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お酒を初めて飲んだのは、15の時だったかな。
早すぎる? そんなわけない。まわりは、もうみんなとっくに飲んでたし。
私は、出遅れた方。
カラオケBOXで、みんながお酒を頼むのに、あたしだけウーロン茶とか言えなかったから。
ほんとは飲めもしないお酒を、いかにも飲み慣れてるってふりで、飲んでみた。
ノリ悪いとかも、言われたくはなかったし。
最初に飲んでみたのは、ライムサワーだっけ。
なんか、ヘンなみどり色してて、すっぱいような甘いような、変わった味。おいしいなんて、ちっとも思わなかった。
ただ、アルコールでなんだか体がぼーっと熱くなるみたいで、少しだけテンションが上がった。
みんなお酒飲んで、タバコ吸ってるから、カラオケBOXの中は、いつも空気が悪くて。
アルコールとヤニ臭さの混じった、最悪な匂い。
せまい部屋には、煙が充満してもやがかかったみたいになってて、息苦しくもなる。
だけど、なんだかここにいると落ち着く。
なんでだろうね……居心地なんて、決していいわけじゃないのに。
このせまい空間に、自分のいる場所を見つけたような気にもなるからかな。
お酒がまわってくると、みんなタバコの本数も自然と増えてくる。
吸い切ってタバコの箱がカラになると、パシリに行かされるのは、いつもあたし。
「買ってきてよー早くったら、早く!」
って、しつっこくせかされる。
お金なんか、もちろん渡してくれない。あたしの自腹。
お店の中で買えるときはいいけど、吸ってる銘柄がなかったりすると、外に買いにいかなきゃならない。
近くのコンビニまで走って、すぐに売ってくれれば問題ないけど、やけに年齢とかにうるさくて、なかなか出してくれないところもある。
濃い目にメイクして私服着てれば、見た目年齢なんて、うまくごまかせそうなのにさ。
身分証出してとか求められて、カンタンには売ってくれなかったら、買えるまで何件もコンビニを回らないといけない。
買わずに帰ることなんて、許されない。
かったるそうにバイトしてるお兄ちゃんひとりの店で、ようやく買えて戻ってみたら、もうみんなカラオケを終えて帰った後だったなんてことは、何度もあった。
あたしのことなんか、誰も気にしてない。
いてもいなくても、おんなじ。
友達なんて思ってるのは、きっとあたしひとりだけ。
あたし以外のコたちは、せいぜい都合のいい人数合わせぐらいにしか思ってない。
そんなこと、わかってるよ。
だけど、それでもひとりになりたくないんだもの。
仕方ないじゃない。
友達なんかじゃないのに、友達のふりして、一体どうなるって言うんだろうね?
こんなことしてたって、まるで無意味なのにね……。