アンジェリカとジークハルトが乗った馬車を、馬に乗った男たちが追いかけていた。その数は十人ほどだろうか。目元には仮面をつけており、顔はわからない。
「ひぃぃぃ……!!」
悪漢たちに追われ手綱を制御しきれなかったようで、御者が悲鳴を上げた。と同時に、馬車は道を外れてガタガタと鈍い音を立てながら森の中へと入ってしまった。
悪漢たちが馬車の左右につき進路を阻んだため、元の道に戻ることは許されず、馬車はさらに森の深くに向かって走る。
揺れる馬車の中、ジークハルトは剣に手をかけいつでも戦えるように体勢を整えていた。
(いったい何が起こっているの!?)
時を戻る前、こんな風に襲撃に遭ったことはなかった。
アンジェリカが恐怖から身を守るように自分の肩を抱いていると、ジークハルトの凛とした声が馬車の中に響いた。
「皇女殿下。あなたを絶対に守ります」
ジークハルトの目は決意****************
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