七話です!
どぞ!
Na視点
きりやんの病院に、見たことのない人がいた。
会ったことが無いはずなのに、
何処か知っているような気がして
ずっと前から仲が良かったような気がして
静かだけど、何処か儚い雰囲気を纏っていて____
スマイルみたいだった
Sha「トントントン」
そう思い、ぼーっとしていたらしゃけに肩を叩かれた
『どうした?』
Na「…ううん、何でもないよニコッ」
『本当に?』
本当、な筈がない
Na「うん」
『そう。薬は?』
薬……は俺の鞄の中にある。
でも正直、まだしゃけと離れるような準備はできていなくて、嘘を…つきたかった
けど
Na「鞄の中に、あるよ」
Sha「スッ…パタパタパタ」
いつの間にか、口にしてしまっていた
Na「なんで……ッ」
そう自責の念に駆られていると、しゃけがすぐに戻ってきた
Sha「ガサゴソ………!!」
見つかって、しまった。
いやだ。
まだ、別れたくない。
『あったよ。飲んでいい?』
まって。
まって…!
まって!!
Na「ッ……ちょっと、まって、くれる?」
Sha「コクリ」
Na「ありがと……」
しゃけとの、思い出が、蘇る。
本当に、離れたくない。
でも、もう一度、話したい。
また、独りになるかもしれないけど、
しゃけの意思を尊重してあげたい。
Na「ッッ………だい、じょぶ。」
『本当に、いいの?』
画面を見せながら俺の顔色をうかがう彼を、こんな時でも愛おしく思ってしまう。
いい訳が、ない。
でも…ッ
Na「ぅ、いい………よ…ッ」
『本当に?』
そう、しゃけはしつこく確認してくる。
………当たり前か。
だって恋人が死ぬんだからな。
でもお前はそうしたいんだろ?
Na「本当だって………(ボソッ」
そう呟くと、しゃけは決意を決めたような眼でこちらを見る
Sha「…………ゴクン」
ああ、もう、取り返しはつかない
Na「!!ッ…………」
Sha「ゲホゲホひゅ、な、か゛むっ」
Na「!!しゃけ、ッッ」
声、が……
Sha「もう、ヒューしぬ、ケホッから、きいてッ」
Na「…うんッ」
Sha「なかむと、いっしょにいれて、ヒュッ…ほんとに、よかった」
Na「うん」
Sha「ずっと、もっとッいっしょに、いたかった、けど」
Na「うん」
Sha「ごめ、ん……ッあ゛」
Na「ッうん」
もう、「うん」としか、言えなかった
Sha「なかむ、」
Na「………ん?」
Sha「しなないで、ね?」
Na「……うん」
Sha「だい、すき」
Na「うん……愛してる」
Sha「ニコ…おれ、も………」カクン
Na「しゃ、け?」
Na「ッしゃっけ!!」
Na「あ゛ッ、あ゛ぁ…ぅッ……は、は」
Na「は、あ゛…はははは!!」
Na「はぁッ、本当に、独りだ」
Na「はは………あ゛ぁ」
もう、何も感じない。
悲しいけれど、涙が出ない。
もう、自分が分からない。
唯一繋ぎ止めてくれていたものも失った。
いつからだろうな、“自分”が見えなくなったのは。
思い出したくもない、あの日々の記憶だ___
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