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2章届かぬ想い
ー絶望の檻ー
「はぁ……っ、はぁ……っ」
荒い呼吸を繰り返しながら、煉華は無我夢中で走り続けた。
「っ……(おかしい……)」
何度も角を曲がっているはずなのに、見覚えのある電柱、見覚えのある塀、見覚えのある赤い郵便ポストが、何度も目の前に現れる。
(……同じ場所を、回ってる?)
「……また?」
煉華が立ち止まる。
後ろから怪物の唸り声。
逃げようとしても、また同じ景色。
煉華は前方の壁に写る影を真っ直ぐ見つめながらゆっくり屈んで足元の石を拾う。
「……ふぅ…っ(これで騙されてくれたらいいのだけど)」
拾った石を強く握りしめ小さく深呼吸すると自分とは反対方向に投げた……
石は乾いた音を立てて地面を転がった。
カラン……カラン……
真っ黒な”何か”は、その音に一切反応しない。
まるで最初から、狙いは煉華だけだと言わんばかりに
<グワァァァー!!>
「!?っやられる!」
真っ黒なナニカは石には見向きもせず煉華に襲いかかってきた!
「……さっきも通ったとこだわ…ここ…」
自分が目印に付けた印を指先で撫でながらため息をついた。
「まさか図書館が迷路になるなんてね…(あの不可解な軋む音…あれからすぐ迷路になっていた…)…とにかく手がかり探しながら進まないと…」
再び本棚に手を添え歩き始めると後ろから大きな音がした。見ると両側の本棚がバチンバチンと音をたて通路を挟んでいってた
「!?っ」
急いで走り逃げようとするも、前方でも同じように本棚が通路を挟みながら迫ってきていた。
「っ……!」
蒼紫は咄嗟に、本棚と本棚のわずかな隙間へ身を滑り込ませる。
「え!? ちょ、っ」
制服のスカートが本棚に挟まり、身動きが取れない。
目の前では、巨大な本棚が容赦なく迫ってくる。
(このままじゃ――!)
「何なのよ!いったい!」
琥珀は見たことの無い真っ黒なモノに取り囲まれていた
「竹刀がすり抜けるなんて…おかしいでしょ…(実態がないってことでしょ?まさか…幽霊…とか…)」
小さく息を飲み無意識に強く竹刀を握り直した
<グワァァァー!!>
バキッ!!
「!! ちょ、っ……うそでしょ!」
手に伝わる衝撃。
見れば、竹刀は無残にも真っ二つに折れていた。
「そんな……」
真っ黒な”何か”が、一歩、また一歩と距離を詰める。
(……やられる!)
琥珀は折れた竹刀を強く握りしめ、ぎゅっと目を閉じた
「確か…こっちから聞こえた…苦しそうだった…」
大声で呼びかけた時に返事があった。とても苦しい、痛い、助けて。と…見過ごすわけにはいかない。自分が助けられるなら助けてあげたい。その強い思い1つで詞葉は襲い来る不安や恐怖を薙ぎ払い声のする方へと走っていた。
「はぁ、っはぁっ……おかしい……どうして誰もいないの……あちこちから声はするのに」
振り返っても、路地を覗いても、人影はどこにもない。
それなのに――
『助けて。』
『痛いよ……。』
『誰か……。』
声だけが、すぐ耳元で囁くように響いた。
「……っど、して…」
助けを呼ぶ声は悲痛な叫びとなり詞葉に襲いかかった
<タスケテ…ドウシテ、タスケテクレナイ…イタイ…クルシイ…>
「っごめ、なさ…っごめんなさ、ぃ…っ」
遂に耳を塞ぎ泣きながら座り込んでしまった…
<ウラメシイ……オマエモ……アジワエ……クルシイノ……>
声が、ぴたりと止んだ。
「……え?」
次の瞬間――
地面から真っ黒な触手が音もなく這い出しヒトの手となって詞葉に襲いかかった!
コメント
2件

コメントありがとうございます。励みになります
めっちゃ重い…🥀 煉華ちゃんも琥珀ちゃんも詞葉ちゃんも、それぞれの場所で追い詰められてて、読んでてこっちまで息苦しくなった。特に詞葉ちゃんの「助けたい」って気持ちが優しすぎて、逆にそこを付け込まれる感じが切なかった。本棚が迫ってくるシーンとか、実体ない怪物に竹刀が折れるとことか、映像が浮かぶみたいで怖かった…。続き、どうなっちゃうんだろう。