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午後5時。
正門から出かかっていた親友の背中にダイブする。
「よっ。なんでいつも黙って帰るんだよ?冷てぇなぁ」
「ん?だって何も約束してなかったし。」
「いやいや。俺たちは、心の中で約束したろ?」
ん?と言って首を傾ける親友。正門から左に、俺達は曲がった。
「てか今日、死ぬほど熱くねーか?もう俺溶けそうなんだけど。」
「いや、気温は天気予報通りだったと思う。」「そんなん見てねーよ。なんか文化祭の準備とかまじでダルかった。何が楽しくって、あんなんに付き合わされてんだ?」
「まあ、仕方ないでしょ」
「そりゃ、そーだけどよぉ」
歩道の左側を俺たちは歩いている。歩道寄りに、親友。俺は、学校側だ。俺の左側に、無駄に長い木の壁が連なり、歩道ではグレーの車が通り過ぎた。
「にしたって、つまんねー様子だったな。」
そう言ったのと同時に、空にいる飛行機が真上を飛ぶ。
「なにが?」
「皆、テキトーに様子伺って、愛想笑いのオンパレード。俺は、あそこに社会の縮図を見たね。」
「そう?大分ひねくれているみたいだね」
「いいや、俺には分かる。なんてったって目が笑ってない。あんなんじゃ、死ぬ前の遺言が『ごめん、、、ぶっちゃけ人生つまんなかったわ、、、』に、ならざるを得ないね。」
「まあ、僕もつまんなかったけど。」
夕暮れのカラスが電信柱を下部にして、夜を告げる。
「お前はいいんだよ。つまんなさそうにしてたんだから。てか今日は帰ってゲームしねえか?気分転換によ。」
「別に、僕の気分は変わってないかな。」
「んなこと言わずに、俺ん家来いよ。勉強ばっかじゃ、頭おかしくなっちまうぜ。」
「でも塾あるしなぁ。」
交差点に着いて、赤色の信号の前に立つ。
足下に見える白い線、黒い線、白い線、黒い線、、、
瞬間、俺は親友の手を握って走り出した。
「うわっ!危ない!」
「へへっ」
俺はわくわくした。赤信号なんて馬鹿らしい。なんで待ち続けなくちゃいけないんだ。
そう思った。
丁度、電信柱にいる雀たちは、俺たちから逃げるように飛び立った。