jkside
見つけた、となぜか思った。
暗闇の中で公園のベンチに腰掛け、
残業終わりの女性でも待ち構えて喉の渇きを癒そうとしていたら
前の通りを足早に通り過ぎた1人の男性から目が離せなくなったのだ
引き寄せられるように後をつけてしまったが、彼は気づく様子もない。
ゆったりとしたスピードで坂を登っていく彼とどんどん距離を縮めていく
登りきったところで彼がふと立ち止まり、空を見上げた
促されるように僕も同じ方向に目を向けると
そこには赤い月が浮かんでいた
しばらく見つめたあと、
🐰「今日の月は、、赤いですね」
後ろから静かに声をかけると、びくっと反応した彼が振り向いた
遠くの電灯の光がかろうじて照らされて光る彼の目は、きらきらと妖狐な色を秘めていた
その目を見ると、なんだか僕の方が魅惑されてしまいそうな気分になり、興奮を覚える
🐣「び、、びっくりした、、」
上ずった声で彼が呟き、少し後ずさった
ああ、もう、、本能が彼の血を欲している
僕は、獲物の女性を魅惑する時のように、優雅にお辞儀をした
jmside
振り向いた先には、今の時代にはそぐわない出で立ちの男性がたっていた
首元に大きめのフリルが縫い止められた真っ白なシャツ
首にかかったチェーンのネックレスの先には、美しいグリーンの宝石
彼によく似合う形のジャケットにはきらきらと煌めくビーズが無数に光っていて、
そこから覗く手と首筋は、真っ白で彫刻のように美しかった
気が抜けてしまったように見とれていると
その体が優雅に動いて、僕に向かってお辞儀した
🐰「こんばんは、怪しいものではありません。ジョングクと申します、お見知り置きを。」
そっと顔を上げて微笑む彼の、
その真っ赤な唇からの放たれる声は、
脳内にねっとりと忍び込んで、支配してくるような妖狐な響きを含んでいた
🐰「お名前は?」
声をかけられてようやく、唇を見つめてぼーっとしていたのに気づき、
はっと視線を彼の目に向けたその刹那、
🐣「うっ、、え、、、くる、、し、、」
その目の中に赤い月がきらっと光った気がして急に呼吸が出来なくなった
立ち尽くしたまま、必死で酸素を求める僕に、彼がそっと近づく
🐰「大丈夫です、落ち着いて」
妖狐な声で耳元に囁かれ、彼の腕が僕の体に回される
きゅっと僕を抱く腕に軽く力が込められた瞬間、
足の力が抜けて、彼に支えられたままくらりと座り込んでしまった
🐣「はぁ、、はぁ、、はっ、、な、、に、、」
🐰「ジミン、、さん、ですね?」
名前を呼ばれ、なんで分かったんだ、、とまた顔を見つめてしまう
僕の心までもを覗き込むように、目を合わせられた
見間違いじゃない、さっきと同じ赤い月が目の中に見える
今僕の体を抱いているのは、人間ではないことを直感した
🐣「た、、たす、け、て、」
得体の知れない恐怖で、無意識に助けを求めた
🐰「怖がらないで、痛いことはしないから。僕に身体を預けて」
口角がゆっくりとあがり、優しく微笑みながらも、その目の光は僕のそれを捕らえ続ける
脳内ではだめだと叫んでいるのに、身体が言うことを聞かず目をそらすことが出来ない
ふっと彼の正体が脳裏に浮んだ
『満月の夜、獲物を探してさまよい、
住処へと連れ去るヴァンパイア』
🐰「さぁ、参りましょうか、」
ギラっとその目の光が強くなったのを見た瞬間、僕の視界は真っ赤に染まり、何もわからなくなった
コメント
6件
続き待ってます!
最高🤩バンパイアの🐰ちゃん。 恰好いい!