今日はみんなが待ちわびたクリスマス。
街はすっかりツリーだったり飾り物だったりで辺り一面クリスマスムードになっている。
みんな、聖なる夜は誰と過ごすのかなぁ、
親とか、恋人とかと過ごすのかなぁ
いいなぁ、
私は今年、受験生だら誰とも過ごせないよ、
今日くらいは勉強しなくてもいいかなとは思うんだけど、学力的にまだまだ心配なんだよねえ、
ブー
そんな考え事をしていると、スマホから通知がなった。
あ、律(リツ)くんだ。
律くんは、一個下の私の彼氏。
【先輩!お疲れ様です!やっぱり、今日って会えないですよね、】
可愛いなぁ、
でも、申し訳ないなあ、
【律くんお疲れ様です😊ゴメンだけど、今日は会えないんだ、本当にごめんね!】
そう送るとすぐに既読がついた。
【そうですか、分かりました、電話とかかけてくれれば、一瞬ででます!勉強頑張ってください!】
あ、返信きた、
はあ、会いたい、
まだ冬休み入って3日くらいしか経ってないのに、律くん不足だ、
とは言っても、まだお互いが恋愛初心者で、手を繋いでデートする段階までしか進んでないんだけどねぇ、
もし、今日一緒に過ごしてたなら、キスなんか出来ちゃったり、、、
って、ダメダメダメ!私ったら何考えちゃってるの!
よし、勉強に戻るぞ!
とんでもなく火照った頬を手で仰いで冷まし、再びシャープペンシルを握って机に向かう。
ふう、
ようやく一段落つき、ぐうっと伸びる。
もう8時半か、
今、律くんは何やってるのかなぁ
『電話とかかけてくれれば、一瞬ででます!』
出てくれるかなあ、
そんな淡い期待を抱きつつ、律くんに電話をかける
プルル
『先輩!お疲れ様です!』
ワンコールで電話が繋がり律くんの元気いっぱいの声が聞こえた。
『ふふっ、律くんもお疲れ様。いきなり電話掛けちゃってごめんね?』
『いえ!全然!むしろ嬉しいです!』
本当に嬉しそうな声色に思わず笑みがこぼれる
『休憩中ですか?』
『そう。ひと段落ついたから、声聞きたいなあって思ってさ。』
『え、』
あ、今照れた。
電話越しでも伝わるほど動揺しているから、思わずクスッと笑ってしまった。
『先輩、外、見れますか?』
『外?』
何かあるのかな、
そう思い、閉まっているカーテンをそっと開ける
『わあ、凄い、』
外を見てみると、暗い空に反して、辺り一面イルミネーションなどで沢山飾り付けされている
『今年のクリスマスはみんな気合い入ってますね。』
『そうだね、めっちゃ綺麗。』
少しの間沈黙が続く。
『会いたいなあ』
あ、つい本音がポロッと出てしまった。
『っ、先輩、一回電話切ります。』
そう言うと、プツッと電話が切れてしまった。
えっ、
会いたいって、迷惑だったかな、
はあ、やらかしたかもしれない、
画面には、【通話が終了しました】の文字が書いてある。
私はただ、その画面をボーッと眺めているだけだった。
ピンポーン
電話が切れて数分だった頃、家のチャイムが静かな部屋に響く。
こんな時間に誰だろう、
「はい、」
テンションが上がらなく、ぶっきらぼうな返事をしてドアを開ける
「先輩っ!」
え、
「律くん!?」
ドアの前にいた律くんに驚き、声が大きくなってしまった。
「なんでここにいるの?!」
「先輩が、会いたいって言ったから、」
確かに、さっき通話でそんなことを言ったな、
「だから、会いに来てくれたの、?」
そういうと、顔を赤らめて下を向いた。
「そっか、ありがとう」
嬉しさを噛み締めながらそう言った。
「えっと、迷惑でした、?」
心配そうな表情を浮かべそう聞いてきた
え?
あ、多分、私のさっきの言葉が冷たいと感じちゃったかな、
これは、私の悪い癖。
昔からよく反応が薄いってたくさん言われていて、治そうとしても中々治らなかったんだ。
「私、昔から反応が薄くて、でも、嬉しくないとかじゃなくて、」
やばい、うまく説明できない、
「なるほど、」
あ、良かった、今ので伝わってくれた、
「私、本当に律くんが会いに来てくれて嬉しい、」
「っ、俺こそ、先輩の顔見れて、良かったです」
「ふふっ、私、律くんの顔みると、本当に好きだなぁって思う。」
そう言い、律くんの手をぎゅっと握る
「えっ、せ、先輩、」
「私、律くんの前だと、不思議と素直になれるのかもしれない。」
手を、さっきよりもぎゅっと握る。
あ、
律くんの顔を除くように見ると、りんごよりも頬が真っ赤に染ってた。
「先輩、本当にずるいっす、」
ふふっ、可愛いなぁ、
「あの、先輩、目、つぶってください、」
あ、
私は、これから何が起きるのか分かり、ぎゅっと目をつぶる。
そして、律くんとの距離が、数センチずつ縮まる。
ブー ブー
タイミングが悪く、私のスマホから着信が鳴る
もー、誰、タイミング悪すぎる、
「あっ、で、出ちゃってください!!」
と、焦って私から離れた律くん。
「えっとね、」
スマホを確認すると、そこには『お母さん』の文字が見えた。
お母さん、
「ごめんね、ちょっとまってて、」
と言い、律くんから少し距離を取り、お母さんからの電話に出る。
『もしもし、お母さん?どうしたの?』
『いや、もうすぐ帰るんだけど、お風呂だけ沸かしといてくれない?』
『あ、うん、分かった。』
『はいはい、じゃあ、お願いします』
と、プツッと一方的に電話が切れた。
はぁ、
スマホをズボンのポケットに閉まって、律くんの元に戻る。
「えっと、なんて?」
「えっと、もうすぐお母さんが帰ってくるみたいで、」
そういうと、「あ、もうこんな時間か」と驚いた表情をした律くん。
「えっと、そろそろ俺、帰ります。」
あ、やっぱ帰っちゃうんだ、
少し、残念だな、
でも、残念がってたらダメだし、笑顔で律くんを送りかえそ…
チュッ
柔らかく、ほんのり熱い感触が、私の頬に伝わる。
「め、メリークリスマス、」
ハッキリとした顔は見れなかったけど、それでも分かるくらい顔が真っ赤にして、自分の家の方向へ走って行ってしまった。
私、今、
唇では無いけど、律くんに”キスされた”と脳が理解した。
私は膝からガクッと崩れ落ち、その場にしゃがみこむ。
律くんにキスをされた箇所にそっと触れる
そこの部分だけが、少しだけ熱く、ブワッと顔全体が赤く染まり熱くなった。
それこそ、ちゃんとしたキスは出来なかったけど、
これはこれで、いいのかもしれない
そして、また新たな成長を遂げたのであった。