pe「……………」
クロノアさんが出ていってから、
食事は完全に沈黙となってしまった。
食事が終わっても、静けさは続く。
いつも明るいお母さんさえも、
黙々と食器洗いを進めていた。
kyo「…あー…どう、します?この後…」
pe「いや、どうするって言っても…ねぇ?」
俺らは周りを見渡す。
トラゾーがクロノアさんに何度も
電話を掛けており、
レウさんとコンタミさんが
お互いを見つめあって沈黙しており、
しにがみ君と緑くんは
現実逃避でもするかのように
パソコンにのめり込んでいた。
pe「…みんな、もうちょっと落ち着きたいと思うんで…帰るのは、あと一時間くらい後にしませんか?」
kyo「…せやなぁ……」
pe「…も、もし良ければ、家の中探索してみません?なにか、面白いものとか、パーティゲームとかあるかもしれませんし…そんな状況じゃないかもですけど…」
kyo「あぁ…ええですよ。」
こちらも気まずい雰囲気で、
会話は一切弾むことは無かった。
pa「…えーっと…ボードゲームがあるとしたら、あそこの棚か…?あいや、俺の部屋かもな…」
あまりに気まずすぎて、
俺は思わず一人言をほざくが
きょーさんは無言だ。
そんな状況のまま、
俺達はリビングと俺の部屋を探索するが
皆で楽しめそうなものは一切出てこない。
pe「…ない、っすね…」
pe「なんかすんません、無いもの一緒に探させちゃって…」
俺はそう言ってきょーさんの方に向き直る。
するときょーさんは、
じっとどこかの方向を見つめていた。
俺は気になってその目線を追う。
そこには、お父さんの部屋があった。
pe「…なんか、気になるんすか?」
kyo「…え?あぁ、いや……」
一瞬、きょーさんは言い淀んだが、
意を決したかのような目でこちらを見る。
kyo「…ぺんさん、ここの部屋避けてます?」
pe「………………。」
俺はギクッと肩を震わせ、
ぎこちなく貼り付けの笑顔を浮かべる。
pe「い、いや〜?全然…全っ然そんなことないっすけど?」
kyo「…なんか、あったんすか?」
pe「……………………。」
kyo「…あいや、なんか、言いたくない事情とかやったら全然、深掘りするつもりは無いんすけど…」
pe「いやいやいや、深い理由は全っ然無いんすよ!」
焦っているきょーさんを見て、
俺は慌ててそう言った。
俺は恥ずかしく思いながら、
お父さんの部屋の方へ目を向ける。
pe「…ここ、父さんの部屋なんすけど…実は父さん、十年前くらいに行方不明になっちゃって…」
pe「父さん、結構厳しい人だったから…なんか、勝手に入ったら怒られちゃいそうで…あはは……」
俺は笑って頭を搔く。
そしてまた静寂が流れてしまい、
お互いに気まずい雰囲気になってしまう。
その時だった。
sn「うぇぇぇぇぇえ?!」
急に、しにがみ君の声が家中に響いた。
俺らはその声と同時に振り向き、
驚いたお互いを見つめ頷きあった後、
同時に声の方へと振り返った。
pe「しにがみ君?何があった?!」
リビングの扉を派手に開き、
俺達は中へ入っていく。
当のしにがみ君は、 先に駆けつけていた
運営国の三人とトラゾーに囲まれていた。
kyo「みんなで何話しとんや。」
re「あ、きょーさん。いや、実はさ…」
レウさんが、視線をしにがみ君の
ノートパソコンへと移す。
視線につられて見てみると、
画面には、”Project:Blue”と書かれた
どこかのサイトか開かれていた。
pe「プロジェクト、ブルー…?」
re「はい…なんか、どっかの研究施設が試行しているプロジェクトの実験記録的なやつ、らしいです…どりみーとしにがみさんが、ハッキングして入手したっぽいんですけど…」
kyo「で?それ、何の関係があるんや。」
md「…コノページ。」
緑くんが、自身のパソコンを見せる。
そこにはしにがみ君と同じ、
Project:Blueのサイトが映っているが、
開いているページは違うようだ。
きょーさんと俺は顔をくっつけて
その画面の文字を読む。
《Project:Blue Project:Red試行中、突然変異してできた青い化け物、通称”ブルーデーモン”を飼育、検査し生態を調べるために立ち上げられたプロジェクト。》
《ブルーデーモン 青い血液を持つ化け物。人間とほぼ変わらない見た目をしているため、姿のみでは見分けがつかない。 雑食であるが主に人間を主食とし、人間をしばらく与えなかった場合、約一年の周期で暴走する可能性がある。人間を与えた場合、与えた直後の数十分は驚異の再生能力と筋力を手に入れる。また、襲われた人間は生きていた場合、襲われたときの記憶やブルー・デーモンに関する記憶を全て無くす。食事は十日間与えなければ、水分は五日間与えなければ死亡すると推測される。毒や電撃などの実験……[以下省略]》
kyo「…これ…青い血って、あのらっだぁのやつに付いとったやつか?」
md「ワカンナイ…タブン。」
tr「酷い実験するもんだよねぇ、ほんと。人間じゃないからなんでもしていい、って訳じゃないのに。」
pe「ちなみに、Project:Redってのは… 」
cn「ブルーデーモンとは別の生物の調査をするプロジェクトだそうです。他にも、YellowとかGreenとか、色々実験してるみたいで…」
