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施設を壊滅させたあの夜から、数日が過ぎた。
俺の首筋を苦しめていた熱い痛みは、もう完全に消えていた。そこにはもう、嫌なチップの感触も、誰かに操られるような頭の中のノイズもない。
あるのは、窓から差し込むやわらかなお日様の光と、この家いっぱいに広がる三人の温もりだけだった。
「……んっ、ご主人様……また、ぼーっとしてる」
膝の上にぴょんと飛び乗ってきたのは白だった。彼女は俺のシャツのボタンを器用に外すと、まだうっすらと跡が残る首筋に、優しく長いキスをした。
「もう、どこにも行かないわよね? あの冷たくて恐い場所にも、アタシたちの手の届かない場所にも」
「ああ、約束する。……俺はもう、お前たちだけのものだ」
その言葉が合図だった。
リビングのカーテンが閉められ、昼間だというのに部屋の中は、むせるような熱気に包まれ始めた。
最初に甘えてきたのは、独占欲の強い白だった。
彼女は俺をソファに押し倒すと、しなやかな体で跨り、衣服を脱がしていく。
「あのアスファルトの匂いも、恐い機械の匂いも……全部アタシが消してあげる。……ねぇ、もっと強く抱いて。アタシが壊れちゃうくらい、ご主人様の愛を刻みつけて」
白の激しい抱擁に、黒と茶々も吸い寄せられるように加わってくる。
黒は言葉少なに俺の指先を絡め、潤んだ瞳でじっと俺を見つめた。
「⋯⋯ん。⋯⋯心臓の音、⋯⋯アタシだけのもの。⋯⋯もう、⋯⋯離さない。⋯⋯奥まで、⋯⋯繋がって」
そして茶々。かつて怯えることしか知らなかった彼女は、今では誰よりも真っ直ぐに俺の愛を求めていた。彼女は俺の胸に顔を埋め、震える声で一生懸命に言葉を紡ぐ。
「お兄さん……アタシ、生きててよかったです。こんなに熱くて、幸せな気持ち……教えてくれたのは、お兄さんだから。……全部、アタシにください」
そこからは、時間の感覚さえも溶けていくような時間だった。
リビングで、寝室で、そしてお風呂場で。
俺たちは互いの肌を、体温を、そして心を確かめ合うように、何度も、何度も重なり合った。
それはただエッチをしたいという欲求だけではない。死ぬような思いをして、やっと自由を手に入れた俺たちの、「生きている」という喜びの爆発だった。
白の元気な声が部屋に響き、黒の静かな吐息が耳元をくすぐり、茶々の健気な叫びが空気を震わせる。
三人は、俺というひとりの男を愛し、愛されることで、自分たちが「モノ」ではなく、一人の「女の子」であり「家族」であることを、肌で感じていた。
「……はぁ、……っ。……大好き、ご主人様♡」
白が俺の胸に爪を立て、幸せそうに腰を揺らす。
止まらない快感の向こう側で、俺たちはひとつの塊になって、泥のような深い眠りへと落ちていった。
次の日の朝。
眩しい光の中で目を覚ますと、俺の両腕には三人の宝物が収まっていた。
左腕を枕にしている白、右側にぴったりとくっつく黒、そして俺のお腹の上で丸くなって寝ている茶々。
首筋に手を当ててみる。
そこにはもう、嫌な疼きはない。
ただ、彼女たちが昨夜つけてくれた、情熱的な「愛のしるし」が誇らしげに残っているだけだった。
「……ん、……おはよう、ご主人様」
白が目をこすりながら、幸せそうに微笑む。
黒も、茶々も、光の中でゆっくりと目を開けていく。
「おはよう。……今日も、騒がしくなりそうだな」
俺の言葉に、三人が顔を見合わせて笑う。
朝ごはんの準備、賑やかなおしゃべり、そして飽きることのない愛の時間。
俺たちの物語は、ここでおしまい。
でも、この小さな家で紡がれる「家族」の時間は、これからもずっと続いていく。
首輪なんてどこにもない、光り輝く未来へ向かって。