ひろぱエピソードは今回で終了です。
我ながら長い…すみません。
思いもかけない真剣な声色にちょっとびっくりする。
「元貴と涼ちゃん、付き合ってるんでしょ?俺だったら恋人にそんな事内緒にされたら絶対に嫌だよ」
「知ってたんだ…」
「当たり前だろ。どれだけ一緒にいると思ってるんだよ」
若井は呆れたようにため息をつく。…まぁそうだよな。
「いや…。でも俺たちさ…」
言おうかどうか少し悩むが、俺たちの関係に気付いているならちゃんと伝えておいた方がいいのかもしれない。
「俺と元貴ってちゃんとした恋人同士ってわけでもないんだ」
「えっ?どういう事?」
訳がわからない、と若井が眉をひそめた。俺は苦笑しながら事情を説明する。
「なに?涼ちゃんと元貴は付き合ってるわけじゃなくて、元貴が不眠で眠れない時に涼ちゃんが相手してあげてるだけって事?」
「…確かに最初はそうかな」
身も蓋もない言い方だがその通りなので笑うしかない。
「あの頃の元貴かなり不安定で倒れたりヘタしたら自殺でもするんじゃないかって俺も心配だったけど…、なんだよそれ!」
若井が怒りだす。
「まぁでも、最近元貴も落ち着いてきてるでしょ?それでもずっと続いてて…。確かに始まりはあんなだったけど、俺たちの関係もちょっと変化したのかな、って…」
「……」
若井は複雑な顔で黙り込む。
「だから今の俺たちの関係って客観的に見たら『セフレ』ってヤツなのかな?…俺的には気持ちも伴ってるって思ってるけど」
…それでも元貴は何も言ってこない。
「涼ちゃんはそれでいいの?」
「ほら、元貴って繊細って言うか難しいヤツじゃない?だから色々考えちゃってるのかなって」
俺は少し困ったような顔をしてため息をつく。
「でもさ。だからこそやっぱりちゃんとした言葉って言うか約束は元貴の方からして欲しいから。正直今待ってる状態」
「涼ちゃん…」
「だから、今回の事は元貴には内緒にして欲しい。もちろん仕事のじゃましたくないってのもあるけどさ、やっぱりこわいから…」
若井はどう言っていいかわからないと言うように押し黙る。
「ごめん。変な話聞かせて。若井は気にしなくていいからね」
俺は安心させるようにいつものゆるい笑顔を作ってみせた。
「それとさぁ、今回の事、俺の精神的な面も薬の影響も心配だし何日か若井の家にお世話になってもいいかな?」
「もちろんいいよ。いつまでだっていていいから。それとしばらくは仕事の間もできる限り一緒にいるようにするね」
若井の気持ちが嬉しくてとても穏やかな気持ちになる。
「ありがとう。それじゃあよろしくお願いします」
さて、次回からはもっくん復帰ですが、今後はひろぱもかなり絡んできます。