テラーノベル
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ヨチヨチと歩くさゆり。
右手には紙おむつ。
左手には紙パッド。
それらと共に店を出て母の車に乗る。
乗ると同時に母の手がさゆりのオムツの方に伸びる。
(おしっこは大丈夫そうね)
(ほんと、いい大人なんだからしっかりしなさいよ)
注意されると悲しくなってくる。
もちろんわざと漏らしてしまったわけではないし、完全な不可抗力なのだから。
不可抗力なだけに辛さが大きい。
自宅に着くと父が帰っていて、すぐに母が今日の出来事を報告する。
年頃の女性のおもらし話なんて聞きたくないだろうが母はお構いなしに話し続ける。
父はどこか恥ずかしそうに聞き耳をたてながらビールを飲んでいた。
(ご飯にするから早く部屋着に着替えなさい)
いつもの部屋着に着替えるため自分の部屋にいく。
階段を上る足取りが重い。
それは気が重いだけではなく、紙おむつをあてられているからにほかならない。
さゆりの部屋
大きなため息をつく。
ふぅーーっ。
(なんでこんなことに……)
絶望と不安がよみがえる。
着ていたシャツを脱ぎ、鏡に映った自分と目が合う。
異様に大きくなった下腹部をみてしまい、
(こんな格好で出かけてたの)
それはスカートの下からおむつカバーが見えてしまっていて
(こんな……)
そのあとの言葉が出てこないほどに恥ずかしさと辛さが込み上げてきた。
(さゆりー!なにしてるの!はやくしなさい!)
リビングの方から母の声ぎ聞こえ、着替えを再開する。
スカートを脱いで部屋着のショートパンツに足を通そうとしたもののオムツが大きすぎて股間の下で止まってしまう。
(ウソでしょ…)
先に上の服を着ることにして頭からそれを着ていく。
上半身だけを見れば、最近の流行を取り入れた若い女性とゆう感じだ。
ただ下半身はおむつカバーなのでどこか不安定になっている。
(なにしてるの?)
急に部屋のドアが開き、母親が入ってきた。
(まだ着替えてないの?手伝ってあげるから)
さゆりの前に腰を下ろしショートパンツをあげようとするも大きくなったおむつカバーが行く手を阻む。
(オムツだから着られなかったのね。いいわ、このままで来なさい、家族だけだか、いいでしょ)
こんな姿を父親に見られたくはなく抵抗するさゆり。
(早くしないと冷めちゃうでしょ)
ゆっくりと足を動かし、リビングに向かっていく。
いつもだったら数秒で降りられる階段を何分もかけてゆっくりと降りていく。
恥ずかしいだけ目なくおむつカバーを当てている後ろめたさて足取りが重く手すりを持ちながらゆっくりと降りていく。
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