テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
廊下の奥から、 先生の声が響いた。
一気に空気が変わる。
「……っ」
女子が小さく顔を歪めた。
「お前たち、廊下で騒ぐな」
「あ、いやこれは――」
若武が説明しようとする。
けど。
女子はその隙に、 くるっと走り出した。
「あっ!」
「待て!!」
若武が反応する。
速い。
さすがエースストライカー。
でも。
「若武、だめ」
急に声がした。
いつの間にか。
忍が、 廊下の窓側に立っていた。
「えっ!?」
びっくりした。
いたの!?
「忍!?」
若武も止まる。
忍は、 走っていった女子の方を見ながら、 ぼそっと言った。
「今追うと、逃げる」
「いやもう逃げてるだろ!?」
「違う」
忍が首を振る。
「完全にいなくなる」
なんか。
言い方が独特だ。
でも。
上杉君は普通に聞いている。
「理由は」
「さっき、猫いた」
「猫?」
私が聞き返すと。
忍がこっちを見る。
「黒白の」
「いやわからないけど……」
「その猫、人が多いとこ嫌い」
「うん?」
「だからあの人、多分いつも裏階段通る」
……え?
一瞬、 廊下が静かになる。
「なるほど」
最初に反応したのは、 黒木君だった。
「人避けて移動してる可能性か」
「たぶん」
忍がうなずく。
「猫が見てた」
「忍、猫情報ソースにすんな」
上杉君が冷静に言う。
「でも当たるんだよなぁ……」
小塚君が苦笑した。
え。
当たるの?
「よし!!」
若武が急に拳を握る。
「裏階段だな!!!」
「声」
「小塚最近それしか言ってないな!?」
「若武がうるさいからでしょ」
美門君が笑う。
すると。
「アーヤ」
黒木君がこっちを見る。
「行ける?」
「え?」
「無理なら俺たちだけでも……」
「行く。」
反射で言っていた。
だって。
ここで置いてかれるの、 なんか嫌だった。
「……ふうん」
黒木君が少し笑う。
「ちゃんと探偵チームっぽくなってきた」
「いやまだ見習いみたいな感じだけど……」
「じゃあ見習い探偵」
なんか、 ちょっと嬉しい。
「よーし」
若武が腕を上げる。
「裏階段捜索作戦開始だ――――!!」
「だから声‼」
小塚君のツッコミが響く。
その横で。
忍が、 窓の外を見ながらぽつりと言った。
「あと、あの人泣いてる」
「……え?」
「猫がびっくりしてた」
みんなが一瞬黙る。
忍は、 本当に不思議そうな顔で続けた。
「なんで人間、好きなのに怒るんだろ」
猫アレルギー
231
163
まあ
70
かえ
311
コメント
1件
忍ちゃんの情報ソースが猫ってところ、めちゃくちゃ好きです(笑)。「人が多いとこ嫌い」→「裏階段」って発想の飛び方、独特すぎて逆に信用したくなる。それに「なんで人間、好きなのに怒るんだろ」って台詞、すごく刺さりました。探偵チームっぽくなってきた空気もいいですね。続き気になる!