TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

学校からの帰り道。

今日も、別の道からふらりと現れた彼と、目が合う。

一応、ぺこりと会釈をする。

顔を上げると、彼が首を少々前に倒していた。

と思ったら、次の瞬間、歩道にはみ出していた樹木の枝に頭を引っ掛けた。

うお、…あれ?

思わず、吹き出してしまった。

さすがに、仕方ないということにしてもらいたい。

自分の身長の高さを、自覚しているのだろうか、こいつは。?

ちょ…笑ってないで、助けてもらっていいすか?

ジト目で軽くにらまれて、笑いながら走る。

いや、マジでなんで笑ってんすか?

ご、ごめんねw私のせいかな、”会釈もどき”させちゃったもんね。ww

べ、別にそこはいいんすけど…。

別にいいんだ。w納得いかないって感じ?

微妙っすね…

…あのさ、助けてって言われても、手が届かないよ。髪の毛、枝に引っかかっちゃっただけだよ?

あ、そうなんすか?なんか刺さったような気がして…

さ、刺さったって…ww

また笑ってる…(・・)

ちょ、その顔やめてw

じゃあやめないっす((

…うーん、自分の身長何cmか分かるかなぁ、竹海くぅーん?

ガキじゃねーっすよ!?……193〜〜…

ふっ…ww ほんとに、あの”会釈もどき”要らないよ?私じゃないと、会釈してるつもりだって察せないよ?

少々意地が悪いかもしれないが、容赦なく追撃をしてみる。

だっ…てッッ…

口論が下手くそだねえ、竹海くーんw

…おぅーい。^^

おっと。からかいすぎはいけない、逃げよう。

怒らせちゃってごめんねー、バイバーイ!(スタタタタ)

させるかぁッッ!!(ダッ)

お…?呆れて見送られるかと思ったが、さすがに追いかけて来るようだ。ならば…

あッッ!何草むらに入ってんすか!

竹海 陽を不利にするためだよー☆

ヤバい。楽しい。人をここまで煽ったのは初めてだ。

激昂はありえないが、なんらかの叫び声が聞こえてくると思っていた。…無音だ。諦めたか?

雑草でボーボーの公園を突っ切り、入り口まで達した所で。

目の前に竹海がいることに気がついた。

…先回りか。竹海もずる賢くなったねえ…

誰目線で言ってんすか。さっさと帰りましょーよ。

んじゃ、そうしよっかな〜…

譲ったっていう雰囲気出さないでもらっていいすか?

えー、しょうがないなあ…

話聞いてます?


自分の身長(193cmの長身)について時々忘れているこいつは、私のいとこだ。

いとこだというのに、今まで会ったことがなかった。しかも、家も近いのに。

なんでと聞いたら、小さい頃に会ったはずよと言われた。覚えてないのね、とも言われた。

小さい頃っていつだよ、とは言わないでおいた。


親から色々と説明をされたのも、入学式が終わってすぐで。

竹海の両親が、単身赴任が多い仕事だということ。

そして、今回はそれぞれ別の場所に行くことになってしまったため、しばらくウチに竹海を預けたいとのこと。

しかも竹海が、私と同い年で、高校も一緒で、しかも同クラだったこと。

クラスで一番背が高いんじゃい?、190cm以上あるのよ、顔覚えたりしてない?とたて続けに質問されて、ああ、と思った。

飛び抜けて背が高いのが居るよ、と言ったら、そうそうきっとその子よ、と言われた。


私の母は少々適当なところがある。

ウチの場所をまだ教えていないんだけど、もう明日から一人になるの、声かけて連れて来て?とまで言われた。

別にいいんだけど、そんな用も無ければ、193cmに一人で声をかけることは無かったと思う。

まあ竹海はなぜか帰宅部だから、身長以外で差を感じることはない。

というか、身長が高すぎる方が、絶対不便である。

常日頃からそう思っているが、今日見事に髪を木の枝に引っ掛けていたから、自分の意見の証明に成功した気分である。


ちょっと。湊さん、今絶対身も蓋もないひどいこと考えてるっすよね?

さあね。…ていうか竹海、私を捕まえて何の意味があるのー?

意味?一緒に帰れるじゃないすか。

キョトンとした顔つきで、とんでもないことを言い放ちやがる。

ヤワな女子だったら、もうストライクゾーン入っちゃってるだろうよ。

…いや、ヤワな男子でもイケるか。

湊さーーーん?…失礼なこと考えてんでしょ、なんか対価がほしいっすねー…

…対価ぁ?なにそれ〜、よく分かんないけど好きにしなよ。

…言いましたねー?(キュッ🤝)

…んぁ?

じゃあ、一生俺から離れないでくださいねー?

…は?

なんかすげーぎこちねえ…湊さん、手繋いだことないんすか?

おそらく”最悪”のタイミングで、竹海がこちらを向いた。

あー、ほっぺ赤ーい…やっと惚れてくれました?w

今更、気づく。私の前を歩く竹海の目は、ギラギラと光っていた。声も、低くなったような気がする、。

好きっすよ、湊さん。…おばさんから、湊さんが俺のこと覚えてないって聞いた時は、崩れ落ちたんすからねー?

…え…

崩れ落ちたって、…膝から?

だからもうおばさんにはバレちゃったんすよ、安心してください。…鈍感なのは、湊さんだけっすよ〜w

やっと、理解が追いついていく。

だ、誰があんたなんかに惚れるかッッ、バカ竹!!//

…いいんすかー?ホントに一生、離してやんねーっすけど…握力ナメない方がいいっすよ?w

妖しげに笑って、するりと指を絡めてくる。…こいつ、ほんとに竹海か…?

つーか、湊さんモテてんのに、全然好意に気づかねえし。…俺が一番乗りってことで、いいっすよね?^^

……え、?

他の男に近づいちゃダメっすよ〜…俺から、逃げないでくださいね🎶


ずっと、放心状態なのに。

竹海の声だけが、体の芯まで響いてきて。

一気に、熱を放った。

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