恋愛＊スクランブル

「そう。それは文化祭の１週間くらい前のこと」

杏葉を前にして、空太は静かにゆっくりと語り始めた。

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文化祭は週末だというのに、すでに学校中は浮かれモードだった。

しかし、 空太（くうた）も表には出さないものの、その空気を楽しんでいる。

もし、自分が本来の姿であったのなら、純粋に楽しんでいられたのだろうか。

それとも、今のように、心の中だけで味わっていたのだろうか。

いや、それが原因ではない。

一番は、 杏葉（あずは）とのことだった。

会うことさえもないだろうと思っていた、相手。

再会したくなかった相手。

最初は、 誤魔化（ごまか）していけるだろうと思っていたが、徐々に迫ってくる杏葉に、どう対応すればいいのかわからなかった。

だから、つい、感情に身を任せて怒鳴ってしまったり、杏葉を――この空太の体の持ち主を失望させたりしてしまった。

本当は違＊＊＊＊＊

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