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みあっち
「九尾センセー!おはよー!」
「はーい。おはようございます」
生徒が登校してきて、生徒に人気の九尾先生に生徒が挨拶し
九尾先生も笑顔で挨拶し返す爽やかな白樺ノ森学院の朝。
「おっはよぉ〜」
遊が司と助に挨拶する。
「おはよー」
「おはよう」
席に座る遊。
「今日は体育の日だぞ」
と司と助に言う遊。
「体育の日って。祝日じゃないんだから」
「単に体育がある日ってことだよね?」
「そーそー。体育以外の授業、マジでつまらんからなぁ〜…」
「典型的な陽キャだよね、遊って」
と助が言う。
「そお?」
「うん。同じ中学にいたわ。授業中友達と話したり寝てたりしてんのに体育の授業だけ全力投球タイプ」
「あ、オレだわ」
と笑う遊。
「…っ…おっ…はぁ〜…」
光が、伸びまでいかないが、体を逸らしながら挨拶する。
「おはよぉ〜」
栗夢(くりむ)と
「おはよ」
美音が挨拶し返す。
「はあぁ〜…」
「今日も朝からダルそうね」
「そりゃそーでしょ。なんで学校って朝からなんだろ…」
と言った後にあくびする光。
「ま、大抵の学校がそうなんだから、いまさらそこに文句言ってもねぇ。
でも、たしか、そんな朝からじゃない学校もあったはずよね?」
「あぁ。海月((くらげ)(夜海月(やくらげ)学園の略称)でしょ?」
と栗夢が言う。
「あぁ〜海月ね?たしかに海月は登校時間の指定がない珍しい高校だよね」
「そんなに朝が嫌なんならそこに入ればよかったじゃない」
「いやぁ〜。海月はなにかしら才能ないと入れないから」
「そうだっけ?」
「ただ朝起きるのが苦手ってだけの子のために、さすがに高校作んないでしょ」
「それもそっか」
「ていうか、知ってるってことは、志望校決めるときに候補に入れてたのね?」
「まあぁ〜…。というか中学の友達の日野灯歌(ともか)ってのが今海月にいてさ?」
「あ、そうなんだ?」
「そうなのよ。ま、灯歌って変わり者でね。妄想ばっかする子でね。
小説書いてるから、ま、当然っちゃ当然なんだけどね。で、いざ受験ってなって
私は親の意向もあって家守(家守神学院の略称)と白樺(白樺ノ森学院の略称)受けることになって
灯歌は星高(星之光高校の略称)と海月受けることにして、灯歌も私と同じで朝苦手なタイプでさ?
結局朝起きなくていいってことで海月にしたらしい、マジ羨ましい」
最後ラップみたいになる光。
「私たちって両親の意向で白樺か家守かみたいなところあるから、中学の友達とは離れがちになっちゃうよね」
と言う栗夢。
「ま、そうねー。前言ってた猫(猫井戸高校)に行った友達でしょ?」
「あぁ琴乃のことね?」
「いや、名前言われてもわからんけど」
「あっ。森都(もりみや)琴乃」
「いや、名前だけだからってわけでもないんだけどね」
「名前言ってなかったっけ?でもよく覚えてたね」
「まあ。美音は?」
「なにが?」
「話の流れでわかってほしいけど。中学の友達。仲良かったけど離れちゃったーみたいな」
「あぁ。ま、仲良かった子は何人かいたけど、今でも連絡を取るような子はいないわね」
と言う美音に悲しそうな顔を向ける光。
「なっ、なによその顔」
と美音が言うと光が美音の肩に手を置いて
「大丈夫。私は高校卒業しても生存確認するから」
と頷きながら言う光。
「生存確認ってね」
「ま、栗夢はわからんけど」
「ちょっと。私も卒業しても美音に連絡するよ」
「あ、美音にだけなんだ?」
「もっ、もちろん光にも連絡するよ。ていうか光も美音のことしか言わなかったくせに」
「お。気づいた?」
「気づくよ」
なんてやり取りが、どこか嬉しくて心臓がドキドキする美音。
担任の雀永(じゃくなが)先生が入ってきて朝のホームルームが始まる。そして3限までの授業を終え
「っしゃ!体育じゃ!」
