。