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なので彼は振り向いてジムに入ろうとした
プシュッ
柚彦は音のした方へすばやく振り向いた
同時に脇腹に鋭い痛みを感じ、視線を落とすとパーカーに刺さった麻酔銃の矢が見えた
左手で矢を引き抜き、地面に叩きつけたが、もはや手遅れなのはわかっていた
たぶんどんな薬剤が入っていたにせよ、当たると同時に体内に吸収されて、すでに効き始めている
くそっ!
油断した
こんなことをするのは誰だ!
大声を出して殴りかかりたかったけれど、みるみる体が重くなり、目を開けていられなくなった
柚彦は地面に手を付く事さえできなくて、そのまま顔面から地面にドサリと倒れ込んだ
麻酔薬は対人用の量なのかなとぼんやり考えた・・・・・
それともクマを眠らせる量だったのか・・・・
だとしたらあっと言う間に死んでしまう
とてもはるか遠くから聞こえるように、ザクザクッと土を踏み鳴らす音が聞こえ、柚彦は脇腹を思いっきり蹴られて仰向けに転がされた
鉛のような瞼を柚彦はなんとか開けようとした、こんな卑怯な事をする奴の顔を見てやりたかった
しらふでは自分に勝てないから遠くから麻酔銃を撃って、自分を弱らせたクソみたいな卑怯なヤツらの顔を・・・SBCEを妬んでいる奴らは沢山いる
そして自分に以前負けたヤツら・・・・
無理やりあけた瞼の隙間から、うすら笑いを浮かべる相手の顔がハッキリ見えた
夢だと思った嘘だと言ってほしかった
柚彦はありったけの意志の力を振り絞り口を開いた
笑い声
「き・・・さ・・・・ま・・・ 」
鈴ちゃん・・・・・
柚彦の心臓がドクンと跳ねた
光はどんどん細くなり
柚彦は遠くに漂い始め
そこからは何もかもが消えた