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校庭に整列した生徒たちの頭上に、秋の陽射しが降り注ぐ。
白いテントの下には先生たち、そして保護者や来賓が並んでいた。
「選手宣誓!」
マイクの前に立った生徒の声が、空にまっすぐ響きわたる。
咲は胸の前で拳をぎゅっと握った。
(最後の体育祭……絶対に忘れない一日にしよう)
クラスメイトたちがわいわいと笑い合う中、咲の心臓はひときわ早く鼓動していた。
競技への緊張だけじゃない。
観覧席のどこかに――もし悠真さんが来てくれていたら。
そう思うだけで、視線が自然と観客席の方へ引き寄せられてしまう。