pe「えぇ…そんな物騒な実験施設が…」
sn「…で、ぺいんとさん。実は、ここからが本題なんです。」
しにがみ君がそう言って、
別のページを見せる。
きょーさんと俺は、
またもや顔を近づけてそれを見る。
《Project:Blue試行中、研究員のうちの一人がブルーデーモンの遺伝子を組み込ませた実験体二体を解放し逃走。研究員は捕獲したが、実験体二体は行方不明となってしまった。捕獲した研究員を拷問しているが、居場所は一切吐こうとしない。可能性は1%に等しいが、もしもその子供がブルーデーモンの遺伝子に適合しブルーデーモンとして覚醒できた場合、人間に被害が出る可能性がある。念入りな捜索が必要。》
sn「これ、二十年前の記事なんです。他の記事も拝見させて頂いたんですけど、見つかったという記事は一枚もなくて…」
sn「それで、もうちょっとハッキングして、その拷問されてるっていう研究員と、実験体の顔写真を入手したんですけど… 」
しにがみ君はそこまで言うと、
おそるおそるパソコンを操作し、
画面を俺らに見せる。
sn「この実験体達…クロノアさんと、らっだぁさんに似てません…?」
kyo「……………………は?」
きょーさんが驚いて画面に詰め寄る。
俺も隙間から見てみようとするが、
きょーさんの頭で見ることができない。
kyo「…確かに、似とるな……」
pe「ちょ、俺も俺も!俺も見たい!!」
md「ペンサン、コッチモミレル。」
pe「あ、じゃあ失礼して…」
俺も緑くんに顔写真を見せてもらう。
そこに映ったのは、
二人の子どもと一人の大人。
おそらく、その逃走した実験体達と、
拷問されているという研究員だろう。
俺はそれを見て、目を見開いた。
まず、二人の子ども。
一人の子どもは、マリンブルーで
少しとろんとした目をしている、
白に近い銀色の髪をもった少年。
そこには、クロノアさんの面影がある。
そしてもう一人、深い藍色の目に
漆黒の髪をもった少年。
その少年には、らっだぁの面影があった。
そしてその少年は、
俺が夢で見た少年と同じ人物だった。
それにも驚いたが、
俺が一番驚いたのは、研究員の方だった。
オレンジの短髪、黄色の目、
フチなしの四角いメガネを掛けている、
しかめっ面の30代くらいの男性。
俺はそれをみて、 わなわなと体を震わせる。
pe「…父さん……………?」
md「……………トウサン?」
その時だった。
急に、部屋中にスマホの着信音が響く。
みんなで一斉に音の方へ振り返ると、
そこには、机に置かれた俺のスマホがある。
俺は慌ててスマホを手に取り、
応答ボタンを押す。
pe「も、もしもし……?」
mob「…あ、ぺいんと様、でしょうか…?私、日常国電話番の○○です。」
pe「はい、ぺいんとです。どうしました?」
mob「えっと…実は先程、クロノア頭領が帰って来られたのですが…どうやら、様子がおかしいようで…」
mob「自身の部屋にこもって、ブツブツ何かを呟きながら、暴れているのか、中で激しい物音が響いていて…」
mob「私達ではどうにもできず、ぺいんと様をお呼びしようと思って…」
pe「……………………。」
俺はみんなのことを見渡す。
その意味が伝わったのだろうか、
トラゾーとしにがみ君が、
俺の顔を見て頷く。
俺も、それに対して頷き返す。
pe「分かりました。今すぐ向かいます。」
そう言って、俺は電話を切る。
kyo「…そろそろ暗くなってきましたし、お互いの国に帰りますか。」
cn「そうだね。さっきのサイトも、もっとしっかり調べたいし。」
sn「よし…おばさーん!ご飯から何から、ありがとうございましたー!」
pe母「んー?あら、みんなもう帰っちゃうの?」
re「はい、ちょっと用事ができてしまいまして… 」
pe母「あらぁ…やっぱり、国の幹部さんはお忙しいのねぇ…」
kyo「また、来させて貰ってもいいっすか?ご飯、めっちゃ美味かったっす。 」
tr「あ、俺も俺も。また来ていいですか?」
pe母「えぇ、もちろん。いつでもいらっしゃい!」
お母さんはいつものニコニコ笑顔で、
俺たちを歓迎してくれる。
pe「…母さん、最後に一つ、聞いていい?」
pe母「ん?どうしたの、ぺんちゃん。」
お母さんは、俺の方へ顔を向ける。
pe「お父さんって、どんな仕事してたの?」
pe母「え?うーん…世界の生物について研究している、みたいなことを言ってた気がするけど…ごめんね、私もあまり知らなかったのよ… 」
pe「…そっか…ごめん、変なこと聞いて!」
pe「今日はありがとう!また来るねー!」
pe母「えぇ、また来てねー!」
お母さんの見送りを受けて、
俺たちは家を後にする。
俺らはそれぞれ、覚悟を決めた表情で
お互いの国に帰って行った。
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デーモンって悪魔だよなって思ったら鬼神もあって難しい 赤鬼黄色鬼緑鬼って事?それとも悪魔か krさん最初食われたのかなって思ったけど遺伝子か。rdさんが適当してkrさん襲っちゃったのかな うわぁ楽しい(?