3時間目の授業が終わった瞬間にガバッっと顔を上げ、拳を握りしめる遊。
4時間目は遊待望の体育ということで更衣室へと向かった。
「さっきまで寝てたくせに、急に元気になるのな」
と助が着替えながら言う。
「いや、脳を使って疲れるのって、なんか…ぐわぁ〜んってして嫌な感じだけど
体を使った疲れってのは爽やかさがあるじゃん?」
と遊も着替えながら言う。
「わかんない。全然わかんない。運動すると汗かいて気持ち悪いし
なにより肉体的疲労って回復が遅いから嫌なんだよ。
それに比べて問題が解けたとき、閃いたときのドーパミンは最高よ?」
と相反する意見を言い合う遊と助の近くで、練習したことができるのかどうかとドキドキしていた司。
そして体育の授業が始まる。男子はバスケ、女子はバレーボール。
というものの女子は突き指をしたくない生徒、そして突き指をさせたくない親が多いため
トスと呼ばれる、手を頭の上に挙げて、指先でボールを包み込み
指先と手首のスナップを効かせてボールを上げるというものや
スパイクと呼ばれる、主に点を決めに行くための強く打ち込む、必殺技的なものをせず
サーブ以外、みんなレシーブと呼ばれる、両手を前に出して
前腕の中腹辺りでボールを返す技ばかりを使っていて
お世辞にもバレーボールとはいえない試合を繰り広げていた。
「見てみ?」
と遊が助と司に指を指しながら言う。助と司は遊が指指している、遊が見ているほうを見る。
そちらには、ネットを挟んで女子がバレーボールしている姿があった。
「あんまジロジロ見んなよな」
と助が言う。
「なんで?」
「なんでってそりゃぁ〜…」
「いいから見てみろって」
「…見たけど?なに」
「みんなレシーブしかしてねぇ」
「あぁ〜。ほんとだ」
「あぁ。それを見てたのね」
と言う助に
「ん?逆に助はどこを見てると思ってたわけ?」
と聞く遊。
「あ、…いやぁ〜…」
と気まずそうにする。
「ま!みんな突き指したくないだろうしね」
と話を逸らす助。
「突き指したい人のほうが少ねぇって」
と言う遊に
「たしかに」
と笑う司。
「遊は気にしないよね」
「気にぃ〜しないな。大っきい怪我だけしなきゃいいって両親には言われてるわ」
「あぁ〜。良い考えのご両親だ」
「てか突き指如き心配してたらバク転もバク宙もできないしな。
腕骨折するかもしんないし、頭から落ちたら、頭かち割れるかもしれないんだし」
「大きな怪我だね」
「…たしかに」
そんな話をしていると助、司、遊のチームがバスケの試合をする順番となった。
「なに見てんの」
美音の横に座っている光が、美音がなにか見ていて気になったので話しかける。
「えっ!?いや、な、なんでもないわよ」
「…鴨条院(おうじょういん)くん?」
と光に言われてビクッっとなる美音。
図星か
と思うが言わずにいた光。
「男子はバスケかー。男子はいいなぁ〜。突き指とか気にせずスポーツできて」
「気にする子もいるでしょ」
「まあね?でも女子のボールとの“お戯れ”よりよっぽど楽しそうじゃん」
「そお?そんなに羨ましいかしら」
と言う美音に
まあ、美音は運動音痴だもんね
と思う栗夢と光。
「汗かくし、怪我したら嫌じゃない」
「まあね?でも楽しそうじゃん。ほら、遊雉(ゆうち)とか」
バスケでは遊が躍動し、活躍し、シュートを決めて、笑顔で助や司やチームメイトとハイタッチをしていた。
汗をかいた額を体育着の裾で拭く。お腹がチラリと見える。
「おぉ〜…。遊雉いい腹筋してるな」
「まあ。たしかに楽しそうではあるわね」
そんなこんなで4時間目の体育も終わり、着替え終え、お昼ご飯の時間に。
そして遊と光は学校の敷地内にあるコンビニにお昼ご飯を買いに行く。
「バスケ楽しそうだったね」
「そうですか?ま、女子のほうのバレーは、初心者向けの練習って感じでしたもんね」
「見てたんか」
「見てました見てました。楽しいのかなぁ〜って」
