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あの花火大会から数日が経った。

楽しんでいるだけに見えたと思うが、私もかなり周囲を観察していた。そしていざ曲作りをしてみようとなると、どんどんアイデアが浮かんできた。

でも多分普通にでかけてたら、そんなカップル見られなかっただろう。本当にるぅ💛さんには感謝しかない。

そう思って、髪に付けてあるヘアピンを指で撫でる。

あの時、すっごく嬉しくて幸せだった。内緒で買ってくれてるところ、多分るぅ💛さんは私にお代を絶対払わせないだろう。あの日から毎日付けている。

普通に凄く好みだし、なにより、るぅ💛さんから貰ったということがとっても嬉しかった。


今日は花火大会以来初めてるぅ💛さんに会う日なので、またお礼を言おうと思う。

ただ………私は私で結構恥ずかしいことを言ってしまった。

ヘアピンをくれた時、浮かれすぎて、本当は隠し通すつもりだった事をつい言ってしまったのだ。

そう、私はリアコ勢だったのだ。といっても、同担さんを見てちょっとだけ嫉妬してしまうだけだったし、同担さんのおかげで推し始めたのもわかってたし、この恋は絶対無理だとわかってたから、軽いリアコみたいなもんだ。

その軽いリアコが告白同然のことをしてしまって良かったのか。ていうかそもそもリアコでも隠し通すべきだろう。やってしまったかもしれない。






打ち合わせ場所に行くと、先にるぅ💛さんが居た。

「あ、白川さん、こんにちは。」

「こんにちは。………今日なんかありましたっけ?」

いつも私はるぅ💛さんより早く来ている。打ち合わせの40分くらい前。るぅ💛さんは大体10分前。

そして今日も私はそのつもりで来たのだが、るぅ💛さんが私よりも前にここに居た。打ち合わせ時間を間違えてしまったのではと焦ってしまう。

「なにもないですよ。…………ちょっと僕が早く起きてしまっただけなので。」

ほっと胸を撫で下ろす。ただ、最後の方が、なんかごにょごにょ言ってて聞き取りづらかったのと、るぅ💛さんが口元を手で隠して目を逸してるのはなんでだろうと思ったが。

「早めに合流したことですし、もう話し合います?」

「そうですね。」

そう言いながら、るぅ💛さんはバックの中から色々取り出す。私も椅子に座って、バックの中を漁る。

「……あ。ヘアピン………。」

「!そうなんです!あれから私毎日付けてて。これ気に入ってるんです。」

さすがるぅ💛さんという感じだ。すぐ気づいてくれた。それだけでもう嬉しい。

「……!そうですか。良かったです、喜んで貰えて。」

「はい!ありがとうございます。」

「では、始めますか。」

「はい!」

「では白川さん、この前学んだことはなんですか。」

「えーっと、周りの人たちは、友達とか、家族とかで来ている人、それからカップルとかもかなり多いなーと感じました。多分ですけど、いつもじゃできないことが、祭りでテンションが上がって、手を繋いだりとかが余裕で出来るイメージでした。」

「………。」

すると、るぅ💛さんが、びっくりしたような、呆れたような、ガッカリしたような、少し怒っているようなため息を吐いた。

「………僕が聞いたのは体験談なんですけど。」

「たい…けん、だ……、…え?」

「僕、最初にデートって言ったじゃないですか。」

「だってあれは曲のインスピレーションを高めるための…」

「そうですけど、そうじゃないでしょ…。」

ということは、るぅ💛さんはあの時、本気でデートのつもりだったってこと?

嬉しい…じゃなくて!これはどーゆー反応をすればいいんだ!?

私の思考はぐっちゃぐちゃ。

「顔を染めてたのは幻覚だったのかな…。」というるぅ💛さんの呟きが聞こえないくらい、私は自分の頭を整理するのに精一杯だった。






引退した推しは仕事仲間

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