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弥恋「死ね”ぇ”ぇぇ!」
果爲「迫真すぎて怖い!」
弥恋「だってリアルじゃないと本気出してくんないでしょぉ?よそ見してないで、おら!」
果爲「っと、身体能力だけの解放と骨格補強しかしてないのに…やっぱり弥恋は体の使い方が上手いよ…」
弥恋「褒めてる暇あったら戦え!っはぁぁぁ!」
今、果爲と弥恋は戦闘訓練による更なる進化を目指していた。
元から持っているリミッター解除と、果爲に付与された骨格補強だけで、弥恋は通常状態の果爲を圧倒していた。
骨の露出している脛や拳、踵などによる攻撃は、振るわれた際の遠心力による計り知れないパワーと、表皮が薄い部位もあり内出血や裂傷のリスクが少ないというものであった。
鍛え上げられた筋肉から放たれる一撃一撃は、果爲の潜在意識に”当たったら終わる”という概念を植え付けた結果、果爲は「避ける」進化をしつつあった。
果爲(当たったら致命傷…ならば避けるか攻撃をいなすしかない!)
果爲はある技術を確立せんとしていた。それは攻撃の当たる部位を薄い粒子構造体で覆うことで、能力の1部である電子や原子核の影響を受けない性質を利用したものである。これにより衝突面には一切の摩擦力が生じず、果爲は弾き飛ばされるのみで無傷なのだ。
厳密には、衝突したのは相手と薄膜であり、もはや体術では果爲に攻撃を入れるのは不可能である。が、…
果爲「なんで…ダメージが…、」
弥恋「私の運動神経な”めんなよ”ぉ!」
弥恋と果爲の間で起きていたのは、もはや偶然としか言いようのない事だった。摩擦力というのは、面と面とが擦れ合うことで起こる、つまり衝突面で少しでも動けば起きるのだ。エアホッケーをやったことがある人は想像が着くように、少し続いただけでも動き続ける。摩擦力がないというのはあれを意味するのだ。
しかし、弥恋の攻撃はそうではなかった。何と彼女は攻撃を面に対し垂直に、さらに衝突面に対し微動だにせず放てるのだ。つまり底に摩擦力を考慮する後はなく、彼女の拳にかかるのは殴った衝撃とその垂直抗力のみなのである。洗練された攻撃は、其れを必然にした。
果爲「うぐっ…やっぱりいなせない!」
弥恋「何か知らんが、聞いてるみたいだなねぇ!」
凪爲「お姉ちゃん!脇腹の防御率が低い!弥恋さんは下腹部と脚部への攻撃が多いからもっと警戒して!」
凪爲の役というのは、果爲と弥恋の攻撃・防御パターンの分析と、それを物理演算エンジンにかけて最適な動きを研究することだった。じつは凪爲は高校でもかなり優秀で、パターン分析のプログラムを作るなんてことは朝飯前なのだ。
凪爲「お姉ちゃん今!今弥恋さんの中央がら空きだよ!」
果爲「ありがと凪爲!歯ァ食いしばれ!」
弥恋「本性出ちゃってるよかなヘブシ(((」
果爲は以前立てこもり犯に打ったパンチを思い出し、腕の骨格補強、外骨格形成、さらに粒子構造でバッタのような脚を作り、前方に勢いよく飛び出した。
生物界では最強と言われる昆虫の力を借りた果爲のパンチは、まるでレールガンのように弥恋の腹部を打撃。それに応じて弥恋もまた腹内・外部に粒子構造を集中させ、それを受け止めた。2人の攻防は熾烈を極め、互いに互いを目醒めさせた。