はぁ、適当に来てみたけどこんなところにいるのかねぇ…。
俺は以前にも2人が探したと言っていた森を選んで今、夕日が沈んで真っ暗。
なんで、こんな時間帯で探索させようと思ったのか…まぁ森を選んだ自分にも非はあるが
念の為に懐中電灯持ってきといて良かったわ。でも…辺り一面森、って。
一直線に進んではいる。しかもここ、一本道になってるから帰ることはできる。
はぁ、もー帰ろうかな、いなさそうじゃん。
いませんでしたって言おっと、
って、なんか家、あるな。木製で造られた家…。
こんなところに???
しばらく歩いてたけど来た中で無かったぞ。ここだけ…。
まぁ、皆んな色んなところ住んでたりするもんな。
でも不便そうだよなー川も近くにないし、食いもんも無い、枝でも食ってんのかな、な訳ないか。
家を懐中電灯で照らしながらそんな事を考えていると、この建物の中から声がした。
木製だから外から声はまあまあ聞こえる。しかも、日が沈んだってのに電気付いてないし。
誰だ???
耳を澄ませば、聞こえてくるのは言語、つまり人であって動物ではないようだ。
俺は少しばかり恐怖心はあったが、やはり気になるのでドアを開けてみることに。
シャスカ「誰だー……って、お前…」
その姿は見たことはないが、番犬が見つけて出来るなら連れて来いと言われた人物だった。
まさかこんなところにいたなんて。
カヤト「…?誰?」
シャスカ「迎えに来たぞー。お前、1人か?」
カヤト「な〜あ〜、聞いてくれよ〜。俺置いてかれたんだぜ?こんな暗い中さぁ。ま、暗くても全然見えるから何とでもねーんだけどな。後、腹減った」
シャスカ「な、、」
な、なんだこいつ、見知らぬ相手にベラベラと。馴れ馴れしいな。
シャスカ「着いて来い。ここよりもっと良いとこ連れてってやるからさ」
カヤト「え、マジ?んじゃあ連れてって」
ん……。案外素直だな。バトルになるかと少し身構えたのはこいつを目にしてから。
その後は、一気に失せた。なんでだろうな。
それから俺はこいつを連れて来た道を戻ることにした。
その時、歩きながら、気になったことについて聞いてみた。
シャスカ「…なぁ、何でお前あそこ居たんだよ。館に住んでるって情報聞いたけど?」
カヤト「情報…?そんなの出来るほど俺って人気者なの?え〜、ウケる」
シャスカ「……っ、俺は何であそこに居たのかって聞いてんだよ」
カヤト「あー、なんか奇襲?されてさぁ〜その間、街行って戻って来たら中ガラッとしててこんなとこいるぐらいだったら柚未とイザヤっと行った方がいいなーって」
シャスカ「ふーん。………ん?…ゆず、み…?」
あれ?
カヤト「ん?お前知ってんの?」
シャスカ「あーいや聞いたことあるなーって。知り合いに同じような名前いたから、さ…」
いやまさかな。
シャスカ「…ってか、お前が街荒らしたのかよ」
カヤト「いや、俺だけじゃねーんだよ。これもー柚未に誘われてさー。なんか面白い事ねーかなって」
ん〜俺の知ってるアイツもしそうだな…。
シャスカ「…お前、、もしかしたら俺がヴァンパイアハンターかもしれないんだぞ?何で着いて来れんだ?」
カヤト「…お前ハンター?」
驚いた表情で指差しながら俺の方を見た。
シャスカ「違う。なんていうか…似た類。あっちは殺すけど俺らはヴァンパイアにされた人を治すの。俺らが勝手にやり始めた活動だからヴァンパイアハンターと組んでる訳じゃないが。でもお前らヴァンパイアの敵ってことには変わりはねーんだぞ」
カヤト「…え、いいとこ連れてってくれんだろ?嘘ついたのかよ」
シャスカ「いや、確実にあのボロ屋よりは良いと思うぞ」
カヤト「だよな〜期待してっから♪」
はぁ…。
シャスカ「ただいまー」
ベラドール「お、おかえり!!…って、、、おい…!」
ボラス「…怪我はなかったのか?」
シャスカ「無傷無傷。攻撃すらしてこなかった」
