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やや🔞です。苦手な方はお控えください。
旅行中のつづきです。一応前のお話から内容は続いていますが、それぞれ単発で読んでも大丈夫かと思います。
『』叶
「」葛葉
叶side
・・・ん。
頬を触られる感覚で目を覚ます。
「あ、起きた」
目を開けるとそういいながら僕の頬をつんつんと長い爪でつついている葛葉の顔が。
『どしたの?葛葉』
そう葛葉に声をかけるとなにやらスマホの画面を見せてくる。
目を細めて画面を見ると、水族館のホームページだ。ここから車で15分程度の場所にあるらしい。
葛葉は何も言わないが、目が「行きたい」と物語っている。
時刻は15時過ぎ。葛葉と一緒に昼食後に昼寝していたらやや寝すぎてしまったようだ。
『いいよ、葛葉行こうか』
そう言うと上機嫌でベッドを出ていく葛葉。そんな葛葉に着いて僕も出る。
(到着後)
・・水族館なんて何年ぶりだろう。葛葉は来たことがないようで、入口すぐにある小さな水槽を楽しそうに覗いている。
「叶見ろよこれ!お前ちっちゃすぎだろ〜」
小さなカニに話しかけながらはしゃぐ葛葉を見て僕も楽しくなってくる。夕方なこともあり人はいるものの空いている。
ぎゅっ
僕は葛葉の手を握る。
一瞬ビクッとしたが、特に振り払わない葛葉。
逆に僕を引っぱりおそらくこの水族館で1番大きいのであろう水槽の前に来る。暗めの照明に何メートルもある大きな円柱型の水槽が光る。中にはサメやエイなどの大きな生き物から、イワシの群れなどの小さな生き物までたくさんいる。
葛葉は驚いたのか少し口をあけたまま巨大水槽に魅入っている。直接水槽を触れる距離まで近づき、今度は下から水槽を見上げる。
水槽を照らす照明が水面に反射しキラキラと輝き魚たちをうつしだす。あまりに綺麗で、水族館なんて何回も来たことある僕でさえ思わず見とれてしまう。
そっと横を見ると葛葉もまだ口を開けたまま魚たちを目で追っている。水を通した屈折した光が葛葉の顔を照らす。
『・・・』
僕は気づいたら葛葉を後ろから抱きしめていた。
「・・んだよ」
あまり嫌がらない葛葉。
『んー充電中』
そう答え僕は葛葉の肩に顔をぽすっと乗せる。葛葉の香りがして落ち着く。
「あ、あれ見ろよ」
『ん?どれ?』
そう言って葛葉の肩から顔を上げる。
ちゅっ
突然頬に柔らかい感触が走り驚いて葛葉を見る。
「・・ほんとお前隙だらけだな」
そう言いニカッと笑う葛葉。
『え、え、、ええ?!』
「・・るさい、黙れ」
目を丸くして驚く僕を見てそう言いつつも満足そうに笑いながら葛葉は僕の手を掴む。
僕は葛葉に引っ張られながら水族館の奥へ歩く。
葛葉side
叶のやつ、驚いてやんの。
俺は満足しながらまだボケっとしている叶を引っ張り足を進める。
次の部屋はクラゲゾーンらしく、先程よりも暗い照明のなか、色とりどりのライトで照らされたクラゲの水槽がたくさん置かれている。
「うわ、すげぇ」
『綺麗だねぇ』
叶が1番大きな水槽に近づいて行く。俺は小さな水槽に近づき、数センチくらいのクラゲたちを眺める。
・・すげぇな、こんなちっこくて生きてんだもんなぁ。
感心しながら俺は周りを見渡す。
叶はまだ大きい水槽の前におり、腕を後ろで組みぼーっと眺めている。
・・あいつほんと隙ありすぎだろ。
俺はまたイタズラしたくなり、そーっと叶の背後に近寄る。叶は水槽を凝視して気づいていない。
次の瞬間、俺は後ろから叶に抱きついた。
はずだった。
が、前を見ると叶の顔が目の前にある。
あれ、、俺叶の背中に抱きついたはずじゃ、、
そう思っていると、両腕で強く俺を抱きしめ触れるだけのキスをしてくる叶。抵抗しようにも両腕でガッチリホールドされできない。
誰かに見られていたらと目を見開いて焦る俺とは裏腹に、叶は目を閉じて俺とのキスに没頭している。
どのくらいそうしていただろう、ようやく叶が唇を離す。
『んっ・・はっ、ふふ、葛葉隙がありすぎるよ』
「おっまえ、、限度ってもんがあるだろうが!」
『大丈夫だよ〜誰も見てないし、たぶん』
「・・もーほんとにお前は、、」
俺はがっくり肩を落としながら叶を見上げる。
『葛葉、行こう』
そう言いイタズラっ子のような笑顔で俺を引っ張る叶。
その後いくつかの水槽の部屋を通り、最後は屋外に出る。「ふれあいコーナー」と書いてあり、ヒトデや貝などにさわれるようだ。閉館時間がせまっていることもあり、俺たちの他に人はいない。
俺は腕まくりをしてヒトデのいる水槽に手を突っ込む。冷たい水温とぷにっとしたヒトデの感触。
「うわぁぁあああ!!!やば!これ!!叶やべぇよこれ!!ぶにってした!ぶにって!!!」
大声で呼ぶ俺に笑いながら近づく叶。
「叶も触ってみろよー!これやばいぞ!」
『えー僕はいいや』
「なんでだよ」
『だって冷たそうなんだもん』
「それがいーんじゃん!ほら!」
『えー、、わかったよ』
叶はそういい腕まくりをする。
俺はまた水槽に目を戻しヒトデをぷにぷにと触る。
次の瞬間、ケツをむぎゅっとつかまれる。
「はっ?!えっ?!」
驚いて振り向くと腕まくりした叶が俺のケツを掴んでいる。
「はっ?!おまえなにやって、、やめろよ!!」
『だって葛葉触ってって言ったもん』
「どー考えてもちげーだろーが!!!ヒトデだよヒトデ!!」
『えー僕こっちの方がいい』
そう言いながら叶は俺のケツを触り続ける。いつのまにか片足の膝を俺の両足の間にはさみ、俺の足が閉じないようにしている。
「なー離せって!!なぁ!、、なぁやめっ、、んっ、、」
『葛葉も喜んでんじゃん』
「ちがっ、、ほんとにやめっ、、」
叶は調子に乗って俺の首すじにキスをする。叶の鼻息が耳や首にかかってくすぐったい。
その時、パタパタと足音が聞こえ、叶はさっと俺から離れる。
?「すみませーん!もう少しで閉まっちゃいますので、もし良ければ次のエリアもお楽しみください!」
笑顔で俺たちに声をかける飼育員らしきスタッフ。
『わかりましたー!ありがとうございます!』
笑顔でぺこっと会釈する叶。
スタッフが去った後、
『葛葉、残念だったね、またあとで、ね?』
と耳元で言う。
俺はそんな叶の手をひっぱり「行くぞ!」と歩き出す。
顔が熱くなっているのがわかる。俺はいつもこいつに振り回されてばっかりだ、いつもいつも、、
そう思いながらも、やはりどこか期待してしまう自分がいるのも確かだ。
早く宿に戻りたい
俺の心はそう言っているのだから。
おしまい