「…まあ…正直楽しくはない」
「ですよね?」
「うん。でもまー、しゃーないかなって」
コンビニの中のパン売り場を眺める光。
「お金持ちの子ばっかじゃん?」
「まー、そーゆー高校ですからね、ここ」
「ってなるとピアノとかバイオリンとか習ってるだろうし、お手手か弱いからさ」
と言って全指を順番に素早くシャラシャラシャラァ〜と動かす光。
「宝孔雀(ほうくじゃく)さんもなんかピアノとか習ってんすか?」
「いや?ま、小っちゃい頃はピアノ習ってたけど、レッスン厳しすぎて、レッスンバックれすぎてやめた」
「宝孔雀さんって、割と破天荒なとこありますよね」
「そお?」
「まっ、そーゆーとこも好きですけどね」
と言う遊。
「ん。どーも。…なにこれ。イケメン、チ、あぁ、イケメンチか。変な名前」
と言った後、「ふっ」っと鼻で笑い
「おもろいからイケメンチカツパン買お」
ということで光はイケメンチカツパンと四ツ葉サイダーを買い
遊も真似してイケメンチカツパンと四ツ葉サイダーを買って教室に戻った。
「「イケメンチカツパン?」」
思わず声が揃う栗夢と美音。
「うん。なんか売ってた。名前がおもしろすぎて買ったわ」
改めてパッケージを見る光。
「…あ、これOWLsとのコラボ商品なんだ」
と呟きつつも開ける光。
「オウルズ?フクロウのこと?」
栗夢が聞く。
「OWLs。アーティスト」
「OWLs」とは「One Word Loving smiling」の頭文字を取ったものであり
「愛と笑顔に満ちた世界になるように」というのを掲げてアーティストの活動をしているグループ。
全員黄色い法被を着ており、リーダーは大阪人であり、お笑い好きで、芸人さんをリスペクトしており
よく親父ギャグを言ったりしていて、メンバーからは
「おもしろいときはタイミングとか完璧でおもしろいけど
基本的にはめっちゃ寒いっすね」と言われていたりする。そしてこのイケメンチカツパンというのは
そんなOWLsのリーダーの親父ギャグがキッカケで生まれた商品である。
「いやぁ〜。体育楽しかったなぁ〜」
とそんなイケメンチカツパンを食べ終えて、手を後頭部にあて、少し反りながら言う遊。
「遊ってバスケやってたの?」
「んや?」
「それにしちゃうまくね?」
「まあぁ〜…。運動神経はな?生まれつきいいんよ。オレ」
と笑う遊。
「できないスポーツとかないの?」
「できないスポーツ?」
口を尖らせながら考える遊。
「水泳も割りかし早く泳げるし、陸上も割といい線までいくと思う。足早いし、跳躍力もまあまああるし。
てなるとバスケもバレーもいけるっしょ?テニスもちょっとやればできると思う。
サッカーもいける。足早いし体力もそこそこあるし、コーナーキックでゴール前抜け出るジャンプ力もあるし。
リフティングもある程度できるし」
「卓球は?」
「卓球かぁ〜…。ま、いけんじゃね?ガチ勢には負けるだろうけど
遊びで強いって言ってる人らには勝てるくらいにはなると思う」
「ゴルフは?」
「ゴルフー?…やったことないけどー…。わからん。
あぁ〜正確性を求められるのは苦手かも。アーチェリーとか」
「あぁ〜。ビリヤードとかダーツとか?」
「あれってスポーツなん?」
「わかんないけど」
「ビリヤードとかダーツは割と得意だぜ?従業員さんとよくやるし」
「まあでもゴルフは紳士のスポーツだから、遊には向かないかもね」
「誰が紳士じゃないんじゃ」
「大声出しそうじゃん」
「…。え。ダメなん?」
「ダメらしいよ」
「きっつ」
なんて話をしてお昼休みの時間が終わり、午後の授業が始まった。
栗夢、美音、助、司は真面目に授業を聞いており
光はたまにスマホをいじったりしていて、遊に至っては授業開始10分足らずで寝ていた。
そして午後の授業がすべて終わり、帰りのホームルームも終わって
助、司、遊の3人は下駄箱に。ローファーやスニーカーに履き替え
