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椿「ねぇ…ちゃんと見てくださいよ、私がどれだけアンタが好きか向き合ってください、殺したんなら、来世まで着いてこさせたんなら、


私の気持ち考えろよッ!

……殺したんじゃない、連れてきたのに…」


言いたいことを言い終えると何となく頭が軽くなって、思考がクリアになる。


椿「すいません……頭に血が昇りました。」


光「…ううん、俺もごめん。」


……

気まずい空気が流れる。顔を合わせられなくて私は顔を胸元に埋めたまんまだ。


光「ほんとはねこんなこと言うために来たんじゃないの…」


そう言ってまた木兎さんの足が進む。景色はいつの間にか木に囲まれて人は少なくなっていく。


光「俺、あかーしがもうバレー出来ないって聞いてめっちゃ動揺した、一緒にプレー出来ないのは分かってたけどマネージャーとかしてくんないかなって思ってた。」


椿「それは、、すいません」


光「ううん、謝って欲しいんじゃないの、昔からやってたんならしょうがないしね。

それに、俺が怖かったんだよ。バレーが無くなったらあかーしと離れ離れになっちゃう気がしたから。」


椿「!そんな訳ッ」


あるはずない、絶対にない。あなたから離れていかない限り俺は絶対あなたから離れない。


何かなんでもいいから木兎さんに伝わる言葉を探していると、木兎さんの足が止まった。


足元には柵を越えて大きな池がある。


結構高い位置から池を見下ろしていると少しヒヤヒヤする。


足の涼しい感覚と共にハッと思考が巡る、もしかして…


光「そんな訳ないのは分かってるよ、でも1回ここで離れ離れになったから。」


俺は、結局あの後木兎さんがどうなったのか知らない、誰がどこでいつ木兎さんの死体を見つけたのか、なんなら葬式に出た記憶もない。


だから赤葦京治と木兎光太郎のお別れは病室だ、今ここにいるのだって意思は赤葦京治と木兎光太郎かもしれないけど身体は椿葵と光のものだ。


椿「…」ムギュ


光「え!ちょ、何あかーし!」


椿「いや、馬鹿だなって気持ちと」

光「あかーしヒドイ!」


椿「あと、やっぱり木兎さんじゃないなって。」


潰れた頬の感触、鼻筋、瞳孔、口の形、目の色も少し薄い黄色になっている。


でも、優しい溌剌とした喋り方、大きな動作に笑顔。


椿「木兎さんなんだなぁ…」


ガクッとクビが下を向く。頭の中にあった変な感覚が全部出てくる。


あれだ、映画でよくある記憶を植え付けられたロボットが自分は偽物だと自覚して苦しくなるみたいな。


光「え、どうしたの?」


とりあえずと言わんばかりに頭を撫でられる。


椿「…はぁあああ、高校入学したら一緒にお昼食べてくれるんですよね」


光「うん」


椿「一緒に登校してくれるんですよね。」


光「うん」


椿「ジャージ、貸してくれるんですよね」


光「うん?そうだよ?」


椿「じゃあ」


頭を胸元から離して目を見る、何となく木兎さんの顔が思い浮かぶ。


でも目の前のこの人とのギャップに脳がバグる。


椿「もう木兎さんって呼ばなくてもいいですか?」

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