コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
謎の女性から“感情”という贈り物を貰い、 イザナギからは自分の部屋を貰った琳寧。その後の流れを改めて聞かされ、イザナミを連れ戻すという意思が固まった。
今、私は混乱している。なぜかって?今まで自分の部屋を貰ったり、自由にしていいという状況を経験したことがないからだ。
「琳寧、イザナギからはゆっくり休めと言われたが、何かしたいことはあるか?」
凛音は私の心を読んだかのように、私の意思を聞いてきた。
以前の私なら、恐らく「特にない」と言っていたと思う。でも、今は何だか違う。
「できることなら、この前見た商店街に行ってみたい!」
やってみたいことが沢山ある。商店街に行って、この前食べたわたあめ?をもう一度食べたい。他には何があるのかを知りたい。
「おぉ!琳寧が要望を言うだなんて珍しいな!待ってろ〜イザナギに聞いてくる」
と言って、凛音は部屋から出ていった。
私は行けるかもしれないという事に胸を躍らせていた。
数分後…
「琳寧〜!いいってよ!」
と、なぜか私よりも嬉しそうな顔をしている凛音が部屋に戻ってきた。
「でも琳寧、歩けるのか?」
「うん!私は平気だよ。それより、行けるんだったら早く行こうよ!」
自分の要望が叶ったことが嬉しい。そう、とにかく嬉しいんだ。
「あ、でも待った。条件があるんだとよ」
条件?何だろう。
「普通、天界には人間は来ちゃいけねぇって事になってるのは覚えてるよな?」
「天界に入った時にイザナギが恒例行事的なことをやってくれはしたが、知らない神や天使もいるかもって事で、付き人を連れていけ〜だってよ」
つきびと…?誰かと一緒に行くってこと?ちょっと緊張するな…。
その時、どこからか青髪、赤髪、白髪、緑髪のヒト…?が現れた。扉から入ってきたとかじゃなく、気付いたら目の前で膝をついていた。
「琳寧様、お初にお目にかかります。私(わたくし)は四聖獣の青龍、『青嵐(せいらん)』と申します」
青髪のヒトが、青嵐であると自己紹介をした。
「私は朱雀の『朱暖(しゅのん)』です!」
と赤髪のヒトが。
「あたしは白虎の『白蓮(びゃくれん)』!!」
と白髪のヒトが。
「ぼく、玄武の『玄翠(げんすい)』っていいます…」
と緑髪のヒトが、それぞれ自己紹介をした。
「本日は私達一同、琳寧様の護衛をさせていただきます!」
青髪のヒト…青嵐がそう言った。この4人の中で、リーダーのような役割を担っているヒトなのかな?私はお願いしますとだけ言って、そのヒト達と一緒に街へ行った。そういえば…凛音は?
少し前…
琳寧が珍しく自分からしたいことを話してくれた。俺はそれを聞けて嬉しかった。ということで、この要望必ず叶えようという思いの下、俺はイザナギに外出の許可を貰いに行った。
「おいイザナギ、いるか?」
と言いながら扉を開けた。
「君…せめてノックくらいはしなよ…」
部屋には呆れた顔をしたイザナギがいた。
「もう入ったんだしいいだろ。そんなことより、琳寧と街に行ってもいいか?」
俺がイザナギの文句に付き合う必要なんかない。さっさと許可をもらって、琳寧と出かけたい。
「あぁ、そんなこと?琳寧ちゃんが動けるのなら行ってもいいよ〜」
意外と返答はあっさりしていた。即答してくれたのは嬉しいが、正直驚いた。
「あ、でも待って」
イザナギが呼び止める。
「もしもの事があったら大変だし、顔合わせのついでとして『四聖獣』のみんなも連れて行ってね」
四聖獣…?あぁ、あの四方を司るとされる神獣のことか。まぁ、それくらいなら別に構わないー
「あと、凛音くんはお留守番ね」
……
「いや待て待て。何でだ?俺も一緒でいいだろ??」
「うおー。すっごい取り乱してるね」
「ちょっと凛音くんには色々と手伝ってほしい仕事があるんだよね。これさえやってくれれば、君のしたい事、常識の範囲内なら何でもやってもいいってことにするからさ〜!」
いや、でも…。これは何を言っても変わらないやつだ。諦めよう。
「その約束、絶対だからな!!」
「うん。それじゃ、琳寧ちゃんにこの事説明してからまた来てね〜」
と言って、能天気野郎は俺に手を振って笑顔で送り出す。てめぇマジで覚えとけよ。
そして琳寧の部屋に戻り、イザナギから許可を貰えたことを話した時、早速四聖獣の奴らが現れた。それから自己紹介を始め、それが終わった頃に俺は確かに琳寧に
「俺はイザナギに呼ばれてるから、悪いが一緒には行けねぇ。気をつけて行ってこいよ」
と言って送り出した。
凛音がどこに行ったかは知らないけど、私は四聖獣の皆さんに街を案内してもらえることになった。美味しい食べ物やさんや建築物、そして駄菓子屋!!いろんなところを教えてもらった。時々周りからの視線が気になる事があるけど、その視線は四聖獣さんが見るとなくなるし、それよりも街の方が気になるので、私はすぐに説明に集中できる。
「それにしても、この街は本当に広いなぁ」
思わずそう口にした。すると、私と一番歳が近そうな白蓮さんが
「でしょ〜?この街はイザナギ様が管理する街。イザナギ様はとっても大きな力を持っているから、この街も大きくなるんだよ!」
と、自慢げに言った。続けて白蓮さんと同じくらいの歳の玄翠さんが、
「だから、飲食店や建造物も豪華になるし、重要な施設…例えば、悪いことをした神が入る監獄や、天界と魔界を繋ぐ門とかもあるんだよ」
そう教えてくれた。
玄翠さんは、最初は緊張しているようで、あまり私と喋ってくれなかったけど、少しずつ話しかけてくれる事が増えてきた。
「そうなんですね!教えてくれてありがとうございます!」
私は2人に感謝を伝えた。すると、その会話を聞いていた朱暖さんが深いため息をついた。
「あのね琳寧様。私たちはあくまであなたの護衛兼案内役。立場としては琳寧様の方が上なんですから、 敬語じゃなくてもいいんですよ?」
「そうなんで…そうなの?できるだけ善処はしま…するね」
急に敬語じゃなくてもいいと言われたって、急に変えることは難しい。道のりは長そう…。
「急に変えろとは言いません。ゆっくり進めていきましょうね」
青嵐さ…青嵐がそう言ってくれた。青嵐はこの3人のリーダー的存在として、1番しっかりしている。
そうこうしているうちに、重々しい雰囲気の建物にたどり着いた。
「ここは一体…?」
「ここはさっき言ってた『天界と魔界を繋ぐ門』がある場所だよ。みんなは『管理局』って呼んでる。だから、厳重な警備と強力な兵が配置されてるんだよ」
へぇ…そんな大事な場所があるなんて…。だから街から少し離れたところにあるのか。
普段はダメらしいけど、今回は特別に管理局の中を見せてもらえることになった。いろいろと説明してもらっていると、突然。
警鐘が管理局全体に響き渡った。