テラーノベル
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🐬「まなと!」
保健室のドアを勢いよく開ける。
ガラッという音に、中にいた先生が驚いて振り返った。
👩🏫「島雄さん? ノックしなさい!」
でも、そんなこと耳に入らない。
そうたの視線は、ベッドに座る一人の姿だけを探していた。
🐧「……そうた?」
少し驚いたように目を丸くするまなと。
その額には小さなガーゼ。
腕には湿布が貼られている。
思ったより元気そうだ。
その瞬間 全身から力が抜けた。
🐬「……よかった」
ぽつりと漏れた声。
先生が苦笑する。
👩🏫「階段で足を滑らせただけよ。大事にはならなかったから安心して。」
その言葉を聞いた瞬間。
そうたは俺のの前まで歩いてきた。
そして――
🐬「バカ。」
小さく呟いた。
🐧「……は?」
🐬「心配した。」
まなとは少し困ったように笑う。
🐧「大げさ。」
🐬「大げさじゃねぇ。」
声が少し震えていた。
🐬「グループLINE見た瞬間…」
🐬「頭真っ白になった。」
🐧「……。」
🐬「走ってきた。」
その言葉に。
まなとの胸が少しだけ苦しくなる。
🐧「なんで。」
思わず口にしていた。
🐬「え?」
🐧「なんで、そこまでするの」
聞きたくない。
でも、聞かずにはいられない。
🐬「……。」
そうたは答えられなかった。
でも。
「まなとがケガした」
その一文を見た瞬間 体が勝手に動いていた。
🐬「……分かんねぇ。」
正直に答える。
🐬「でも。」
🐬「めちゃくちゃ怖かった。」
保健室が静かになる。
先生は気を遣って席を外してくれた。
二人だけ。
🐧「そうた。」
🐬「ん?」
🐧「彼女は。」
その質問に そうたは少し目を伏せた。
🐬「……別れた。」
その一言に 息をのんだ。
🐧「え……。」
🐬「今日。」
静かな声だった。
🐬「俺が引き止められなかった。」
何も言えない。
嬉しいなんて思っちゃいけない。
そう思うのに 胸の奥が少しだけ熱くなる。
🐧「……ごめん。」
思わず謝る。
🐬「なんでまなとが謝んだよ。」
🐧「俺のせい、でしょ。」
そうたはゆっくり首を振る。
🐬「違う。」
🐬「ちゃんと話して。」
🐬「初めて気づいた。」
🐬「俺。」
少し笑って、頭をかく。
🐬「自分のこと、全然分かってなかった。」
その言葉に、顔を上げる。
そうたはまっすぐこちらを見ていた。
🐬「まだ答えは出てない。」
🐬「でも。」
🐬「お前を失う方が、何倍も怖かった。」
胸が締めつけられる。
期待するな まだ。
そう言い聞かせる。
でも そうたの目は嘘をついていなかった。
🐧「……そうた。」
🐬「だから。」
そうたは少し照れくさそうに笑う。
🐬「もう逃げんな。」
🐬「俺も逃げないから。」
その言葉に 一粒だけ涙がこぼれた。
慌てて袖で拭こうとすると そうたがそっと手首を掴む。
🐬「泣くな。」
🐧「……無理。」
🐧「そんなこと言われたら。」
ずっと我慢してきた涙が、静かにあふれていく。
そうたは何も言わず、まなとの隣に腰を下ろした。
二人の肩が、少しだけ触れる。
その距離は、もう前みたいな「親友」だけの距離ではなかった。
コメント
1件
第12話、読み終わりました。保健室の静かな空気の中で、そうたの「めちゃくちゃ怖かった」という言葉がすごく響きました。グループLINEの知らせひとつで頭が真っ白になって走ってくる、その行動の速さに、彼の中でまなとがどれだけ大きかったかがはっきり見えた気がします。別れた話を切り出したタイミングも、まなとが「俺のせいでしょ」と謝るシーンも、胸が苦しくなりました。最後の「もう逃げんな」の台詞と、肩が触れるだけの距離──親友じゃない新しい距離感が、すごく好きです。
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