「終わったぁ〜…」
と伸びをしながら昇降口から出る遊。
「お。鷺崎さんだ」
と助が言う。
「お。ほんとだ。今日もカッケェーなぁ〜」
と言われている幸は帆歌と話しており、帆歌が
「あ、司くん出てきたよ」
と言うので、昇降口のほうを見て、3人を確認し、ペコッっと頭を下げた。3人が幸に近づく。
「お坊っちゃま、法鹿(ほうじか)様、遊雉様、お疲れ様でございます」
と言って頭を下げる幸。
「鷺崎さんもお疲れ様っす」
と敬礼する遊。
「お疲れ様です」
普通に言う助。そして司がヘルメットを被って幸の後ろに乗り、バイクで走り帰って行った。
「鷺崎さんいっつもバイクだけど、なんでなんだろ」
と遊が呟く。
「なんでって?」
「ふつー車じゃね?」
「あぁ〜…。たしかに?」
遊の謎に助が納得していた。そして家に帰った司。手洗いうがいを済ませ、部屋着に着替えて、幸が
「なにかお飲みになられますか?」
と言うので飲み物を頼んで、それを持って部屋へと行った。そして夜ご飯。いつも通り
「本日は鮭のムニエルをメインに、リゾット、エビと卵のスープ、サーモンのサラダになります。
鮭もサーモンも北海道産の最高級品種のものを昼の間に送っていただきまして
バターもチーズも最高級品、海老は沖縄県産の車海老を、これまた昼間に送っていただきまして
卵も京都産の最高級品、そしてサラダに使っている野菜も
それぞれの特産地から最高級品のものを送っていただき
サーモンの味わい、食感が際立つように、そしてドレッシングの風味を感じられるように
かといって、それぞれの野菜の良さが消えてはいけないので
それぞれの野菜の良さも引き立つような切り方になっております」
とたしかに美味しそうだが、嘘にまみれた説明を受けて、司はそれを真に受けて食べる。
「うん。美味しい」
といつも通り笑顔を幸に向ける使うだったが、幸は司に、どこかいつもと違う雰囲気を感じていた。
夜ご飯を終えてソファーに座ってテレビを見る司に、執事としてではなく
「司、どうかした?」
と兄的な存在として声をかける幸。
「え?いや…なんでもない、よ?」
「そお?オレにはそうは見えなかったってだけか」
「…」
「ま、言いたくなければ言わなくてもいいけど」
「…。練習したこと全然できなかったんだ」
それは今日の体育の話。光が「遊が楽しそう」と言っていたように、目立ったのはいつも通り遊で
司はいつも通り、可もなく不可もなくといった具合だったのだ。
「こーくんにも朝斗くんにも付き合ってもらったのに…」
と言う司に
なるほど。それで
と思った幸。
「…ごめn」
「ごめんね」と言おうとしたが、途中で頭に手が乗る感覚がする。幸がポンと手を乗せていた。
「ごめんはなしな?」
と言う幸。
「でも、付き合ってもらったのに、なにもできなかった」
「まだ本番じゃないだろ?」
「まあ…」
「脳ある鷹は爪を隠すって言うだろ?」
「うん」
「だから練習では出なくていいんだよ。なんなら出ないほうがいい。
相手に手の内を明かすようなもんだからな?」
「…なるほど?」
「だからむしろ偉い。実際できなかったってだけで
頭の中ではここであの技を使えばって考えたんだろ?」
「うん」
「そのシミュレーションだけやって、実際技を出さない。うん。完璧」
「そうなの?」
「そ。だからごめんはなしな?」
と言う幸に
「うん!」
といつもの雰囲気に戻った司が頷く。
「じゃ、今週の土曜も練習行くか」
「うん!」
と朝斗側からしたら
「っ、しょん!」
「どーした昇((のぼる)ホストクラブでの源氏名)、風邪ひいたか?」
「いや。たぶんオレがイケメンすぎて、誰かが噂してんすよ」
「じゃあ、早く指名取れ」
勝手に土曜の予定が決められていた。
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