テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
タクが大通駅で降りた先で、突然足を止めた。
翼の胸が、ざわついた。
(……誰?)
タクの目の前に、誰かが立っていた。
人ごみで顔はよく見えない。
でも、シルエットが妙に馴染みがある。
(彼女……だったらどうしよう……)
翼の頭の中で、ありもしない妄想が爆発した。
タクが笑いながら手を繋ぐ姿。
タクが誰かに優しく囁く姿。
タクが「翼には内緒だよ」って笑う姿。
胸が、熱くて苦しい。
翼は直視できなくて、
隣のアキの袖を強く引っ張った。
「アキくん……タクの目の前にいる人、どんな人か見てくれない?」
アキはスマホでディズニーツムツムをプレイ中だった。
「え、あー! コンボが😭😭」
と文句を言いながら、渋々顔を上げた。
そして——
アキは絶句した。
「……真琴……?」
翼はアキの袖を握ったまま、固まった。
(真琴……?)
なんで。
タクと真琴が、こんなところで一緒にいるの?
二人は別々に帰ったはずなのに。
しかも、二人が見ている店が、
さらに二人を追い込んだ。
ドラッグストア。
アキが急ブレーキを踏んだ。
「翼は見るな‼️」
慌てて翼の目を大きな手で覆った。
翼「……え? なんで?」
アキは絶望した表情で、
店内のスキンコーナーを凝視していた。
(あの二人……デキてたのか……?)
実際は、タクと真琴は
その隣のゾーンにある靴下コーナーを見ていただけだった。
真琴が「プレゼントしたい」と決意した、あの靴下。
でもアキには、そんなことわかるはずがない。
アキは翼の手を引いて、
その場から全力で離れようとした。
「帰ろう、翼。
今日はもういい……」
翼はまだ状況が飲み込めず、
アキに引っ張られながら、
胸のざわつきを抑えきれなかった。
(……タク、何してるの……?)
アキは焦っていた。
(知らなかった……全然気づかなかった……
あの二人、そんな関係だったなんて……)
胸がチクリと痛む。
別に俺は真琴と特別な関係じゃない。
バッテリーなんだから、相談してくれてもいいのに……
でも、その痛みの正体に、アキはまだ気づけずにいた。
アキは翼の右手をズンズンと強く引っ張り、
元来た道を全力で戻ろうとした。
「待って、アキくん! 歩くの早いよ!
脚の長さ違いすぎるんだってば!」
翼が何か言ってるけど、全然耳に入ってこない。
#世界一の殺し屋
ぐら🐹💛🐈⬛
4,246
ふわねこカラメル
1,634
ののあ💎✨
87
アキの頭の中は、真琴とタクの「密会」の映像でいっぱいだった。
その時——
「翼!」
遠くから、タクの声がした。
アキはビクッとして足を止めた。
タクが息を切らしながら走ってきて、
二人の前に立ちはだかった。
「なんでお前らここにいんの?!」
翼とアキは同時に固まった。
翼「……え、あ、いや……その……」
言えない。
尾行してたなんて。
尾行してたら、お前らが密会してた(言い方)なんて、絶対言えない。
アキがしどろもどろになってると、
翼が怖い顔でタクの前に身を乗り出した。
「タクは真琴くんと何してたの?」
タクは一瞬、目を泳がせた。
「え? 別に……(全然やましくないのに、アキがいるから言えない……)」
翼の目がさらに細くなる。
「俺にも言えないんだ」
「違う! 翼、話聞いて——」
「修羅場はじまった……?」
「「アキ(くん)はだまってて」」
アキは「怖っ……」と幼馴染の圧に圧倒され、
小さく後ずさった。
そこに——
会計を終えて、タクの元に戻ってきた真琴が、
袋をぶら下げながら現れた。
「あー買えた買えた……って、なんでアキがいるの⁉️……翼も……⁉️」
真琴の目が点になった。
4人の視線が、交錯した。