放課後。鞄を肩にかけて昇降口を出ると、校門の前に見慣れた背中があった。
「……悠真さん?」
振り向いた悠真が手を軽く挙げる。
「おう。妹ちゃん、ちょうどよかった。亮に頼まれてさ、ついでに寄ったんだ」
「兄に?」
首をかしげる咲に、悠真は苦笑した。
「冷蔵庫の中、またスカスカだって。帰りにちょっと買い出し付き合ってくれるか?」
「……はい」
自然に頷いてしまった。
隣を歩き出すと、夕暮れの光が二人の影を長く伸ばす。
昨日よりも少しだけ、その距離が近い気がした。
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