テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
二人きりの帰り道
途中でみんなと別れ、最後は那月と二人きりになった。
夜風が少し冷たい。
「寒い?」
那月がマフラーを整えてくれる。
「大丈夫」
「ならよかった」
そのまま自然に手を繋ぐ。
前まで恥ずかしくて無理だったのに、今は少し嬉しい。
「……奏音」
「ん?」
「最近、幸せ」
那月がぽつりと言った。
奏音は目を丸くする。
「私も……」
小さく答えると、那月は優しく笑った。
「そっか」
沈黙。
でも嫌じゃない。
むしろ落ち着く。
すると那月が足を止めた。
「奏音、こっち向いて」
「え?」
言われるまま振り返る。
近い。
顔が近い。
奏音の心臓が跳ねる。
「な、なつ――」
その時。
「奏音ーー!!」
遠くから太陽の声。
「門限大丈夫かーー!?」
空気が壊れた。
那月が真顔になる。
「……タイミング」
奏音は吹き出した。
「ふふっ」
すると那月も少し笑う。
「……続きはまた今度」
そう言って、那月は奏音の額を軽く指で弾いた。
その優しさに、奏音の顔はまた真っ赤になるのだった。
コメント
1件
ああ、この第45話すごく良かったです……! 夜風の冷たさと、那月がマフラーを整えてくれる優しさ。 “最近、幸せ”って那月がぽつり呟くのが、何気ないのに心に沁みました。奏音の「私も……」が小さくて、でも確かにあって。それでいて最後の太陽の絶妙なタイミングには思わず笑ってしまいました。“続きはまた今度”って額を弾く那月の距離感もまた好きです。静かな幸福感が詰まった回でした🌷