ボラス「攻撃すらしてこなかっただと…」
ベラドール「そ、そうか…」
ボラス「取り敢えず、こっちに来い」
ベラドール「…あー番犬?飯は?」
ボラス「後だ。…カヤトだな。来てくれ」
カヤト「…?」
そうして、俺とベラドールだけを残して、番犬は地下、対象者にとっての治療室へ行ってしまった。
ベラドール「行っちまったな…」
シャスカ「もう先食うか」
ベラドール「番犬もお前のこと待ってたし、流石に先食うのはダメだろって言おうと思ったけど私も我慢できねぇや。食おうぜっ!」
シャスカ「だな」
カヤト「何ここ?さっきのとこが良かったんだけど」
ボラス「お前には受けてもらわないといけない事がある」
カヤト「何?」
ボラス「お前は…ヴァンパイアだろ。ここらじゃ少し有名だ。なんせサンルナ族の残存者と一緒にいるんだからな。尚更だ」
あ、そうだ。「番犬」って気になってたんだったわ。
カヤト「な〜あ〜、番犬って言ってたの聞こえたんだけどさ、番犬って何?」
ボラス「あぁそれは…同僚につけられた俺のあだ名だ」
カヤト「あだ名?」
ボラス「俺の種族が犬ってこともあってか何故か同僚が付けたんだ。俺はそれに対して別に悪いものだと思ってはいない」
カヤト「変なのー。ってかお前犬だったんだ?」
ボラス「あぁ。……ここだ」
ボラス「しばらくここにいろ」
カヤト「えーやだよ。こんなとこ」
ボラス「悪いが協力してくれ。従わないって言うならこっちもそちらに合わせての処置を取るつもりだ」
カヤト「ここで縛るつもりか?俺に勝てんのかよ」
ボラス「ああ、自信ならある」
カヤト「…流石番犬だな」
ボラス「そう、なのか…?」
カヤト「…こんなとこで何すんだよ」
ボラス「お前を、人間に戻す」
カヤト「なんで?」
ボラス「これ以上被害が出ないように、出さないように」
カヤト「…今の方が強いけど、不便なところはあるから良いよ」
ボラス「ほう…不便か」
カヤト「飯が血しか受けつけねーんだよ。これがまぁ大変。食ったら吐くし」
ヴァンパイアだからな…噂は本当だったのか。だが、これはあくまでも半ヴァンパイアだ。サンルナ族では無いから実際のところは未だ分からず、か。
ボラス「なるほどな」
カヤト「後、あのババアに貰ったから髪、こんなんなの!まじダサい」
貰った…。吸われてヴァンパイアになるという事例もあるが、サンルナ族は…
ボラス「血を貰ったのか?」
カヤト「おう」
血を貰ってヴァンパイアになるのか。
ボラス「黒の方、あるいは灰色の方のどちらかが地毛だったりするのか?」
カヤト「黒。黒の方。起きた時これだったんだよ」
与えられた者は髪の色が変化するのか?
ボラス「他の奴らもカヤトのような髪だったり、人体に変化がある奴はいるのか?」
カヤト「他は…全員髪色変わってたような気がする。部分的に。全員俺みたいな染まり方じゃない」
統一なのか。髪だけ変化。色んなパターンがあるのか
ボラス「今から行うのは今みたいな感じは失われ、本来の力に戻ってしまう」
カヤト「…それは嫌だな。俺強くなかったら…」
ボラス「仕方がないことだ。さぁ、ここ、へ!」
ガシャン!
俺はカヤトを中へ入れ鍵を掛けた。
カヤト「おい乱暴だな!ふざけんな!!こんなとこ!力無くなんのだけは!」
ボラス「しばらくそこにいろ。また何かあったら伝える」
ベラドール「はぁ〜!食った食った!」
ボラス「戻って来た」
シャスカ「あ、悪い。先食ってた」
ボラス「別に構わない」
ベラドール「んで、どーだったよ」
ボラス「特に抵抗もなく入れることに成功した。今までにない事だ」
ベラドール「自ら望んでたんじゃねぇか?」
ボラス「いや、そのような気配は見られなかった」
シャスカ「ま、食えよ。冷めてっけど」
ボラス「分かった」
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